農業をひも解く11 ~スマート農業~
今、農業の業界は「スマート農業」花盛りである。
そもそも、なんでこんな話が急浮上してきたかというと、それは、農業分野における労働力が、今、決定的に足りていないからだ。
2020年の農林水産省の資料を見てほしい。
僕が大きく赤枠で囲った左の2つの箇所、
① 1995年から2015年の20年に、農業就業人口は、約200万人減っている。
② 農業就業人口の約70%は60歳以上である。
ここだ。
このような状況では、外国人労働者を1万人入れたところでどうにもならない。だから、農業の生産性を大幅に向上させるしかないのだ・・・というロジックであったと思う。
同じ資料の最新版は、こちら。
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/attach/pdf/index-161.pdf
僕は現場の人間だが、この見解は、
農業はあと10年がヤマ
という、僕の感覚に合っている。
なので、スマート農業は、一気に「社会実装」に向かった。
・・・こういう経緯である。
しかし!
話はそう簡単にはいかないだろう、と僕は感じている。
少し深掘りしてみよう。
産業において、生産性の向上にデジタルを活用するのは時代の流れだし、実際に有効だと思う。つまり、
「農業」とデジタルは親和性が高い。
と言える。
しかし、そのデジタルを「使う」のは誰?となった時に、「それは農家さんです。」となるのだが、その農家さん、この
デジタルが苦手
であることが多い。
若い人は全く問題ないのだが、農業を営む大方の農家さんは高齢者。
なので、
「農家」とデジタルは親和性が低い。
ということになってしまうのだ。
実はここ、致命的な問題だと僕は思っている。
実際、インターネットがこの世に登場して久しいが、今でも「苦手」とおっしゃる方が多い。また、デジタル活用に不可欠なデバイスとなるスマホ(やPC)についても、ケータイ以上の使われ方は、残念ながらされていない。
つまりスマート農業は、農業分野において、
必要十分条件を満たしていない。
ということになる。
スマート農業は、採算性に関して難しいということが新聞紙上でよく見られるけれども、それ以上に僕はこの点を憂慮している。
一気に社会実装に踏み切られたスマート農業。
今のデジタルネイティブ世代が完全に表に出るまでに、あと10年か?
さあ、どうする。
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