性犯罪者を去勢

 どの性犯罪も悪いことですが、極めて残酷なもの(未成年者への暴行など)、情状酌量の余地が全くないもの、そして犯人の改善の可能性も低そうな場合、特に「罰が軽すぎる」という意見が少なからずあります。

 どう考えても改心せず、最悪再犯もあり得る人物に対して去勢を行ってはどうか、という案があり、実際に施行されている国もあるようです。

 悪質な性犯罪者への去勢は効果的なのでしょうか。

 性犯罪者の去勢に関する刑罰の効果については、議論が分かれています。
 以下は、化学的去勢と外科的去勢に関する主なポイントです。

化学的去勢

  • 効果:薬物を使用して性欲を抑制する方法です。性衝動の減少には効果があるとされています。

  • リバーシブル性:薬の効果は一時的であり、投薬を中止すれば元に戻るため、リバーシブルな手段です。

  • 副作用:副作用には骨密度の低下、肥満、鬱などがあります。

  • 倫理的・人権的問題:強制的に行われる場合、人権侵害の観点から批判されています。

外科的去勢

  • 効果:外科的手術により性腺を除去するため、永久的に性欲が減少します。

  • 不可逆性:一度行うと元に戻すことはできません。

  • 副作用:身体的および心理的な副作用があり、ホルモンバランスの崩れによる健康問題が発生します。

  • 倫理的・人権的問題:極めて侵襲的な方法であり、人権侵害として批判されています。

効果と再犯率

  • 再犯率の低下:いくつかの研究では、去勢を受けた性犯罪者の再犯率が低下したことが報告されています。ただし、これが他の治療法やリハビリテーションに比べて優れているかどうかは一概には言えません。

  • 多面的アプローチの必要性:性犯罪者の再犯防止には、心理療法や社会復帰支援など、多面的なアプローチが必要とされています。

社会的・法律的側面

  • 法律の整備:去勢を刑罰として導入する場合、その適用基準や手続きについて厳密な法律の整備が必要です。

  • 国際的な視点:国際的な人権団体や多くの国では、去勢は人権侵害として禁止されています。

 性犯罪者の去勢は再犯防止の一つの手段として一定の効果があるとされていますが、倫理的・人権的な問題が大きいため、効果的かつ公正な犯罪防止策として採用するには慎重な検討が必要です。
 去勢のみではなく、包括的な治療・支援プログラムの一環として考えるべきでしょう。


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