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コロナウィルスのせいで、季語が消える?

少し前ですが、NHK ETVで 
「夏井いつきと壇蜜の新しい日常俳句」
という番組があったのをご存知ですか? 
  

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(画像は放送された番組のものです) 

わたしは録画しておいたものをちょっと遅れて見ました。

新型コロナウィルスでわたしたちの生活は
かなり変わったわけですが、
「新しい日常」の中で発見したテーマの
俳句を募集したら、1997句も
集まったのだそうです。
 
その一般の方たちの俳句を通して
みなさんが新しい日常の中で
どう工夫して過ごしているかを見る、
という趣旨の番組だったのですが、
これがとっても面白くて。  
 
選ばれたいくつかの句には
イラストレーターの「たかだべあ」さんの
可愛らしい映像もつけられていました。  

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いくつかのカテゴリーに分けられた中で 
わたしがのけぞったのは
「マスク」カテゴリーのこの句。 
 
「マスクもう季語じゃないよね日の盛(さかり)」
 
風邪の予防や寒さ・乾燥から鼻や喉を守る「マスク」は
本来冬の季語なのだそうです。 
 
夏井なつき先生曰く、
 
「花粉症がひどくなってきて
『次の時代には
花粉症とか春のマスクとかが季語になっていくだろうね』
って、ずっと言ってた」
 
そうですが、
今、コロナ対策でみんな日常的にマスクをしていますよね。 
この先も、季節に関係なくマスクをする日々がしばらく続きそうです。
 
夏井先生は、
 
「『マスクもう季語じゃないよね』
って(この句に)突きつけられた。
まさかマスクが季語でなくなる日が来るかもしれないって
想像したこともなかった。
 
ウィルスのせいでなくなる季語って、初めて。」 
 
壇蜜さんも
「数奇な運命をたどる季語ですね」
と答えていましたが、本当ですよね。
 
そして、 
「渾身の教室洗浄梅雨夕焼(つゆゆやけ)」
という一句。 
 
「梅雨夕焼」は夏の季語だそうですが、
梅雨の時期の夕焼け・・・ってことは
先生たちは梅雨の鬱陶しい湿度の中
夕焼けの時間帯まで
机も椅子も床も、必死に消毒、洗浄していたということか・・・
 
夏井先生は中学校の先生をされていたそうなので、
その情景がリアルに目に浮かぶのでしょうね
 
「『渾身』という言葉がこんなに『渾身』だという句は
ないかもしれないね」 
 
とおっしゃっていました。
 
また、番組の中では夏井先生と壇蜜さんが
それぞれに一句ずつ「夏井賞」「壇蜜賞」を決定。 
 
壇蜜賞は
「キープ・ディスタンス」のカテゴリーの
「どーもと言って二歩下がる木下闇(こしたやみ)」。 

「あ、どーも」と言って近づいていって、
「お元気ですか」、と握手などしようとして
「あ、いけない!」と気づいて二歩下がる、
という情景をよんだ句です。 
 
「木下闇」という言葉、初めて聞きましたが
夏の季語で
「鬱蒼としげる木の下の闇のような暗がり」
のことなのだとか。 

夏井先生は 
「『二歩下がる』というこの『二歩』がリアル!
二歩下がった先が木下闇っていうのも
たまたま影に下がったっていう映像的な意味もあるだろうけど
やはり心理的な屈託というか、屈折というか
その気分も入っているような気がする」
と激賞。  

壇蜜さんも
「入っているでしょうね
二歩さがるってことが決して明るいことではないことの
象徴のような気がします。」  
 
夏木先生が「夏木賞」に選んだのは
 
「遠雷や愛てふ(ちょう)消毒のにほひ」。

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「『愛という名の消毒の匂いなのよ、これは」
って、妙に説得力があるなとおもって。
 
遠くで鳴ってる遠雷を聞きながら
消毒消毒って言われて自分の身の周り消毒してるけど
『愛という名の消毒なのよ』って
耳元で遠雷が囁いているかのような。 
 
耳打ちもしてもらえないご時勢になっているから、 
『消毒にうんざりなんかしないで、
もう愛だと受け止めましょうよ』
みたいなそういう考え方もあってもいいかも。」
 
壇蜜さんも
 
「スーパーにも愛、
デパートにも愛、
家の前にも愛!」
 
と笑っていましたが、
そう思うと、消毒も億劫ではなくなりますね。 
 
自作の句も披露した壇蜜さんは
「17文字にすることで
落ち込んでいたことやイラついていた気持ちが静まった気がした」
と話していました。
 
まとめに夏木先生は
「自分たちだけがしんどいんじゃなくて、
みんな同じようなしんどさを抱えてて、
あっけらかんと(その辛さや不自由さを)
言葉にすることで、
新しい日常の過ごし方を
教えてもらうような句がたくさんありました。」
と話されていました。
 
文章でも俳句でも、
状況を言葉にすることで
改めてその状況を客観的に捉えることができますよね。
 
それにしても、興味深い番組でした。
 
ぜひ続編が見たいです。 
 
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 
 
*「人生よかったカルタ・こども編」  
 
今回は、「お」、
「お年玉が少なくてよかった」。 
 
どんな理由でも良いので、
「よかった」理由を考えて見てくださいね。  

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わたしの解答例は
「その分、家族で美味しいおせちが食べられてよかった。」
「無駄遣いしなくて住んだから、よかった。」
 
あなたはどんな「よかった」理由を考えますか?
ぜひ、聞かせてくださいね。

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