狭い部屋が落ち着くということ。

85平米3LDKにオットとふたり、16年も住んでいた。

結婚以来ずっと45平米の2LDKだったのだが、
この2LDKはかなり都心だったので駐車場代が高く、
自家用車を持つようになってからは家賃の負担がネックになった。

3LDKは比較的都心から離れた住宅地だったので
駐車場が4分の1ほどで済み、結果、家賃は上がったが
駐車場代込みだと前の2LDKより安くなった。

広いのに(前より)安い、という謎のロジックによって
なんとなく16年も住み続けてしまったが、
我が家の経済事情から考えると安くない家賃を16年も払ってきた訳だ。

住居スペースが広くなってからは
室内のスカスカ感も気になり、結局かなりの家具も買い足した。

3LDKの部屋は、悪くなかったと思う。
ベランダも広かったのでテーブルを出してランチや夕食をとったりしたし
洗濯機はもちろん室内にあって、脱衣スペースもあり、
お風呂は足が伸ばせた。
専用のキッチンもあったし、収納も多かった。
若い時にはそんな生活をしたいと思っていたこともあった・・・
のだと思う。

だけど、歳を経るにつれて、なんだか妙に落ち着かなくなってしまった。
もちろん、大前提として経済的な事情はあるのだが、
なんというか、自分のサイズと住居スペースのサイズがあっていない、
と感じるようになってきたのだ。

特に、諸事情によってオットがいないことが増えてから、
ド広いリビングでテレビをつけてひとりで食事をしていた時に
(自分一人しかいないのにこんな広いスペースが要る?)
と思ってしまったのだ。

それは決して「さびしい」とかではなく、
単に身の丈にフィットした住居に暮らしたいという思い。
広い住居スペースの「ムダ」を痛感したということで、
その感覚は、引っ越すまでずっと続いた。

そして今、36平米の2DKに住み始めて約3ヶ月。
いや、快適でしょうがない。

洗濯機は外で、この時期は寒風吹きすさび手が冷たいし、
ベランダは狭くて燃えないゴミを置くのが精一杯だし、
脱衣所はなくてお風呂では足が伸ばせないし、
洗面所は水しか出ないし
収納は少ないし、寝室には冷蔵庫があるし、
トイレは狭いし・・・
などとデメリットをいくら挙げてみても
自分の気持ちが幸せでどうしようもない。

17年目にして、
自分にフィットする住居スペースは
36平米で十分だったということに気付いてしまったということだ。

あ、ちょっと違うかな。
17年の間には、好みや意識の変化があっただろうから、
17年を経て、やっとここに辿り着いたという方が正確か。

なんにしろ、あまり引っ越しはしてこなかったが
所持品の3分の2は処分できて単純にうれしい。
本当に欲しいものが、必要最小限あればいいと思う。

・・・などという考え方は
つい最近感じるようになったことで
やっぱ歳とったなぁという感慨と
しかしそういう考え方はシンプルでなかなかいいとも思う。