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予祝18 ~敵将殿、「愛」を語る~

前回の続きです。
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「愛」の前立てをあしらった兜を身に着けて現れた敵将殿。

ゆき  敵将殿、それは・・何か「違う」のではござらんか??
敵将殿 何が、でござろう?
ゆき  あ、いや、その前立ての「愛」の示すところが・・・

敵将殿は答える。

敵将殿  さてはゆき殿、それがしがこの「愛」の意味を知らぬとお考えで
     はあるまいの?

うっ・・
ち、違うのか??

敵将殿  これは拙者が、景勝殿より拝借してまいったもの。この「愛」は
     景勝殿が崇敬された”愛宕神社”の”愛”であり申す。

ゆき   さ・・左様にござる。

では何故ゆえに・・・

敵将殿 上杉の方々は、「義」に厚い方々であったと聞いており申す。この
    義とは、
   

人として、正しい道を歩む


    ということにござる。

ゆき  いかにも。

そのとおりである。

敵将殿 先ほどの「愛」でござるが、それこそ”人として、正しい道を歩む”
    ということではござらんか?

ゆき  御意。
敵将殿 うむ。それゆえ拙者は、この「格好」をしてきたのでござるよ。

これは一本取られた。
さすがに、ただ「戦って」きた武将ではないようである。

敵将殿 もっとも・・・

彼は続ける。

敵将殿 景勝殿が申されたのでござるよ。「一度、ゆき殿とやらに”謎か
    け”してみてはいかがかな?」とな。わーっはっは!!

敵将殿は、豪快に笑う。
そうか、景勝公の「策」であったか!(笑)

敵将殿 では、ゆき殿、馳走になり申した。今宵はこれで失礼仕る。

そして敵将殿は消えた。

「あちら」の世では、人は、自由に「人」に会えるらしい。

あのように、「目に見える形」で何かを掲げて行動することは、とても大事なのかもしれない・・・そんなことを感じた。

これであれば、自分も、そして周りの者達も、自分が何のために戦っているのかを、決して見失うことはないだろう。

これが心意気というものか。

熱く燃える炎に、情けの水がつけ入る隙はない。


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