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ナポリからフェリーで1時間、イスキア島は期待以上に楽しい島だった
2022年、3月にイスキア島を訪れた。
ナポリからフェリーで1時間かかるその島を訪れることに決めた理由は、「都会の喧騒から離れてゆっくりできそうな場所で休暇をすごしたい」という単純な理由だった。
それまでジェノヴァに1ヶ月滞在していた私たちは、少し南に下ることで温暖な気候にも恵まれるのではないかという期待もあった(実際は、寒波のおかげでかなり肌寒い陽気の中で過ごすことになったものの)。
イスキア島の中心的な港に降り立って、観光客向けのショッピング大通りをAirbnbで予約した滞在先のアパートを目指して歩いて行った私は、その大通りの「不穏な」雰囲気にはやくも「もしかしたら、休暇の滞在先選びを間違えたかもしれない」と後悔しはじめていた。
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というのも、大通りはがらがらで地元の人を含めても人通りがとても少なく、お店もほとんどが閉まっていた。コロナ禍によって、観光業が主要な稼ぎであるイタリアの島々の経済が大打撃を受けているというのは聞いていたものの・・・ここまで「ゴーストタウン化」してしまったのかという衝撃と、この先の休暇が楽しいものになるのだろうかという不安と、ごちゃまぜになった感情に包まれる。しかも、この時期には珍しい寒波が訪れていて、更なる暖かさを求めて南下した期待が泡となりつつあった。
Googleマップを片手に滞在先を目指しながら大通りを歩くこと30分近く、ビーチの目の前にある滞在先のアパートに辿りつく。「鍵はドアのところにかけておくから」というメッセージをホストから受け取っていた時には、そんな不用心な管理で大丈夫なのかと心配していたものの、実際にアパートにつくと、周辺の静けさにその管理方法に納得したのだった。
不安が先だつ、そんな始まりだったものの、5日間ほどこの島に滞在して、私たちは最終的にはこの島が大のお気に入りになった。観光客の少なさは、逆に私たちに穏やかに散策したり、レストラン、カフェでの時間を楽しめる余裕をもたらしてくれたし、天候も初日を除いてはほとんど雨も降ることなく、日中の太陽の下、ハイキングをすれば軽く汗ばむほどだった。
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イスキア島の魅力はまず、バスで1時間半ほどで島を1周できるコンパクトさ。主要のバスが時計回り、半時計回りに島を定期的に回っていて、バスを乗り降りしながら、島の色々な場所を回っていけるのも便利だ。5ユーロほどの一日券を買えば、バスは乗り放題だ。また、小さい島ながらもエリアごとの雰囲気や見どころも違って、数日かけて色々な場所の散策を楽しめた。そして何よりも、常に雄大な海とその向こうにあるナポリやカプリ島、そして島の丘とそこに広がる自然を目にしながら時間を過ごせたこと。
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海に囲まれた島にいるだけで、不思議な安心感に包まれた。ロシアによるウクライナ侵攻のことも、たびたび頭をよぎっていた。これから欧州はどうなるのか、物流の混乱、難民の受け入れ、そしてロシアの他国への侵攻・・・不安は尽きないものの、この島にいると、そんな不安も少しの間手放せる気がした。
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