自然との対話
金曜日。山間地は比較的涼しいとはいえ、気温は30℃を超えている。
15時の休憩を終えて、本日最後の田んぼに入る。
半分ほど草を刈り終えて、ふとお山の方を見ると、どんどん雲がかかっている。雨も降っているようだ。
来るか?
あの雲がここまで降りてきたら、きっとバケツをひっくり返したような雨になるだろう。
僕は龍さんに話しかける。
どうします?降らせますか??
僕はどっちでもいいけど、願わくば・・
こう思いながら、目では草を追いながらも、鼻で風の匂いを嗅ぎ、皮膚で風の温度を感じている。
するとしばらくして、雲の動きが止まり、虹が出た。
どうやら龍さんは、降らせないことにした模様。
僕は気を取り直して、残りの作業に勤しむ。
およそ小一時間。大体、目鼻がついた。
再び顔を上げると、
うっ・・
雲が再び・・
「こら、アカン。」
僕はD氏と相談し、作業を切り上げた。
どうやら龍さんは、一時期、雨を止めていてくれたようである。
・・感謝。
クルマを走らせながら、僕は今日一日を振り返る。
蝉だけでなく、カミキリ、キリギリス、沢山の虫たちが印象に残った日だったな。そして、考えてみれば、龍さんと会話しようと思ったのも久しぶりだったよな・・
そんなことを思う。
少し、自然との対話を疎かにしていたかも知れない。
しきりにそのことを思った。
龍神は穏やかにそのことを教えてくれたようである。
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