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ナツノコエ『magic hour』【Daily Recommend 15】

2024.4.10 Release
Happinet Music / 蔵前レコーズ

名古屋から夢を追いかけて上京してもうすぐ7年になる。
友人のほとんどが名古屋にいたので物理的に離れることになり、なかなか頻繁に連絡が取れなかったりライブハウスで会う機会も無くなったりで、時間も経てばやむを得ず疎遠になってしまうもの。
だけど、その記憶はいつまでも色あせないのと同じように、当時聴いていた音楽やアーティストのことも脳内に色濃く染みついている。
最近、懐かしいアーティストのアルバムがリリースされたので、ぜひ紹介しておきたい。


愛知県は名古屋を拠点に活動するシンガーソングライター・ナツノコエ。
といっても、ぼくの中では“なっちゃん”のイメージが強いんだよね。
同世代の方であればおなじみのバンド、ポタリのボーカルだったあの“なっちゃん”。
オーディションを勝ち抜いて出演した「TREASURE05X 2012」のラグーナビーチはもろ会場で観てたし、リリースタイミングのタワーのインストアライブとかZIP-FMのイベントとか、もちろんライブハウスにも観に行ったことあるし、いつかのリリースタイミングで務めてたHMV栄に訪店してくれたときにはコメント書いてもらったりの対応したこともある。
2019年3月に残念ながら解散しちゃったけど、その後ソロ活動を進める中でナツノコエと名乗るようになって、いつだったかタイムラインに流れてきたときには旧友と再会したような気持ちでうれしくなったのを覚えてる。

少し話が逸れるけど、最近では元つばきファクトリー・岸本ゆめののソロデビュー曲“BLUEMOON BLUES”を楽曲提供している。
この楽曲、聴けば聴くほど完成度がかなり高くて、きしもんのソロデビュー曲という意味でも特筆すべきだと思うので、また機会があれば取り上げたい。


そんな“なっちゃん”=ナツノコエの2ndフルアルバム『magic hour』。
まずはぜひ聴いてみて、1曲でも好みの楽曲を見つけてみてください。



「マジックアワー=魔法のような時間」のオープニングを飾るのは、M-1"諦めの悪いベイビー"。
各種サブスクリプションサービスのプレイリスト入りを果たしているこの曲には、その歌詞からもサウンドからもとにかく元気をもらえる。
青空が似合うMVもステキで、さっき話した上京当時の自分に聞かせてあげたいわ。
とにかく前向きで、諦めたくない――バンド時代も含めてナツノコエの核にある精神性が歌われている気がして、夢を追いかける学生にも社会人にも、昔ライブハウスに通ってて今お母さんやってる人とかにも届いてほしい1曲。


M-2“Yellow Monkey World”はサル好きとしては放っておけないけど、この曲に込められたメッセージの真意をいつか聞いてみたいところ。(楽しく踊らせてもらってます!)

そしてM-3“kanon”。
作曲家・田鹿ゆういち氏から楽曲提供され、アルバムリリースの1週間前に先行配信、ナツノコエのシンガーとしての魅力を最大限に感じられるバラードに仕上がっている。
愛しい人との記憶を回想するように丁寧に歌い上げ、サビ終わり《このままで》《もう戻らないの?》《いつまでも》で解決コードに向かわずに不穏なまま伸ばしているあたり、揺れる恋心を見事に表現していると思う。
そしてMV。マストで観るように。
「撮影前夜に まさかの大雪 中止も視野に入れ迎えた当日。 この日だからこそ撮れた景色が! ラストの外シーン、美しさエグい」と本人が発信しているので、ぜひ確認してみてください。(撮影中止にならなくてよかった……)
全編通して、モノクロシーンとカラーシーンのコントラストが本当に美しいです。


この“kanon”からM-6“hakka”までは、どちらかといえば光より陰を感じられる質感の曲が続く。
ぼくの勝手なイメージだけど、ポタリ時代はやっぱり元気で明るいバンドのイメージが強くて、それに対してナツノコエはしっとりしたオトナなラブソングがとにかく聴き心地よくて、今回のアルバムのいちばんの新発見だった。
M-4“アンモナイトラブ”なんてまさにそう。
M-5“Step by Step”は《いかん》《離れん》《だもんで》とか名古屋弁たっぷりで親近感湧きまくり。ありがとうございます。

M-6“hakka”は、2022年12月10日に配信シングルとしてリリースされた楽曲。
学生時代とはまた違った、大人の恋の形ってありますよね。
《ハッカ》や《ペパーミント》の部分は、聴く人によって違った匂いがするのかも。
MVも制作されているのでぜひ。


M-7“トキハナテ”は、2022年6月10日に公開されたMVの音源をリアレンジして収録。
バスケットボールチームの応援歌にもなっているように、夢を追いかける人の背中を全力で押してくれる。
この曲の存在は、夢追い人にとってめちゃくちゃ頼もしいやろうなあ。
ぜひバンド編成のライブで聴きたい1曲。


これからの季節にぴったりのM-8“サマーお化ケーション”に続いて、MVが制作されているM-9“二度寝とスヌーズでつくる幸せな朝のレシピ”は、2022年6月19日に配信シングルとしてリリースされた楽曲。
ぼくね、ほんとに朝が弱くて、スマホの目覚ましが鳴っては止めての繰り返しで2時間くらい経ってるときあって。
だらだらしたくないし起きれるようになりたいなあと前々から思ってたけど、そんな朝をも肯定してくれるポジティブソング。
たまにはだらっとする朝があってもいいよね。


魔法の時間ももうすぐ解けてしまう……そんな儚さをしゅわしゅわ気だるく歌うM-10“Sodanight”、両親に手紙をしたため新たな人生の白紙の1ページをめくるM-11“白”。
以上、11曲が収録されたアルバム……と思いきや!
『magic hour』には幻の12曲目が存在してるみたいで、パッセタワーの4月3日に開催されたインストアライブの来場者特典で配布されたみたい。
イチオシソングとか言われたら余計に気になるやん……パッセ懐かしいし行きたかったなあ。。


これとは別に4月9日にもインストアライブがあったみたいで、Xにアップされた、インストアライブ特典のCDケースを1つ1つ折りたたんでアーティストロゴのゴム印を押していく様子。
こういう丁寧な作品づくりにも人間性が表れているし、楽曲のアレンジや歌いまわしにも表れていると思う。


“ナツの声”で彩られる様々なストーリー、サウンド的にも多岐にわたるアプローチを見せながらも、どれもナツノコエ映えする楽曲がずらりと並んでいる、おしゃれレストランのフルコースみたいなアルバム。
地元の愛着抜きにしても、もっと評価されていいと思うんだよね。日本の至るところで鳴っててほしいよ。
(感想を #magichour 付きで投稿してあげてください!)


■ナツノコエ「magic hour Release Tour」
2024.5.11(土) 愛知 名古屋ell.FITS ALL
 w) Bray me
2024.5.26(日) 大阪 心斎橋LIVE HOUSE Pangea
 w) POP ART TOWN and more
2024.6.14(金) 東京 渋谷Spotify O-nest
 w) 

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