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日記「霜柱のよくあるはなし」
日課のお散歩で、今年の冬、はじめて見つけた霜柱。
霜柱って不思議。寒い夜の間に目に見えない地中の水分が凍ってむくむくと氷になって地上に立つ。その時どんな音がするのだろうか。
じょわっじょわっ? ぴきっぴきっ? むきっむきっ?
きっと静かに静かに強く強く土から突き出て柱を創るのだろう。
私がすごく小さくなって霜柱の先端が見えないくらい小さくなって、霜柱の森をお散歩したらきれいだろうな。お日様が当たってきらきらしてぽつりぽつり氷が溶け滴る音を聴くのだ。
霜柱を見つけると踏みたくなるのはよくあるはなし。みんなざくざくっと足裏に氷が砕ける感触が心地よくて楽しいのだ。そう、よくあるはなし。
誰かが踏んだ痕跡が残っている。一番の大物だったらしい霜柱群だな。さぞかしい心地よい感触だったことだろう。私が先にその感触を確かめたかったな。あはっ。そんな事もよくあるはなしだ。そう、よくあるはなし。
別の場所を踏もうと思ったけど踏みたくなくなった。霜柱を踏みたくなるという「よくあるはなし」を「よくあるはなし」で片付けてしまいたくなかった。世の中には「よくあるはなし」がごろごろ転がっている。私はそんな「よくあるはなし」に抗いたかったし、私はそんな「よくあるはなし」とは違うと思いたかった。
誰かが踏んだ痕跡が悲しくなった。そこには小さな私が居たのかもしれないから。
#日記 #霜柱 #よくあるはなし
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