透明な時間

止まるって大事だ
切るのとも 離れるのとも違う

さざ波に身を任せて
揺蕩うことも
風の向きに沿って
勢いよく泳ぎ出すことも
向かい風を感じて
受け止めながら指針を見つめることも
波間に身体を潜らせて
くぐもった水音に包まれることも
僕にとっては大切だけど

たまにはこうして
何も考えず 星空を眺めたい時もある

上がって来る白銀の柔らかな光の軌跡を
ぼんやりと見つめていたいんだ

知らずに溢れくる雫を止めずに
思うままに流してあげる優しさを
自分に向ける時があっていいじゃないか

あぁ……頑張っていたんだな、と
認めて褒めて労うことを
忘れがちになるけれど
他でもない何も縛られずにいる時間

明日はやってくる
けれど今は自分の心の声に思う存分
耳を傾けよう

暁の広がりは焦らずとも昇るから
今は僕は僕と語らっていよう

泥のように眠ることに飽きたなら
自然と目が醒めて
また泳ぎたくなる

それまでは止まる中で
静かに 解放して 手放して
目が慣れてきたら
景色を味わおう
気づいた当たり前に感謝しよう

また会う時には いつもの僕だから
それまではこの凪いだ世界で
脱ぎ捨てた裸の自分で 呼吸をしていたい

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