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【キッチンカーの将来性】これから始めるべきか

どうもこんにちは。カケハシフードトラックのゆきちと申します。千葉県でキッチンカーの出店場所の紹介などをしており、


2021年コロナの勢いはとどまることを知らずに、2度目の緊急事態宣言が出されました。

営業時間の短縮を要請され、飲食業界も多大なダメージを受けています。


そこで注目を浴びたのがキッチンカーです。


僕は仕事柄いろんなキッチンカー業者と話す機会があるのですが、コロナ後は特に新規参入が多いようです。

キッチンカー業界最大手の「Mellow」に登録するキッチンカーも1,000台を超え、この1年が最も伸び率が高かったと発表されていました。

とにかくキッチンカーをはじめる人が増えています


キッチンカーの特徴は屋外で出店できて、三密を避けれるところです。キッチンカー人気が高まるのも納得ですよね。

さあキッチンカーが注目を浴びている今、とても気になるのが「キッチンカーで食っていけるのか」ってことです。結局はここだと思います。


そこで今回は現段階で推測できる未来を紹介したいと思います。さらにカケハシフードトラックが紹介している場所の売上も公開します。


かく言う僕はもともとクレープ屋のキッチンカーをやっていました。そして今は千葉県に15ヶ所以上の出店場所を紹介しています。

各場所から情報が集まってくるので、この記事を書くには申し分ないと思います。それではよろしくお願いします。


1.キッチンカーの将来性

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 ⑴飲食業界は難易度が高いビジネス


いきなり強めなタイトルで申し訳ないです。

ここでは公式に発表されている「事実」だけをベースに話を広げていきます。


まずは飲食業界というものが、非常に難しい世界だということを最初にお知らせします。


こちらをご覧ください。

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※中小企業庁HP参照「業種別の廃業率」

右上の赤丸に注目してください。この丸は「宿泊業、飲食サービス業」の開業率と廃業率を表しています。

横の線が開業率で縦の線が廃業率です。

「宿泊業、飲食サービス業」が2番目に高い開業率で、1番高い廃業率を持っているのが分かります。


次にこちらの表です。

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2020年の飲食店の倒産件数です。

「2020年1~12月の1年間に発生した飲食店の倒産件数は前年比5.3%増の842件。東日本大震災の影響を受けた11年の800件を上回り、過去最多となった。」

この2つの表から言いたいことは、"コロナが蔓延する前から飲食業界はもともと倒産率は高い状況だったが、コロナが追い討ちをかけた結果となった"ということです。


ではなぜこれほどまでに倒産数が高いのでしょうか??


まず考えられるのが、開業率の高さです。

飲食店の開業には特別な資格がいりません。

誰でもお金を払って受講すれば取得できる「食品衛生責任者」という資格を取れば、飲食店は開業できます。


特別なスキルは一切必要ありません。今まで料理をしたことが無い人も飲食店を開業できてしまいます。

この参入障壁の低さが開業数をグッと上げていることは明白です。

開業数が多いほど母数が大きくなるので、自然と倒産数も上がりやすくなります。


続いて考えられるのが、利益率の低さです。

利益率とは売上から費用を引いた、残りの割合を指します。


利益率=(売上-費用)÷売上高×100

これが計算式です。


つまりどんなに売上が高くても、費用がかさむと利益は残らないということです。

例えばキッチンカーの場合、大きな経費として材料費30%、出店料20%くらいが想定されます。そこにガソリン代や消耗品の費用も付け加わります。


つまり1日で3万円売り上げたとしても残るのは15,000円もしくはそれ以下となることでしょう。

さらに売れなかった場合、食材は腐っていくので再度売ることはできません。


飲食業は手元に残るお金が少ないため、ビジネスとして難しいと言われています。


1.開業者が多いので倒産数も多くなる
2.利益を残すのが難しいので倒産数が多くなる

このように考えられます。


 ⑵キッチンカーが増えると戦いは厳しくなる


冒頭でキッチンカーを始めている人が増えていると紹介しました。ではこの状態は、これからキッチンカーを始める方にとっては追い風なのでしょうか??


僕は追い風にはならないと思います。

理由は単純に競争率が高まるからです。


現在事業として出店場所の仲介をしていますが、キッチンカーの出店できる場所は本当に少ないです。

正確には出店できる場所は多いですが、収益が確保できる場所が少ないです。


売れる場所をひとつ見つけるのは、とても大変なことなんです。


さらに出店できたとしても、複数のキッチンカーがいれば"お客さんの奪い合い"が待っています。

お昼ご飯を食べようと思っても、選ばれるキッチンカーはだいたい1台です。キッチンカーが増えれば増えるほど、売上が伸び悩むのは当然のことでしょう。


さらに日本の将来についても考えていきましょう。


まずは人口のピラミッドを紹介します。

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これは2020年日本の年齢層を表しています。

30代までは人口が少なく、40代後半くらいから多いことが分かります。まさに少子高齢化の特徴です。

数年後もこの勢いは加速して、日本は高齢者大国となることが確実です。


そして外食利用者の主な年齢層を見てみます。

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厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」2020年
※不破雷蔵さんの作成グラフ参照

外食(キッチンカー含む)利用者は20~40代によく利用されていることが分かりますね。

僕もキッチンカーをやっていた頃は、高齢者よりもファミリーに需要があったことを覚えています。


つまりキッチンカーの主な消費者である20~40代は、時代が進むにつれ減っていくのに、その状況でキッチンカーは増えていく..

以前よりも過酷な環境になるのは避けられないでしょう。


 ⑶高齢者にはウケない?


ではなぜ高齢者にキッチンカーは人気が無いんでしょうか??

現役のキッチンカーも、なにも消費者が少ない年齢層を狙っているわけではありません。しっかり全年代に届ける努力をしています。


ここからは僕の想像です。

高齢者がキッチンカーを利用しない理由についてです。


結論は「キッチンカーの利用方法がわからないから」ではないでしょうか。

おじいちゃん、おばあちゃんが若いときにキッチンカーは無かったですからね。


「よく分からないキッチンカーを利用しようとして、恥をかくのが嫌だ」

僕はこう予想します。

馴染みのないものを高齢者になってチャレンジするのは、なかなか勇気がいることですからね。


しかし今の若い世代はおじいちゃんになっても、"キッチンカーを知ったおじいちゃん"です。

急にキッチンカーに抵抗が芽生えるとは考えづらいです。

もしかしたら将来の方がキッチンカーにとって恵まれた環境になるかもしれません。


 ⑷キッチンカーの未来予想


・コロナ状況下
・キッチンカーの増加傾向
・少子高齢化の加速
・高齢者への不人気

以上の事実からキッチンカーの未来予想をしてみます。


①まずキッチンカー開業者は同じペースで増え続けるでしょう。

とにかく入れ替わりが激しい仕事です。開業率と廃業率が高いと数字で出ているように、新しい人が入ってくる一方で引退する方もたくさんいます。

メディアではキラキラしている印象で報道されるので、憧れる層はいつの時代も一定数いることでしょう。


②クオリティが今まで以上に求められるようになります。

SNSでキッチンカーを検索すれば、おしゃれな車がたくさん出てきます。新しく始める方はデザインや料理にこだわって、開業される方も多くなるでしょう。

そして見た目や料理がいいお店は、イベンターに気に入られます。人気のあるお店と、そうでないお店が二極化するかもしれません。


では新規参入はやめた方がいいんでしょうか??

それは考え方によると思います。儲けたいと思い開業するなら、他の業種にした方がいいと思います。

しかし経験や憧れの思いがあって開業するなら『やってみた方がいいよ』と言いますね。


キッチンカーは楽しい仕事でした。

あの経験というのは、今でも事業に生きていると思います。大きく稼ぐことはできない仕事だとは思いますが、そこから派生する仕事はあると思います。

キッチンカーに憧れている人は今でも多いので、そこにビジネスチャンスはあるのかなと思います。


2.キッチンカーの売上はどれくらいか?

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では未来予想はこれくらいにして、現状キッチンカーはどれくらい儲かるものなのかを具体的な数字で公開します。


どんな出店場所で、どんなキッチンカーが、どれくらいの売上を上げているのか??


もちろん個人情報をここで公表するわけは無いですが、傾向は見て取れます。これはなかなか知ることが出来ない情報です。


カケハシフードトラックだからこそ、まとめられる情報です。

今回は2つの場所での売上を公開します。コロナ状況下の数字ですが、キッチンカーがどれほどの売上を持っているのか参考になればと思います。


 ⑴キッチンカーの実際の売上例①


まずは比較的高齢者が多い地域での売上を公開します。これは人口10万人の自治体の中にある、小売店での出店状況です。

掲載順は売上をベースにしています。

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高齢者が多い地域なので、なんとなく粉物や焼き芋に人気が集まっている傾向があります。この場所に限っては週末と平日の差はそれほどありませんね。


 ⑵キッチンカーの実際の売上例②


次は比較的若年層が多い地域での売上です。ここは人口17万人の自治体の中にある、屋外イベントスペースの実績です。


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先ほどの出店場所より全体的に売上が多いのが分かります。やはり若年層の方がキッチンカーへの抵抗は少ないのでしょう。

そして僕が注目したのは"気温"です。外出しやすい気候の方がキッチンカーにとって有利なのが分かります。


3.売れるキッチンカーの特徴

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実際にキッチンカーの出店場所をいくつも見ていると、売れるキッチンカーとそうでないキッチンカーがはっきり別れます。

出店場所との相性も非常に大事なのですが、人気のキッチンカーには確かな共通点が存在しているような感じです。

そんなキッチンカーの現場をたくさん見てきた中で共通点を紹介します。


 ⑴料理がおしゃれ


まずは料理にこだわりがあるお店が人気店となっています。まあ飲食店の原点ですよね。

人気のお店はおいしいのはもちろんのこと、見た目がとてもおいしそうです。


一番基本的なことでいうと、料理は「緑・黄・赤・白・黒」の彩りがあると、おいしそうと人間は認識するようです。

下の料理を見てください。

彩りの違い

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【盛り付けの基本「青黄赤白黒」って?彩りを変えてすてきな食卓に】参照

同じ料理でも彩りが加わると印象が違いますよね。

「人が美味しいと思う80%は視覚と情報」との研究結果があります。

色を入れるだけで『食べたい』と思わせるのに、絶大な効果があるようです。


彩りだけでは無いですが、人気のキッチンカーはおいしそうに見せるのが上手な傾向があります。


 ⑵現場の宣伝に手を抜かない


これもおいしそうに見せる工夫のひとつです。

現場の宣伝とは、出店しているキッチンカーを"どう見せるか"ということです。

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キッチンカー「Vamos!」写真協力

まず第一印象がオシャレです。どういう料理を提供しているのかとても気になりますし、メニューの見せ方が綺麗です。

僕だったら思わず立ち止まって、何かひとつ注文するでしょう。


料理にこだわるのはもちろんのこと、キッチンカーは第一印象の勝負となることが多いので、現場での宣伝はとても大事ということです。

もし看板制作を依頼したい方は、こちらも参考にしてみてください。カケハシフードトラックが手がける事業です。

▶︎ https://kake84.net/design/


 ⑶回転率が高い


キッチンカーは料理を提供スピードが大事です。

大抵の場合は屋外で出店していて、風の強い日もあれば、暑い日も寒い日もあります。

外で立ち続けることはストレスを覚えることでしょう。

お客さんの満足度を上げるためにも、提供スピードはとても大事です。


さらに大きいイベントともなってくると、一気に人が押し寄せてくることもありあます。素早く行列をさばけないと、イベント主催者の評価も下がります。

次回からのイベントに呼ばれなくなったということも聞きます。


売れるキッチンカーになるには、見た目にもこだわりつつ、提供スピードを意識しないといけません。

どのように料理提供までを設計するのか、オペレーションを考える必要があるのです。


 ⑷売れる場所を持っている


しかしながら、これまで紹介したことを全部無視できるパターンもあります。

出れば売れる場所を持っていることです。


例えば今にも死にそうな人が、砂漠で水を売っているのを見つけたら全財産を使ってでも水を買うでしょう。

極論はこれです。


周りに一切食べる場所が無い場所で、独占的にキッチンカーをやっていたら間違いなく売れます。

これまで紹介したことを無視できるパターンも存在します。


4.儲からないキッチンカーの特徴

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逆に苦戦を強いられるキッチンカーも紹介します。これは売上が伸びないキッチンカーの共通点をピックアップしています。


 ⑴何屋かわからない

儲かるキッチンカーで紹介した、いわゆる「現場の宣伝力」が無いキッチンカーのことです。

あまりにもシンプルすぎて、何がいくらで売られているか分かりずらいお店は、人を呼び込むのは難しいでしょう。

 ⑵料理が微妙

最低限のおいしさを出せないお店は2度と来てくれなくなります。

人間は"食"で失敗すると、とてもガッカリするものです。

口コミでも一気に広まりますので、失敗した料理を提供することも絶対にやめましょう。

 ⑶衛生的に問題

・車内がタバコ臭い
・車の外装が土埃で汚れている
・車内が汚い

問題外です。

ただでさえキッチンカーは屋外の出店なので、衛生的には厳しい環境下にあります。

清潔感は食の安全にも繋がっています。特に日本人はもの凄く気にすることなので、キッチンカーのすべてを清潔に保ちましょう。

 ⑷回転率が悪い

先ほども紹介しましたが待ち時間はストレスを与えます。

さらに回転率が悪いと機会損失を生みます。本来顧客になっていたであろう人が、待ち時間のせいで離れていくのです。

長い行列を見て「買いたいけど止めておこう」と思う人もいるでしょう。

素早く提供できるためのオペレーションはよく考える必要があります。


5.まとめ


いかがだったでしょうか??

「キッチンカーの将来性」というテーマで、いろいろな話をしてきました。

最後にこの記事で紹介したことをまとめます。


まずキッチンカーは参入しやすく継続が難しいビジネスです。

その上で若年層の人口は減少するのに、キッチンカーは減らないので競争は激化すると予想できます。

キッチンカー開業は憧れている方も多いので、将来も数は減らないと思います。


次にキッチンカーの売上を実例で公開しました。

天気と気温と商材も載せてあるので、現代のキッチンカーのリアルを見せれたと思います。


最後に儲かるキッチンカーと、そうでないキッチンカーの特徴を紹介しました。

儲かるキッチンカーの特徴は

・料理がオシャレ
・現場の宣伝が上手い
・回転率が高い
・ただ売れる場所を持っていれば関係ない

儲からないキッチンカーの特徴は

・何屋か分からない
・料理が微妙
・衛生的に問題がある
・回転率が低い


全体的に厳しいことを述べてきましたが、これからキッチンカー業界に参入するには、ある心構えが必要です。

「儲かると思ってキッチンカーを始めるな」

ただ経験としてはやってみてもいいかなと思います。


なぜかというと僕も過去にキッチンカーをやってみて、後悔はしてないからです。そして今の事業にとても活用できています。

30歳まで東京消防庁で消防士をしていたんですが「自分で考えて事業を始めた」という経験は、消防士と同じくらい僕を成長させてくれました。


「稼げないのか」と残念に思う方もいるかもしれませんが、やりたいことはやってみるべきです。

多分ですが稼げないことが失敗なのではなくて、挑戦しなかったことが失敗です。


最後に決してキッチンカーは”稼げる仕事”とは言えませんが、中にはそこそこ稼いでいる人もいます。

もしキッチンカーを始めるなら、人気のある、売れるキッチンカー運営をして欲しいなと思います。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。よかったら僕の「カケハシフードトラック」という名前だけ覚えておいてください。

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