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【ネタバレ含】映画『トラペジウム』が面白かったな、色々な意味で。

SNSで見かける感想が賛否両論というか、みんな言う事が違くて面白いので、自分の感想も書いておきます。


・きっかけ

映画「トラペジウム」、主題歌がMAISONdesでボーカルが星街すいせいになったというニュースを見て興味が出て、そこからキービジュアルを見て作品も気になっていった。

キービジュアル

この時点だとキャッチコピーやキャラ配置に思想を感じて見たほうが良いかもな〜とうっすら考えてた。
まぁ気付いたら公開していたので、映画公開の翌日に見に行ったら見事に食らいましたね、青さを。

・感想(ネタバレ含)

東ゆう、みんながみんなお前と一緒で夢の眩しさに目が眩んだ人たちじゃないし同じだけ努力できるわけでもないんだよな……っていう。
まず、めっっっっちゃ苦しかったね、上映中ずっと。
主人公の東ゆうの青い打算的な行動が咎められないまま進行していくのが怖かった。ただ、色々あった果てに目が覚めて、自分に残ったどうしようもなく叶えたい夢にちゃんと向き合えたから今があるよねって話だったのは良かった。
そして最初は打算的だったとしても、きっと東西南北の4人にとってかけがえのない青春になっていたのはさらに良かった。

本編冒頭の主題歌「なんもない」が流れてる間に東ゆうの人となりが描かれてて、ここをちゃんと見てないと東ゆうが何を考えてるのか分かりづらいかもなぁと。

・アニメくん感想

まずライトめな感想として好きなキャラと演技について。
やっぱり南西やね・・・!
南さんこと華鳥蘭子、すごく良い奴。
挫けそうな西ちゃんを励ましてるし、みんなの仲を取り持とうとする献身的な部分が結果的に自身の夢へと繋がっていて良かった。
西ちゃんこと大河くるみ、序盤の天才系萌えキャラからだんだんと壊れていく演技、そして完全に壊れる演技がすごく良かったので、羊宮妃那さんの演技が好きな人は必見。
最近の声優さんの中でも抜きん出てる演技が見られてオススメ。

東への好きも嫌いも混ざった気持ちもあってズルズルと流されていく3人の優しい優柔不断、良かった。
しかし北の亀井美嘉、勝手に救われたうえで東に自分を刻もうとする若干破滅的な思想があってヤバかったけど、依存先を見つけて安定してるのが生々しかったな・・・。

・ドルオタ的な感想

東西南北(仮)としてデビューしたあとの描写が分かりすぎて効く。
個々人のSNSや配信コンテンツのコメントやいいねの数、エゴサによる感想の確認、事務所で受け取るファンレターの量などを気にする東ゆうの姿。
これって普段"推し活"だ、"オタク"だなんだと、3次元2次元問わず何かを追っかけている人にとって凄く身近だし、自分たちが送ったモノがどう届くかを作中で描いているシーン。
推しメンとか推しキャラは人気あるから自分のアクションがなくたって良いかな・・・と一度でも思ったことのある人、刺さりませんか?
自分たちひとりひとりのアウトプットで、推しに影響が与えられるってことなんですよね。
推せるときに推せじゃないですけど、伝えられるときにちゃんと伝えるのは大事だと見てて頭によぎったドルオタ的な思考でした。

・作品の行間

トラペジウムを見ていると、セリフやナレーション以上にキャラの表情や振る舞い、ノートや楽曲など、とにかく行間を読んでいく必要があり、どこまで妄想を膨らませているかによって個人の感想に差が出ている感じがした。

自分は、明らかに東ゆうの主観で物語が進んでいくから、野望の協力者たるカメラ趣味の工藤真司以外との、テンションの違いとかすれ違いが段々と積み重ねられていくのか見てられなかったのが恐怖だった。
また、東ゆうの視点のみだからこそ、他の西南北の3人がどう思っていたとか独白なんてものはなく、後半の東ゆうへの告白という形でしか内心の吐露が無いのはちょっと不親切かもしれないが面白いところでもあった。
しかし主観とは言うけれど、内面の描写に関してはセリフとかよりも断然ノートの中身が対応して描かれることが多く、独白とか内心の吐露に使われているけれどいかんせん見づらいシーンが多かった。

普通の人はそんなところまで絶対見ないだろ……って思いつつ、オタクなので注意深く隅まで見て勝手に読み取るのが楽しかった。
まぁ細かく書けば他にもたくさんあるけれど、余分なので割愛する。
原作小説や映画のノベライズ(?)を読んだほうが意図通りの描写があるはずなので。

そんな主観的な部分のみをピックアップしたけれど、東ゆうとの対比的に挟まる蘭子とくるみの会話のうち、アイドル活動をやってみるかどうかのシーンは東ゆうの主観ではない俯瞰的なシーンで逆に印象に残っている。
ここでは蘭子の優しさとくるみの弱点が描かれていて、いずれ来る終わりが匂わされて意地が悪かったのだけれど。

・まとめ

そんなに長々と書くことはなくて、トラペジウムは思った以上に作者や監督の伝えたいメッセージがダイレクトにくる良い映画だった。
自分の星さえ見えないまま誰かの星になった少女たちが、バラバラになったとしてもひとりひとりの星を見つけて、10年後にあの頃を振り返って良い思い出だったと振り返れる友情を手に入れる青春モノで良かったと思う。
あとは、弱いものが淘汰される生々しい芸能界のシーンから、今現在自分たちに推されている人たちは何を思ってその道を選び、晴れ舞台に立っているのだろうと思いを馳せるとリスペクトが増した。

映画「トラペジウム」、ついつい色々考えすぎる人とか実際に推しがいる人とかに見て欲しい。そして、色々な感想を抱いてほしいと思いました。

・公開直前PV

・主題歌「なんもない」MV
歌詞も読むとさらに面白いかもしれない。

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