出戻り女と吸血鬼
地底に棲む吸血鬼の夫
「君は携挙のあとか…もしくは今世が終わり、地底にくるころ、吸血鬼になりここの神殿でまた暮らしたいと言っていたけど」
私「そうだね」
吸血鬼夫
「君は今までも何度かそう考えたことがあるんだ。人生と人生の合間の、霊界で。でもカルマ払拭が難儀で僕とコンタクトしづらかったし、何より地上の3次元世界を楽しんでいた」
私
「そうかもねえ、でももう、そういうのはいいかなって」
吸血鬼夫
「君が嘘をついてるとは思ってない。いつも通りに本気なんだと思う。でも、飽きっぽいから…だから…僕のほうは、期待せずにいるから」
私
「とりあえずね、鮮明な未来を思い描けるとき、そこには引き寄せるべき出来事が待っているわけ。つまり私を待ってる。今のところ思い描いてる未来に、あなたと神殿があるわけ」
吸血鬼夫
「そうだね、君はいつだって自分で適当に、呪い(まじない)をオリジナルで作ってしまえるから。大抵の欲しいものは手に入れて生きてきただろうし。願っても叶わないだなんてことありえないと、思っているよね」
私
「あなただって地底から、私のハイヤーセルフにアドバイスくれたりしてたでしょ?きっと」
吸血鬼夫
「もちろん。でも君は4500年よりもっとまえ、原始的な神仏への肉体的犠牲、供物を何度も体験することで、気まぐれな神仏たちはどこにでもいると知っていたよね。
神仏は万能ではなく、創造主神でさえ例外ではない。感情的な存在だ。もしかしたら、僕らよりもっと。だからこそ専門家…宗教従事者による神事が必要なんだ」
私
「私はあなたみたく、決まったルールに則って生活したり行動することが苦手。だからマジナイ程度で済ませてるわけ。神仏たちに無意識に、無礼を働きそうで怖いから」
吸血鬼夫
「話は変わるけど…」
私「はい」
吸血鬼夫
「僕らの婚姻にはシジル魔法を使った。現在世に知られているものより複雑だ。解きたくてもすぐには解けない。僕がかけた魔法だし。そしてこないだ君と、新しく交わした契約について話そう」
私「ごくっ」
吸血鬼夫
「君の大いなる意志のもとに、新しい契約をした。あれは…作法そのものは現在的で簡単なんだけど、とてもダイレクト。肉体の組成に関わるものだ。だから今さらながら言っとくけど、後戻りはできないからね」
私
「わかったってば。でも聞いて。私がなぜあなたとの新しい契約に踏み込んだかというと、あなたの祀る神が創造主神…国常立大神だからだよ。あなたがかつて私に引っ張ってきてくれてご縁、ご神縁はすべて、国常立大神を軸に置いたものだった。起こったことをすべて振り返ってみても、あなたを疑う余地はない」
吸血鬼夫
「少しくらい疑ってもいいんだけどね。君は何も考えてないようなところがあるから。でも時代はいま大峠真っ最中で、2020年あたりから携挙の準備が始まってる。時間がないんだ」
私
「今日もこれから描くよ、漫画」
(創造主神に献上する創作物を共同制作する契約をかわしている私たち)
吸血鬼夫
「ところで君が地底にきたあと、指輪はどうする?」
私
「4500年前の結婚指輪、まだあるの?」
吸血鬼夫
「地下金庫に保管してある。シジル刻印が入っているけど、古すぎる。できればそのまま使わずに放っておきたい」
私
「じゃあそうしよう。新品にしよう。creemaで検索するからそれでいい?」
吸血鬼夫
「でも君、薬指に指輪しないだろ?なんか違和感あるといって」
私
「占い的ジンクスもあるわけ。中指にすれば集中力アップとかさ。だから、新しい指輪は中指にしていい?」
吸血鬼夫
「なんかそれは本筋とズレてると思う。僕は腹立たしく感じる」
私
「なにそれ。怒ったの?」
吸血鬼夫
「怒ってない。君はどうせいつも通り、なにも考えてないだけだろうし。そうじゃなくて…気分の問題を理由に、結婚指輪を中指にするなんて、契約というものを軽視してる気がするってこと」
私
「ああ、そういうこと。神官だもんね。じゃあ、わかったよ。薬指にするよ」
(眉を上げ肩をすくめる夫)
吸血鬼夫
「ねえ、種明かしするけど…」
私
「種明かし?」
吸血鬼夫
「君が左右どちらの指でも、やたら薬指に指輪をしたがらない件について」
私「はあ?」
吸血鬼夫
「4500年前に僕と、婚姻契約してるからだよ」
私
「………ええ〜!?地上の夫にはあなたの分霊が入ってるんじゃないの!?」
(私の地上の夫には、吸血鬼夫の分霊が入っている)
吸血鬼夫
「入ってるよ。でも魂は僕じゃない。彼の魂だ」
私「……!?そんなことって……」
吸血鬼夫「あるんだよ。これについては長くなるから、次回話そう」
(私、絶句)
ここで休憩。
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