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日記「桜が怖い」

あれは中学2年生になったばかりの頃。クラス替えをして新しいクラスが発表されると友達がいなかった。私の通う中学校は元々2つの小学校から上がってくるのだが比率が8対2くらいの割合で、私の小学校からその中学校に上がったのは2割組。小学校からの友達が少ない上に5クラスある。1年生の時に同じクラスだった子もいたがあまり関わりがなくほぼほぼ初見の子ばかりだった。女子はグループを作りたがる。初めましての教室はすでにグループが出来ていてきゃっきゃっと楽しそうに弾んでいる。居場所がなくて教室にいるのが嫌で、というよりもひとりぼっちでいるのを見られるのが恥ずかしくて、廊下の窓から西側の校門を眺めていた。ちょうど満開を迎えたばかりの桜がきれいに咲いていた。休み時間のたびに廊下の窓から桜を見ていた。寂しかった。情けなかった。恥ずかしかった。嫌だった。帰りたかった。何よりも怖かった。2週間も過ぎると少しずつ声をかけてくる子が出てきて、ようやく新しいクラスに馴染むことができた。桜の木が緑の葉に覆われる頃には桜の事はすっかり忘れた。

季節ごとに色んな思い出がある。桜は美しすぎて怖い。中学2年生の2週間のひとりぼっちを思い出す。

私が大人になるまでは桜は入学式の頃、4月初旬に咲いていたような気がする。地球温暖化の影響なのか、いつの頃からか桜は3月に咲くものになったようだ。今朝のお散歩も上着がいらないくらい暖かい。歩けば汗ばむほど。いつもより少し遠くの桜の公園まで歩く。咲いていたらどうしよう、恐る恐る桜の木に近づくと蕾がたくさん膨らんでいる。あまりの数の多さにこの蕾たちが全部開いた姿を想像してしまう。今年の桜もさぞかし美しくて怖いのだろうなぁ。

3月も半ば。あと何回の桜の季節を迎えるのだろう。いつかこの季節を楽しめる日が来るのだろうか。まだ桜が怖い。

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