満月の夜に性犯罪は増加する？

　満月の夜に性犯罪が増加するという噂は広く知られていますが、科学的な証拠は不十分です。

　月の満ち欠けと犯罪率の関係を調査したデータや研究は存在します。
　しかし、結論は一貫しておらず、研究ごとに結果が異なります。
　いくつかの研究では、満月の夜に犯罪率がわずかに増加することを示唆していますが、他の研究では特に関連性が見つかっていません。

　以下にいくつかの代表的な研究を紹介します。

1. Chapman & Morrell (2000):

   • この研究では、オーストラリアでの犯罪データを分析し、満月の夜に犯罪率が増加するという有意な証拠は見つかりませんでした。

2. Lieber & Sherin (1972):

   • この古典的な研究は、月の満ち欠けと精神病院への入院率や警察への通報率の関係を調査し、満月の夜にこれらの活動が増加することを報告しました。しかし、後の研究で再現性に疑問が投げかけられています。

3. Rotton & Kelly (1985):

   • 複数の研究をメタ分析した結果、月の満ち欠けと犯罪率の間に有意な関連性は見つかりませんでした。

4. Owen et al. (1998):

   • イギリスで行われたこの研究では、満月の夜に暴力犯罪が増加することが報告されましたが、性犯罪については特に言及されていません。

　これらの研究からわかるように、月の満ち欠けと犯罪率の関係についての結論は一貫していません。

　多くの研究が満月と犯罪率の間に直接的な関連性を見つけていないため、この関係は迷信や都市伝説に過ぎないと考える研究者も多いです。
　犯罪率に影響を与える要因は多岐にわたるため、月の満ち欠けだけが犯罪に影響を与える決定的な要因であるとは言い難いです。

　したがって、満月の夜に性犯罪が増加するという主張には、確固たる科学的根拠がないと言えます。
　噂や迷信の範疇に留まると考えるのが妥当です。