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秋田市文化創造館とスケートボード

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2021年3月の開館以来、秋田市文化創造館の敷地を利用するスケーターたち。多くの公共の場所では禁止(排除)されてきたスケートボードに関わる、当事者や関係者、地域住民とのやり取りか…
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#スケボー

7. コミュニケーションの壁

秋田市文化創造館の開館時間中に敷地内を滑っているスケーターの多くは、高校生や専門学校生、大学生といった10代から20代の若者たちだ。 夏休みの間は日中から、学校がはじまってからは夕方になると一人、また一人と集まってきて、ひたすら滑ったり飛んだりを繰り返している。 そんな彼らに、文化創造館に寄せられる抗議の声を伝え、どうするのが良いのかを考えてもらおうと、これまで以上に積極的に声をかけ始めたのが8月の終わり。日に3回も4回も声を掛けるものだから、鬱陶しがられているだろうなと思

6. 何をしないか

敷地内でスケボーの利用を「禁止」をするという選択肢を失った文化創造館。さて、どうしようか。 館長から示されていた指針は、2つ。 迷惑行為があれば、それは解決すること。 また、スケボーやスケーターに対する偏見を助長しないような働きかけを行うこと。   まずは、迷惑行為について、実態を確認するために夜間の見回りを強化してみることにした。 自主パトロールに協力を申し出てくださる奇特な方もおり、数日間、閉館後もしばらく残って様子をみるようにした。しかし、そういう日に限ってなのか、夜

5. 禁止する

8月に入ってから、スケボーの騒音やスケーターのマナーに関して、文化創造館に抗議の声が再び寄せられはじめるようになった。 市役所や町内会長、年長のスケーターに相談しながら、新たな対策を講じもしたが、抗議の声をあげる方が納得するような落とし所は見出せず、ある夜、いよいよ一時的であれ禁止をして、抜本的な策を考える時間を稼ごうと腹を括った。そして、その「決意表明」とも「敗北宣言」とも言えるような連絡を関係各所に入れた。 実務的に「了解」という反応もあれば、スケボーにはこういった抗

4. フェアであるということとは

6月15日(水)に開催した「スケートボードと文化創造館と秋田のまち」をテーマにしたカタルバー。そこからの流れは、今振り返れば怒涛だった。 年長のスケーターが、「スケートボードのイメージを変えたい」と文化創造館の敷地を使ったイベントの計画をはじめ、今後の資金調達のために助成金の申請に取り掛かった。また、6月15日のカタルバーに参加した方が自分も何かやりたいと新たなカタルバーの企画づくりがはじまり、高校生による短編映像制作のテーマとしてスケボーが取り扱えないかとのご相談もいただ

3. スケートボードと文化創造館と秋田のまち

その日・その時・その場に集った人がゆるやかに語り合う場「カタルバー」というプログラムが秋田市文化創造館にはある。文化創造館のスタッフがホスト(店主)を務めることもあれば、一般の方が一日店主としてやりたいことを小さく実践してみる場としても解放している。 6月15日(水)の夕方に、私自身が店主となって「スケートボードと文化創造館と秋田のまち」をテーマにカタルバーを開催した。 当初は、スケーターやスケートボードを応援する人と、(できれば)そうでもない人とが少人数でも集まって、文

2. 違うチャンネルで発信すること、対話の場をひらくこと

秋田市文化創造館を利用するスケーターが増えはじめ、並行して館の利用者や近隣にお住まいの方から「やめさせないのか」といったご意見をいただくことが増えていった。 最低限のルールを決める 5月の連休中からは、利用者や歩行者の安全管理を強化するために、幾つかのルールや対策を決めてスケーターたちに口コミで共有をはかるようにした。 スケーターに対しては、滑りはじめる前にスタッフに声がけするようお願いをするとともに、「デッキや階段の上の走行や乗り上げは禁止」、「他の利用者の迷惑・危険

1. スケートボードに関わるきっかけ

私はスケートボードをやったことはないし、身近にスケーターはいなかった。そんな私が各地のスケートボードパークを見に行ったり、スケートボードに関わる情報を熱心に調べたり、考えたりするようになったのは、勤務している秋田市文化創造館がきっかけとなっている。 秋田市文化創造館とスケートボード 秋田市文化創造館は2021年3月の開館直後から、夜間に敷地内を滑走するスケーターの姿を見ることがあり、そういう使い方をしてくれる人が現れるのは嬉しいね、とスタッフと言葉を交わしていた。また、当