1997年11月、奈良から新宿に向かった人は

わたしが英国で過ごし、
夜行バスで旅行していた1997年、
日本である方が奈良発新宿行きの夜行バスに
乗り込んでいました。

その方は、動物行動学者の松原始先生。

わたしは松原先生が
専門とされているカラスの研究について
ラジオで話されているのを聞き、
先生の本を読み始めました。 

松原先生のご著書、
「カラス屋、カラスを食べる」
を読み、先生が1997年11月、
当時お住まいだった奈良から
東京の新宿に夜行バスで向かわれたことを
知りました。

わたしも関西に住んでいた時、上京する際には
時間はかかるけれどもコストを抑えられる
夜行バスを度々利用していました。

新宿には大きなバスターミナルがあるので
新宿発着便を選ぶことも多かったのですが、
松原先生が新宿行きの便を選んだのは
他にも理由がありました。

新宿で夜行バスを降りると、
そこはカラスだらけの繁華街のすぐそば。

しかも、到着時刻はまさにカラスが
採餌を始める時間。

カラスは、ゴミ収集車が来る前のゴミや
人の吐瀉物を食べるのです。

早朝の客引きに絡まれたりしながら
カラスの様子を偵察・観察し、
夜には道を間違えて
やばそうな通りに紛れ込むと、
警察の摘発と間違われて
街に立つお姉さんたちが
あっという間に姿を消したり。

松原先生は動物の描写だけでなく
そのほかの描写や説明も面白いので、
わたしのような動物行動学には
縁のない者でも
楽しく読み進められるのです。

そして、ご専門のカラス以外の生物の
エピソードも書かれているのも
興味深いのです。

例えば、産卵の時のウミガメの「涙」。

あれが本当は「涙」ではないって、
ご存知でしたか?

「ウミガメの涙というが、
これは目元にある塩腺から排出されている
塩分である。

しかし、潤んだ目で苦しげに産卵しているウミガメをみると、
産みの苦しみに耐えているように見えるのも確かだ。

もっとも、ウミガメは数十個の卵を
ポロポロと産み落とすので、
人間が考えるほど難産ではないのかもしれない。」

ほほー、そうだったのか・・・。

やはり読書はいいですね、

自分が知らない世界に出会えますから。

今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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