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水田の畦畔管理12 ~畦畔三様~

天気に恵まれた週末。大麦の収穫作業を目前に、あちこちで農家さんが、畦畔の草刈りをしている。
管理をする者によって、畦畔の草刈りの跡が異なるのでnoteしておこう。

まずはこちら。
これは、耕作は誰かに頼んでいるが、畦畔管理は地主である農家さんが行っているというパターン。

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ナイロンコードを使用し、地肌が見えるほどガッツリ刈りこんでいる。
自分の田んぼだから、草が飛び散ることを気にしなくてもいい。

せいぜん田んぼ数枚のことだから、回数も時間も手厚くできよう。結果として、草には強いがかかり、草のバイオマス(体積、目方みたいなもの)も小さい。

あと、畦の天場・法面の面はシャープさを保っており、形状が崩れていない

ちなみに、この畦畔の管理者は、70代かな?と思われるじいちゃんである。

次はこちら。
これは、耕作と畦畔管理を、ともに大規模農家さんが請け負っているパターンだ。要は、地主が畦畔管理をできない田んぼである。
最近増えているね。

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これは5m級の法面で、デカいってこともあるのだが、前の写真に比べて、草のバイオマスが明らかに多いことがわかると思う。これは、

年間の草刈り回数が3回程度と少ない

ため雑草が伸び、その結果、

多年生雑草への遷移が進んでいる

ためだ。つまり、

植生が「森」に向かっている

ってこと。

併せて、隣人に配慮し、草を落とさないよう、田のキワは作業を遠慮している感じになる。
総じて、畦畔管理には手が回っていない、ということだ。

最後はこちら。
耕作、畦畔管理を請け負う大規模農家が、畦畔管理を「除草剤オンリー」でやっているパターンだ。
お近くにもありませんか?

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説明するまでもないですね。

土はガサガサに荒れて嵩が減り、雨に打たれて石や岩が露出している。そして、法面は崩れ、土砂が排水路を埋める勢いだ。
植生は単純化しているが、僕には、この草たちが、なんとか頑張ろうとしているように見えてしまう。いずれにせよ、

この畦畔は、死んでいる

のである。

この地球にあって、植生は遷移し、最終的には森になる。だが「農地」ってのは、人間が、目的とする植物「のみ」を残し、他の植物は排除する偏った植生だ。だから、遷移を止めおくという「圧」が必要で、それが畦畔管理なんである。

動き始めた遷移の力は強力だ。草は、刈っても刈っても生えてくる。だから、草は伸びないように管理していこう。

結果の管理から、原因の管理へ。

頭の切り替えが必要である。




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