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SILENT SIREN『YOUTHFUL』【Daily Recommend 3】

2024.3.31 Release
YOUTHFUL TUNE

SILENT SIREN、略してサイサイ。
メンバーは、すぅ(吉田菫/Vo・Gt)、あいにゃん(山内あいな/Ba)、ゆかるん(黒坂優香子/Key)の3名。
2015年にはガールズバンド史上最短の日本武道館単独公演、2016年には横浜アリーナ公演を開催し、その後アジア・アメリカを周るワールドツアーを開催。
2017年にはメジャーデビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる日本武道館2Days公演を成功させたガールズバンドである。


“LOVEのしるし”のMVが公開された2012年夏、
TwitterだったかmixiだったかでMVがまわってきて、
当時04 Limited SazabysやNorthern19あたりのメロディックパンクバンドを好んで聴いてたぼくは、
ファッション雑誌の読者モデルによって結成されたサイサイのかわいらしいルックスと、
パンクバンドとはまったく別のベクトルながらキャッチーで中毒性のあるサウンドに妙に惹かれてしまってCDを購入。
友人のDJイベントに誘ってもらったときに“イブニングスター”を流したのをよく覚えてる。
(なんとなく乙女っぽいイメージで清竜人“インモラリスト”につないだんだっけ) 

2012年11月、シングル『Sweet Pop!』でメジャーデビューして以降は右肩上がりに動員を拡大し続け、
ライブハウスでもフェス会場でも、サイサイの輪がぐんぐん広がっていくのを現場でリアルタイムに感じてた。
それはもうすごかった。みんなサイサイの虜になってた。
その実績は書き出しのとおりで、「ガールズバンド」という表現がいいのかどうかは置いといて、まさに日本を代表するガールズバンドにまで成長を遂げたのを目の当たりにした。


そんな彼女たちは2021年末のライブツアーをもって活動休止期間に入るが、このたび約2年の活動休止を経て自社レーベル「YOUTHFUL TUNE」を設立し、待望の新作ミニアルバム『YOUTHFUL』をリリースした。

サイサイは2015年にメジャー3rdアルバム『サイレントサイレン』をリリース、また活動休止前には2枚のオールタイムベストアルバム『SILENT』『SIREN』と、ターニングポイントとなるセルフタイトルをリリースしてきたが、『YOUTHFUL』もまた自社レーベル設立直後の決意表明的な“セルフタイトル”と言える。
そのタイトルからも、自社レーベルで心機一転新たに活動していこうという気概が窺える。

サイサイの音楽を聴いたことがないという方は、まずはM-1“オンリーワン”を聴いてみてほしい。
あいにゃん大活躍のベースアクションに始まり、
高速BPMのダンスビートに乗せてゆかるんのキーボードが踊り、すぅのチャーミングな歌声が重なる。
これがまさにサイサイサウンドの正攻法の1つ。
電車移動中に再生ボタンを押した瞬間、「変わってなくてよかった!」「これこれ!」と心の中で叫んでしまった。
おそらくニヤついてた。車内で見てる人がいたら気持ち悪かったと思うw
でもそれだけサイサイがサイサイのまま帰ってきてくれたことがうれしかった。(クボナオキバンザイ!)
ファン1人ひとりのことをオンリーワンに感じてくれてたら、こんなにうれしいことないよね。


続くM-2は先行配信されていた“Sus4”。
えっ、なんか見覚えあるスタジオの構図だなと思った途端にオープニングのすぅの登場を見て確信。
YouTubeのコメント欄で気づいてた人もいたけど、“stella☆”のMVのセルフオマージュなのだ。(イントロで使ってるコードもほぼ同じ?)
こうやってアーティストが過去の曲を大事にしてくれてるのって、当時から追いかけてきた時間を肯定してくれているようで胸が熱くなった。
再出発ーー何物にも染まっていないことをイメージした白が基調の衣装には好感を持てるし、2番の私服風の衣装で戯れる様子は目の保養そのもの。

ちなみに“Sus4=サスフォー”ってルート音から第3音を第4音に吊り上げるコード構造のことで、
次の解決コードに向かっていきたくなるコードの性質を、「浮遊感のある次に進みたくなるような響き」=「新たなステップへ突き進むバンドの姿」と重ね合わせているのだそう。
活動再開1発目にこの曲を選んだのは大正解だな。


M-3“衝動”は5曲の中でいちばん好きかも。グッときた。
数々の名曲が生まれてきた“東京”のように、“衝動”ってロックバンドがここぞというタイミングで付けるタイトルだと思うんですよ。
楽曲全体から再始動の決意がひしひしと感じる。
サビ頭の《踏み付けられてつぶれそうでも/深く根を張って這いつくばっている》なんてまさにそう。
サイサイの中でもロック色が強いこういった曲のすぅの艶のある力強いボーカルにはほんとにうっとりする。
2番のあいにゃん×ゆかるんのハモリパート⇔すぅパートのかけ合いもエモいね。

M-4“最愛の君へ”。
1番のAメロをゆかるんが、2番のAメロをあいにゃんが歌唱。
そんなチャレンジも、バンドが新たな形で前に進んでいく決意の表れ。
出会いの季節である春を感じられる描写がたっぷりで、ファンとの再会を喜んでいるようだ。

ラストは4536進行でしっとりと歌い上げられるバラード、M-5“揺揺”。
歌詞からすると読みは“ゆらゆら”でいいのかな。
気になったのが、すぅがアウトロ後に歌い切ったはずなのにブレスをしていること。
このアルバムから新たなフェーズへ飛び立つ瞬間の心情を切り取ったものだろうか。


桜の開花状況について毎日のようにニュースで報じられているが、
全国的に満開のお花見日和になるまではもう少しかかるそう。
アルバム全体で春のにおいと空気感を存分に感じられる1枚。
春を五感で感じながら、まだまだ聴き続けていきたい。

しかし、このタイミングでインタビュー稼働はないんかな。
いつかライターとして話を聞いてみたいな。


SILENT SIRENオフィシャルサイト
https://silent-siren.com/

SILENT SIREN LIVE TOUR 2024「I'm Home」
2024/4/6(土) 愛知 BOTTOM LINE
2024/4/13(土) 福島 HIPSHOT JAPAN
2024/4/20(土) 東京 Zepp DiverCity(TOKYO)
https://silent-siren.com/ticket/imhome/

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