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農業をひも解く20 ~新旧の問題~

先日の日経に、農業関係の記事が二つ掲載されていた。そのコントラストにピンと来たので、noteしておく。

1 砂漠化(新たな問題)

記事には、スペインのオリーブ栽培が危機に瀕している、ということが書かれている。僕がスペインに行ったのはもう20年以上も前のことだが、空港の上空から見るスペインは、赤く、まさに「乾燥地」という景観だったことを覚えている。

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もともとそんな土地だから、大規模にガンガンやるような農法を選択すれば、あっという間に地下水位が下がることは明白だろう。アメリカのこれと同じことだ。

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ちなみにアメリカのここでは、地下水位は、

-100m

なんだそう。
下がり方がハンパない!

いわゆる、

収奪

的な農業のやり方。これは、日本の農業だって例外ではない
つまり、全世界的に、農業は収奪的なやり方になっていて、砂漠化など、何らかの問題をすでに引き起こしており、それがいよいよヤバい状況になっている・・・ということだ。

これを仮に、「新たな問題」としておこう。

2 価格高騰(旧くからの問題)

記事には、野菜卸値2~4割高、ということが書かれている。原因は言うまでもなく、夏季の天候不順だ。

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不作でも、生産原価が上がっても、売値はなるべく据え置きたい、というのが生産者の良心だと思うが、それにも限界はある。
また、そもそも、農業って、売値がものすごく安いので、決して「儲かる」産業ではないのである。

だが・・・
僕が思うのは、この手の話題は、いつも、なんとなくフェードアウトして消えてしまって、本質的な議論に至らないよなあ・・ということだ。

論理が飛躍するようだが、農産物の価格がものすごく安くて、結果的に農家さんがあまり豊かになれない、ということに僕は疑問がある。「食」は人間の根本だから、高い価格は困る、という論理はわかるのだけれど。

米(コメ)はちょっと特殊だが、

衣・食・住

という、「全ての人間があたりまえに与えられて然るべきこと」の一つを支えている農家さんなのに、

なぜ豊かになれない?

農家さんにはもっともっと豊かになってほしい。僕はそう思うんである。

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これは、「旧くからの問題」だ。

そこでこちら。

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農水省の新たな戦略である。

先述のように、農業には、「新たな問題」と「旧くからの問題」が混在している。特に「旧」は、過去から解決されていない問題がある、ってことだ。

だから、この政策をきちんとやることには大きな意義があると思うし、期待もしている。ただ、そのどれもが

簡単じゃない。


以前もnoteしたが、有機農業の面積を増やすというのは、並大抵なことではないし、手法がそれでいいのかは、僕にはクエスチョンが残る。

予算の未執行があったり、生煮えの政策が出てくることが最近多いから、国も大変なんだろうとは思うけれど、しっかり積み上げていただきたい、と考えている。



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