憧れのあの人と、同じ街に住む。
わたしと同年代の読書好き女性なら、一度は通ったであろう
「山田詠美ルート」。
小説からエッセイまで、一時期、貪るように読んでいました。
わたしの知らない世界ばかりが綴られる小説の後に、まさに衝撃的に抱腹絶倒だったエッセイ「ポンちゃん」シリーズの雪崩にあい、山田詠美さまはわたしにとっては「アイコン」だったのです。
今風に言うなら、「神」ですね。
ですから、三年くらい前、大阪の書店のサイン会で初めてリアル・山田詠美さまに会えたときは、本当に感激しました。
そして、わたしが吉祥寺界隈に引っ越してきた一昨年のある日、吉祥寺の商店街の書店で詠美さんの本、「吉祥寺デイズ」を見かけて、あの詠美さんも吉祥寺に住んでいることを知ったのです。
あの詠美さんと、同じ街に住むようになったなんて。
夢のようでした。
の、癖に。
わたしは大好きなものは最後にとっておいて食べたいタチなので、「この本、ゆっくり読もう」と時々パラパラしつつも、きちんと読んでいなかったのでした。
それじゃ、いかん。
することが色々ありつつも、うまく休まないと、そして上質なインプットをしないとまずい、と言うことを自分でも感じていて、昨日、久しぶりにこの本を手に取りました。
山田詠美さま、やっぱり面白い!
そして、やはりご近所さんだけに、ネタも身にしみてよくわかるのです。
本の中に出てくる吉祥寺駅の駅ビルの魚屋さんにはたまたま昨日行ってきましたしね(美味しそうなぶりのあらがあったので、近くの八百屋さんで大根も買ってきてブリ大根にしました)。
この本、副題に「うまうま食べもの、うしうしゴシップ」と書かれている通り、その当時のゴシップねたも多いのですが、詠美さんが書かれたものを読んでいると、「この人は、人として正しい人だな」、って感じるんです。
他人の尻馬に乗らず、国のあり方についても、世間で起こっていることについても、ゴシップネタについても、きちんと自分の意見を持っている人。
そして、人としてのあたたかさや優しさのある人。
作家として、言葉に厳しい人(もちろん、いい意味で)。
読み口としては明るく楽しく読める本ですが、山田詠美さんのまっとうさを痛感する一冊です。
それにしても、詠美さんは(この本を書いたのと同いところに住み続けているのだとしたら)井の頭公園の目と鼻の先にお住まいのようです。
わたしも相当近所に住んでいるので、もしかしたら、どこかですれ違っていることがあるのかもしれないな、と思うと、それだけで楽しくなりました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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