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僕:君≠君の方程式

フィルター越しに視る
君の姿をいつまでも目で追っていたいと思った
瞬きをシャッター代わりに
僕の瞳に映る君の姿を
写真にそっくりそのままできたなら
幾分か共有が叶っただろう

僕の世界で観測できる事象を
全て共有することは難しい
それは君が観測している世界も同じで
脳を端子で繋いだとしても
感じ方や考え方が全く擦り合うなんてのは
膨大な情報の波の中で
砂粒を同時に掴むに等しいんだろう
クローンだとしても
数瞬のラグが生じたり 環境の影響が異なれば
ピッタリ重なり合い続けることはないんだろう

だからこの瞬間、時間が何よりも愛しく感じる
同じ刻のなか
交わっても 交わらなくても
共に在れる
それだけでこんなにも心が動く

繋ぐ空気が 音が 視線が
実感を伴って 沁み込むように
僕をかたちづくる ひとつになる

僕の視界が映す世界の外側にも
観測できない場所にも
君という存在は確かにある

君の視界が映す世界の外側にも
観測できない場所にも
僕という存在が確かにある

それぞれに見つけた世界の欠片を
持ち寄って交わす時
生まれる化学反応
体感する相互作用
化学式だけでは表せない空間の集い

まるで星屑の中でたったひとつに出逢えた感覚

僕のフィルターを通して視る
君の中とは違う 君という世界
ずれて理想の押しつけになっているのかもしれない
いつか軌道も逸れるのかもしれない

でも、こうであってくれとは思わないんだ
届けられるありのまま 視ていられたらとは考えるけど
きっとそれも容易じゃないんだろう

僕の感覚で色付けされたとしても
受け取る色彩が鮮やかであることは変わらない

君が君として 君自身であれればいい
僕が僕として 僕自身であれればいい
変化があるからの興味深さも面白さも
変化がないからの安心感や親しみも
全てが僕にとって 今を捉える方程式




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お借りした写真:
カメラを始めた頃に撮った写真たち2016年その1
出典:
Sally PORTRAIT<Street & Pinhole Photographer>様
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