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海辺の街で輝いてた「ラッセル・コーツ美術館」

SNSで「ボーンマス(Bournemouth)」の名前を見かけて
懐かしくなりました。 

ボーンマスは、英国・南西部のドーセットの最大都市で、
美しい海岸や温暖な気候で
英国でもリゾート地として有名なところです。 

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1997年に渡英した時、
当初は半年のボランティア活動の予定だったのですが
半年が終わる前に、
「せっかく英国に来たんだから、
滞在期間を伸ばして英語を学びたい」
と思い、英会話学校を探していました。 
  
(もう夏の期間の講座というより
秋からの新学期のコースを探す段階でした。)
 
当時大変だったのは情報収拾です。 

今ほどノートPCも安価ではなく、
インターネット環境もまださほど発達していなかったので
情報をインターネット検索することができず
結局は自分で情報を集めに行くしかなかったのです。 
 
英会話学校はロンドンにももちろんたくさんあるのですが
学費や滞在費を抑えないこと、
日本人が少ない方がいいこと、
治安が良いことなどを考えると、
地方の学校で学ぶのも良いかな、と思いました。 

そこで、小旅行を兼ねて
ブリティッシュカウンシルの資料で良さそうだなと思った
ボーンマスの学校を見にいき、お試しのレッスンを受けさせて
いただくことにしたのです。 

それまでも英国のあちこちに足を運んでいましたが
ボーンマスのように
「ビーチのあるリゾート地」の雰囲気のあるところは
初めてでした。 
 
どこか開放的な雰囲気が漂い、
こういうところで暮らすのも
良いかもしれないな、と思ったのです。 
 
ただ、何かが足りない気がしました。 
  
ロンドンでは当たり前のようにあちこちにあった
美術館や博物館がありません。 

ちょっとこれは寂しいかも、
と思って探すと、
「ラッセル=コーツ美術館・博物館」
(Russell-Cotes Art Gallery & Museum)」
という美術館があることが判明。 
 
気が付いたのがもう午後だったので
あまり時間がなかったのですが、
小高い丘に立つ美術館は、
その建物自体が贅沢な宝物のようでした。 

この建物は、もともとは
ボーンマス市長だったこともある
マートン・ラッセル・コーツが
妻の贈り物として(それもすごい話ですが)、
自分が所有していたホテルの庭の隅に建てたもの。 
 
のちにこの建物と
彼が海外旅行(日本も訪問していました)で収集した美術品が
ボーンマスの街に寄贈され、
1919年にヴィクトリア女王の末娘、
ベアトリス王女によって正式に
美術館としてオープンしたそうです。 

(つまり、昨年100周年を迎えた美術館なのです)

訪問した時にはそのような歴史もわからずにいましたが、
いかにも博物館的な宗教的な収蔵物から
美術展でメインに飾られていそうな
ラファエロ前派の作品までが
惜しげもなく展示されていて、
圧倒されました。 

部屋の中には夏の午後の光が
差し込んでいて、
部屋全体が金色に輝くようでした。 
  
豪奢な邸宅にはあちこちに椅子もおかれていて
本当ならそこに座って、
ゆっくり部屋の雰囲気を楽しみたい・・・ 

でも、到着した時間が遅かったため、
できるだけ丁寧に絵を見るのが精一杯。 
  
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの
「ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)」 
 ©Russell-Cotes Art Gallery & Museum, Bournemouth

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など、目を奪われる作品が多い中で
いちばん印象的だったのは
アルバート・ムーアの「真夏」。 

豪奢な部屋の目立つところに
堂々と掲げられた絵は
午後の金色の光の中で
神々しく輝いていました。 

この美術館を立ち去る前、
やはり名残惜しくて
もう一度見に戻ったのを覚えています。 

この「真夏」が以前「三菱一号館美術館」の展覧会で
来日していた時の動画を
Youtubeで見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=r4Vx8-cGFJ8
 
この美術館に立ち寄ったことで、
わたしのボーンマスへのイメージはぐーんと変わりました。
 
ただ、諸般の事情から判断して
秋からはロンドン郊外の公立カレッジで学ぶことにしたので
その後ボーンマスに行くことはありませんでした。

でも、英国関連の美術展で
ごくたまに「ラッセル=コーツ美術展」の収蔵物を
見かけることがあります。 

その美術館の名前を見ると、
あの夏の日に訪れた美術館での
輝くような時間を思い出します。

今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。  

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*ぶどう柄のお皿は
ボーンマスの隣町、プール・ポッタリーで
記念に買い求めたもの。 
今も大切に使っています🍇

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*「人生よかったカルタ・こども編」   
 
今回は、「ち」、
「注射が痛くてよかった」。 
 
どんな理由でも良いので、
(フィクションでもいいので、) 
「よかった」理由を考えて見てくださいね。   

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わたしの解答例は
「その痛い注射のおかげで
意識がはっきりしたのでよかった。」   

あなたはどんな「よかった」理由を考えますか?
ぜひ、聞かせてくださいね。

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