見出し画像

灯る道標

探していた
僕を
僕だけを
探して 探して 探して
いつしか手にしたランタン

ひとつ ふたつ
浮かぶように ぽつりぽつりと
添うように 気づけば増えていた
先にも 周りにも 後ろにも
ほんのり灯される光

けれど目を閉じて思う
これではない
ここじゃない
迫り立てるような歩みは止まらず

明滅を繰り返して
藍色の彼方は
どこに続くんだろう
そんな途方もないことを問うていた

集めて 綴じて 並べてみても
それは僕の中からではないような気がして
似たものではないのか
近しいものではないのか
果たして それは僕のものなのか
自問自答しては 抱きしめきれず
解き放つように空へ送った

探し続けることは止められなくて

宙に差し出していた手を
握ってくれた別の体温

いいんだ、と
それは君だと
そのままでいいんだと
静かに笑った

君が見つけて 識って 気づいて 
胸の内から溢れたもの
飾りたてなくて
書きなぐりでも
不格好に感じていたとしても
想いが確かにそこにはあって
それならば 君が君から生み出したものだよ、と

涙が出た
そうか、僕は見つけていたのか、と
僕の想いはここにあったのかと
受け止めてくれる存在はあったのだと
安心したんだ

僕はここにいるんだ、と
僕だけのものはあったんだと

何も無意味なことはなく
解き放っても傍にいて
僕の見つけた 沢山のランタンの灯は
こんなにも僕の路を照らしていてくれたんだ

すれ違っていく中にも
忘れていた中にも
手にした中にも
綴った中にも
その時が 今をかたちづくる 欠片になって
閉じていて 気づけなかった僕へ
君との出逢いというギフトになって届けてくれた

なんで君みたいな人が傍にいてくれるんだろう
ありがとう
ありがとう…
ありがとう……

君が君であって
僕が僕であって
君という存在が ただ嬉しいんだ

寄り添うランタンの灯は
もう1つじゃない
沢山の灯が 広がっていく

探し続けるだろう
これからも
新しい出逢いもあるだろう
でも もう怖くない
君が教えてくれたから
僕は僕であることを 見失わない




……………………………………………………………………………………
お借りした写真:生きるための逃げは有りです
出典:星神侑兎(hoshigamiyuto)様
……………………………………………………………………………………

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?