夜の世界なほんとだめ。

どんなに親しくても、どんなに助けてやりたいと思った相手でも、金銭的なやりくりはきっちりしないといけない。

いくら使って、いくら誰に返すのか。

学生時代にお小遣い稼ぎくらいの気持ちでやっていた夜の世界は、仕事を始めてもう離れられたものだと思っていた。

家族が倒れ、せめて話だけでも聞いて欲しかった大切な人が闇の世界に消え、少ない給料の今の仕事をフルタイムで働いても財布は冷めきったままだ。

こうなると「ちょっと頑張れば50万いける」あの夜の世界の誘惑が抜けない。

ほんの少し休職して、あっちの世界でお金を稼いで、数ヶ月したら戻って来ればいいんじゃないか。

…こうやって人の弱みに後から少しずつ漬け込んでくるのが夜の世界らしい。抜け出した後も自分の記憶が自分の弱みにつけ込んでくる。

ここで述べた話は実話だ。ただし私の話ではない。

「ちょっとだけ」を許すことは全部を許すことになる。それはついひと月前に闇に消えた仲間を見ていての共通認識だと思っていた。

人は弱い。

夜の世界、だめ、絶対。

近くにいる人が軽い気持ちでそこに入ろうとしていたら、絶対に止めて欲しい。「わかっているつもり」「私は大丈夫」と思っていようが関係ない。

人生には色んなことがあって、「私は大丈夫」と思っていた余裕が全て無くなる時がある。

自分を過信してはいけない。自分は弱い人間だと、甘い蜜に呼び寄せられて捕らえられてしまう人間だと思い、自分を疑わなければいけない。

その過信こそ、思うツボだ。


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