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もしあなたに子供がいて、がんの転移を知ったとしたら・2

前回、人気ラジオ番組、
「ジェーン・スー 生活は踊る」
の7月23日の放送の相談コーナー
「相談は踊る」に寄せられたある女性の相談についてご紹介しました。   


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この相談をされたのは、中学生のお子さんが二人いる、40代後半の女性。
 
6年前に乳がんの治療をしたときには
まだ二人のお子さんが小学生だったので
癌だと伝えていなかったそうです。  

でも、お子さんたちはテレビなどを見て
お母さんの病気のことに
気づいていたとのこと。 
 
今は中学生になっているので
病気のことも、
体調を崩しやすいこと、
コロナウィルスには 
気をつけなくてはいけないことも伝え、
「家事も手伝ってね」
とお願いしているそうです。 
 
この方の詳しい相談内容は前回に書きましたが、
それに対するジェーン・スーさんの回答、お見事でした。  

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まず、誰かに相談したくても、
家族にもなかなか言えない
この方の気持ちを受け止めて、
 
「日常的なことをしているとき、
何度も涙が出てきてしまうというその気持ち。 

もちろん、
100%理解することはできないけれども、
でも、その不安な気持ちは、わかるよ。
・・・
辛いだろうなあというのは、感じるよ。」
 
わたしが相談者だったら、
これを聞いただけで泣いてしまうでしょう。
 
スーさんはこの女性とほぼ同い年で、
20代前半でお母様をなくされた経験も
おありです。  

それに加えて、お母様を亡くされた後
お父様の様子も見られていたので、
相談者さんご自身のことだけでなく
相談者さんのご主人のことにも
非常に配慮されて回答されていました。
 
「(医師にも必要ないと言われていても)
我々が何をどう言おうと
(余命についての不安は)
定期的に襲ってきてしまうものだと思うんです。
 
それを今共有できる人がいないのが
今一番多分辛いことなのでは?
 
不安に一人で襲われて
自分で処理しなくちゃいけない。 
 
旦那さんの方は
生活をしっかりやってくれるということで
このかたは安心したいのだと思うけれども
なかなかそうもいかない。」 
 
相談者さんの気持ちに寄り添ってから、
ご主人の気持ちも考えます。
 
「旦那さんは旦那さんで
どうしていいかわからないとか
自分に果たしてできるだろうかと不安や傷つきで
(妻に傷つけられたのではなく、
自分自身の弱さに傷ついて)
いっぱいいっぱいなんだと思うんです。
 
そういう時にしっかり向き合って
ひとつずつ不安をつぶしていくタイプの人と、
何もなかったのような様子を装うことで
その場をしのいでいく人がいます。 
 
もしかしたらそのことが夫婦間で
噛み合っていないのかもしれない。
 
奥さんは一つずつ不安を潰していくことで
明日に命を繋いでいく力強さが欲しい。 
 
旦那さんは普段と同じようにしている。」 
 
そして、
 
「どうしたら子供のことについて
夫が行動してくれるようになるのか。
やらされるのではなく、
自主的に子供に関わってくれるようになるのか」 
という相談内容について、
スーさんは
 
「『こうしてああして』というと
なぜそうしなくてはいけないのかが伝わらなくて
諍いになったりしかねない」
と言いつつ、
ご自分のご家族のことを話してくださいました。
 
スーさんが24歳でお母様を亡くされた時
お父様は「逃げ回っていた」そうです。 
 
(突然奥様を亡くされた悲しみが大きすぎて、
そのことに向き合うことが
難しかったのかもしれません)
 
「家族の一員として何かやってたかというと
子供に対するケアとしてはやってない。 
 
でも、多分私の見えないところでは
いろんな手続きとかやってたと思うんです。」 
 
そのように妻を失った夫であったお父様の様子も
ご覧になっていて、
ご自身がお母様を亡くされた娘としての悲しみも
体験されていたスーさんのお話は、
本当に体験した人にしか語れない重みがありました。
 

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「正直、この後どうなるかを
今100%保証するすべはないんです。
 
お気づきかどうかわからないけど
『夫が積極的に子育てに関わってくれたら
このかたが安心して治療に専念できる』
ということが、ご主人に伝わっているかが不安。
 
『こうしてああして』っていうと
『できないって言ってるの?』とか
『やっているよ』とか
『気にしすぎだ、大丈夫だよ』
という返事が帰ってきちゃうんだけど。
 
だけど、
『私は今、不安がどうしても襲ってきてしまう。
それがストレスになるのが、
今後長く生きていく上で
かなりの障害になっていく。 
 
安心して自分自身の治療に専念するために
行動であなたに子どもと関わっているところを
見せてもらうことはできないだろうか?』
ということを手紙に書いてみたら? 
なぜ面と向かって言わないかというと、
男性陣は
『大丈夫だよ、平気だよ』
といいがちだから。 
 
それは彼らが
鈍感だからとか無神経だからではなくて、
弱いとされることが
一番の致命傷なんじゃないか思っていて。 
 
(男性が)
『あなたは弱い人』だとか
『あなたはダメな人』だとか 
烙印を押されることが
最もダメージが大きい生物だとするならば、
共感することがなかなか難しいと思うんです。 
 
『いやあ、それは辛いね』
『自分のことのように悲しいよ』とは言えない。
 
『大丈夫なんとかなるよ』と言っちゃう、
(言われた)こっちはそれで傷つく。 

手紙だったら(読んだ旦那さんが)
動揺したり泣いたりも一人でできる。
 
旦那さんも相当混乱していると思うので、
『こうして欲しい、なぜならこうだから』
というだけで、お願いごと最大2つかな。
 
『なぜそうして欲しいかというと、
私が長生きするためで、治療に集中するため。
これとこれが見られるとすごく安心する、
これとこれが見られるとすごく幸せ』 
 
というところまで詰めて書けば、
何かしらリアクションしてくれるのでは、
と思うんですけどね。 
 
治療に集中することが、
この方がお子さんたちの成人を見るために
一番必要なこと。
 
そこでイライラしたり不安があったりすると。
気持ちも力も健康力も落ちていきますから。」 
 
もちろん、男性にも
色々な方がいらっしゃるわけですが
相談者さんが描写されたご主人の様子を踏まえて
スーさんはこのように回答されました。 
 
それぞれの人の違いも、
男女間の考え方の違いもあって当然なのだから
その違いも踏まえて、
相談者の方がご主人と良い方向に
コミュニケーションをとって
治療に専念できる状態を作るためのアドバイス、
さすがでした。 
 
この後、お話は
お子さんたちのことに及ぶのですが、
長くなりましたので、また次回に。 
 
今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。 
 
*「人生よかったカルタ・こども編」  
 
今回は、「こ」、
「校長先生のはなしが長くてよかった」。 
 
どんな理由でも良いので、
(フィクションでもいいので) 
 
「よかった」理由を考えてみてくださいね。    
 

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わたしの解答例は
「わたしは校長先生の声が好きなので
たくさん先生のお話を聴けて嬉しかったから、よかった。」 
 
あなたはどんな「よかった」理由を考えますか?
ぜひ、聞かせてくださいね。

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