日課
毎日、決まってやっていること。
つい最近までは日課があるのかどうかすら、深く考えたこともなかった。
ただただ日々を送っていた気がするし、そのときどきで起きる時間も違ったり、ごはんも食べたり食べなかったり。体調も気分もまちまちで、それに伴い行動もまちまち。
同じことを毎日するって実はけっこうハードルが高い。
はみがきとかお風呂とか以外に、毎日やっているものなど早々ない気がした。
でも、たったひとつだけ、良く考えてみると日課があった。
当たり前になりすぎて、それが日課だと気づいていなかった。
それは、緑茶を飲むこと。それも、急須で淹れるお茶。
わたしが毎日飲む緑茶はもっぱら狭山茶だ。
なぜかというと、茶どころである埼玉県狭山市の出身だからだ。
狭山市民がみんな、毎日狭山茶を飲んでいるかはわからないけれど、わたしは物心ついたときから、朝一番に急須で淹れた狭山茶を毎日飲んでいた。
飲み始めたのがいつからだったかは、正確には覚えていない。気づいたら毎日飲むことが普通だった。なんだか朝イチに飲まないと気が済まないくらい。
家で飲む狭山茶は色が濃くて渋い深蒸し茶。あの濃さがたまらない。濃くないと飲んだ気がしないから、たまに起きる時間が遅くなって、家族が飲んだ後の出がらしだったりすると不服だ。もう1回淹れ直して濃いお茶を飲みたくなる。
あのカップや湯呑みの底がまったく見えないくらい濃ーいお茶をすする。その行為が今思えば、とても幸せだったのだろう。きっと慌ただしい毎日のほんのひとときの癒しの瞬間。
わたしには日課があった。毎日続けられるものがあったことがすごい。自分も捨てたもんじゃないな。
毎朝、急須で淹れた緑茶(狭山茶)を飲むこと。
それが、わたしの日課だ。
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