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石丸伸二氏の都知事選出馬記者会見(中)・記者との質疑応答

前回に引き続き、安芸高田市の石丸市長による都知事選出馬記者会見を視聴した際の所感を記します。

前編はこちら。

前回は記者会見の出馬表明の要約と、筆者が気になったポイントを記載致しました。
今回は記者会見の後半に行われた記者からの質疑応答とその所感を記載致します。

また、石丸市長の簡単な紹介や筆者の石丸市長へのスタンスは下記記事にて記載しておりますので、お読み頂ければ幸いです。

⚪︎質疑応答と筆者所感

質疑応答に関して、全て書いてやろう!と息巻いていたのですが1万字を超えましたので、筆者が気になったものを抜粋して記載致します。


Q1.市長の辞任タイミングについて

Q.都知事選と市長任期が被るが、市長辞任はいつ頃を考えているか?(NHK)

A.可能な限り勤めたいが、いつ頃かはこれからの調整。

・筆者所感
この時点では不明とされていましたが、その後のニュースで2024年6月9日付けで辞職すると報じられています。


Q2.政党から出馬するのか?

Q.政党からの出馬や支援、後援組織などはあるのか?(NHK)

A.無所属で出馬する。
往々にしてこういった選挙は国政の影響が強いが、その代理戦争をしている場合ではない。
例え野党に勢いがあり政権交代しても、日本の立て直しに時間がかかる。
そこに巻き込まれると間に合わなくなるので、あえて距離を置いている。
ただ、それだと選挙戦は厳しいので、これから東京や全国から手伝ってくれる人を募集する。

・筆者所感
本来多極分散を行うのであれば、地方自治体ではなく国政が旗を振って自治体がそれを沿うように実施していく、というのが筋のようにも見えます。
ただ、それを国政ではなく首都東京の首長となり実現しようとする理由は、この辺りにあると筆者は考えています。
石丸氏が国政に出て受かったとしても、一年生議員が発言力を持ち影響を持ち、変革を促せるようになるまで数年以上はかかります。
ならば、なりさえすれば決裁権のある知事、且つ一極化先の最たる東京の都知事になり多極分散を促そう、と考えたのではないかと推察します。


Q3.これから選挙戦の組織作りをする?

Q.(前段の質問の解答を受けて)特定のグループなどと一緒にやるという形で無く、これから集めていくということか?(NHK)

A.はい。
市長時の実感として、特定の勢力が近くにあると、政策の舵取りが難しくなる
マクロな政策となる中で是々非々でやっていく必要があるため、どこかの勢力に与するのではなく、草の根的に全国から注目を集められるようにしたい。

・筆者所感
例えば、大きな派閥におもねってしまうと、そちらの意見を取り込んだ政策しか打てなくなってしまい、是々非々で判断出来なくなってしまう。
それをしないために特定勢力を近くに置かずに舵取りをする、というのは、安芸高田市長の頃の方針から変わっていないと思います。
筆者は個人的に、石丸氏のワードの中で是々非々という言葉は、自らの信条として共鳴するものがあります。


Q4.多極分散の理由と進めたい方針

Q.多極分散が人口減の対策になるとのことだが、その理由と、今の時点でそれについてやりたいと思っていることはあるか?(NHK)

A.少子化の背景は複雑だが、一つの要因として都市部に若い女性が集中している
男女、年齢層の偏在化が婚姻数、引いては少子化に繋がるので、そのリバランスを考えている。
広島で言えば、人の行き来を抜いて考えれば安芸高田市は広島市よりも出生率も高く人の減少は鈍いが、広島市は安芸高田市からも含め外から人が来るため実際の減少率は広島市の方が鈍い。
出生率自体も田舎の方が高く、各自治体もかなり子育て支援を充実させようとしているので、後はもう一歩きっかけやベースがあれば、人口移動は緩やかでも起こるのではないかと考えている。

・筆者所感
ここに関しては、論じられている話の前段階に、若者に対して結婚や子供を持つ事を選んで貰えるようにすることのほうが先にくる課題であると筆者は考えています。
多様性がテーマの現代において、結婚・出産はあくまで選択肢の一つです。
筆者の周囲の若者も「結婚の意義がわからない」「子を持つことより自分のやりたい事を優先したい」という話はよく聞きます。
SNSを見ていても恋愛、出産、育児での対立話が散見し、妻帯者である筆者でもその風潮に飲まれてしまいそうになる時があります。
まずは結婚・出産が一つの魅力あるものであると提示出来るかが最大の課題であり、その次に制度として地方に若い夫婦やパートナーシップを結んだ家族が移り住みたいと思える環境を作らないと、多極分散は起こらないのではと感じています。


Q5.公約は?

Q,安芸高田市における「世界一住みたい町」などのような、公約としての柱や項目はあるか?(読売新聞)

A.公約は告知までに固めていくが、ビジョンとしての大枠はこれまでと変わらず「政治の再建」「都市開発」「産業創出」である。
これを基本方針として、公約を整理していく事になる。
これについては都議会に大きな不満があるわけでは無く、都議会のここ一年の議事録を見てもさすがだなとは思うが、基本の方針として伝えた。

・筆者所感
基本方針を市長時代から変えないのは、石丸氏らしいなと感じました。
その一方で、Xの石丸氏のポストの中で個別の政策として小中学校の給食費無償化を上げられていましたが、23区においては既に本年4月より無償化されていることから、この返答の議事録を一年見た、というところに疑問が散見されています。

ただし、厳密に言えば下記の通り23区外においては全ては無償化してはいないので、そこについての発言とも捉えられます。
もっとも既にそこに向けても議論が重ねられているので、これを石丸氏独自の施作というには弱く感じます。
石丸氏にはこの点について、もう少し詳しい想定や狙いを話して頂けるよう期待しています。


Q6.都知事選の選択肢を考えたのは?

Q.いつから都知事選出馬という選択肢を考えていたのか?(朝日新聞)

A.4年前から。
当時は都民だったが、政治への問題意識があり安芸高田市市長という選択肢より前に考えていたが、実現可能性は低いと感じていた。

・筆者所感
ここはSNS上でも賛否が分かれています。
見ようによっては、都知事選を最初から見越して安芸高田市市長を踏み台にするために市長になったのではないか、と疑われるからです。
筆者としては、最終的な政治的目標を達成するためにどこかを経由する事は否定しません。
ただしそれは、経由地での職務がその地域にとって有益であって初めて認められるものであると思います。
石丸氏の安芸高田市における市長としての施作の是非は今SNSで盛んに議論されています。
世論が安芸高田市市長・石丸伸二をどのように評価するかで、石丸氏の選択の評価も変わってくると思います。


Q7.小池都政はどのように評価しているか?

Q.小池知事は選挙戦への態度を明らかにしていないが、小池知事の都政はどのように評価しているか?(朝日新聞)

A.都民ファーストは大事だが、東京都だけでは生き残れない。
都民ファーストを掲げるからこそ、それ以外のことをすべきではなかったか、という思い。
東京に供給をしているのは地方であり、そのバランスを考えるべきではないか。

・筆者所感
石丸氏のそれ以外とは、地方の事であると思います。
ただ筆者としては、もしそれをするならば余程都民に納得してもらわないと無理であろうと思います。
それは、多極分散を目指す石丸氏には高いハードルとなります。


Q8.多極分散の仕組み作り

Q.多極分散を直接働きかけるのでは無く、多極分散につながるような仕組み作りをするとの事だが、具体的な概要などあるか?
各知事と連携しての実施を目指すという事?(朝日新聞)

A.小手先のインセンティブは意味がない。
今でも補助金などもあるが、元々移住を検討していた人が助かるものであって、新規に移住を考える人にはつながらない。
環境を整える必要があり、具体的な施作としては都市開発や産業創出、衣食住が回る環境がある、仕事がある。
これを各自治体だけで取り組んでいるが、つなげる必要がある。
地方だけでなく、東京からもアシストする。
このようなマインドセットが必要。
広島市を筆頭に、各自治体に協力を仰いでいく。

・筆者所感
仕組みもそうですが、地方側の住民の受け入れの気持ちが作れるかも課題と思います。
外からの住人を歓迎する土地もあれば、排他的に考える土地もあります。
後者の土地をどのように意識改革するのか、これはどちらかと言えば地方側の課題となります。


Q9.選挙プランナーの依頼予定は?

Q.政治のエンタメ化をずっと掲げられているが、今回の都知事選で選挙プランナーを依頼する予定はあるか?(毎日新聞)

A.そうはなっていない。
この先どうしようかというのはあるが、いずれにせよ今まで通りの選挙はしたくない。
都民の方を向いた選挙を全国見てもらい、政治に興味を持つ機会にしたい。
政治のエンタメ化とは、茶化すような軽薄なものではなく、エンターテイメントとは語源となる「もてなす」の意である。
その最たる例は政治であるべきだがそうはなってはいないので、都民と向き合い、その様を見てもらうことから政治の再建が進むと考えている。

・筆者所感
一部では回答がはっきりしない事から、プランナーが実際にはいるのではと疑問がありました。
今のところはどちらとも言えない状況です。
後半のエンタメ化の部分については、これまで石丸氏が主張していた通りの内容です。


Q10.既存政党からの推薦について

Q.無所属で出馬とのことだが、既存政党からの推薦も受けないということか?(ホームテレビ)

A.党からの押される形として公認、推薦、支持とあるが、支持というものを求めていきたい
自分のこの考えに賛同してくれる党であれば、どの党でも問わない。

・筆者所感
これは次の質問にもかかるので、次項に回します。


Q11.支持党との関わり方について

Q.支持する党を集める場合、その党の方針であったり、多党に支持された場合にその党同士の対立があると思うが、その場合はどのように対応するのか?(ホームテレビ)
※その後似たような質問が続いたので、回答は一つにまとめています。

A.支持を求めるというのはこの場で表明したということで、今後新たに個別の政党に支持を願い出にいく事は無いと思う。
何故ならば、それを行なってしまうと各政党ごとに距離感が生まれてしまうから。
もし支持する政党同士の摩擦があったとしても、優先すべきは地方の衰退を止める事であって、瑣末とまでは言わないが後で議論すれば良い。
この考えに乗れない、危機感を共有出来ないのであれば、支持は結構。
例え支持政党同士の主張がぶつかったとしても、意には介さない。
都知事になっても、支持してもらった政党によって意見が変わることもない。

・筆者所感
ここはQ2や10と合わせて認識しておいた方が良い内容です。
一見Q2と10.11は相反しているようですが、文脈としては「内部での派閥や公認・推薦のように特定政党に寄りすぎる」ものについては舵取りが難しくなるため、「石丸氏の意見に賛同する」という支持であれば受け入れる、ということです。
実現すれば、党派を超えて政策を評価し候補者を支援するために協力しあう、というこれまでにない形となります。
が、筆者には現在の既存政党がそのような形に乗るとは思えませんでした。


Q12.安芸高田市民への想い

Q.安芸高田市民からは市長続投を望む声もあったが、その受け止めはあるか?
また、都知事選のために任期の途中で辞任について、最後までやり通すべきという意見もあるがどうか?(ホームテレビ)

A.そういった市民の皆様の意見は、これからも安芸高田市をなんとかしたい、残したいという思いがあるからだと思う。
その願いは、これからやろうとしていることにつながっていると断言する。
そのため申し訳ないとは思わないし、だからこそやるべき事があると決心した。
途中辞任への意見も分かるが、感情論ではなく理性として、後2ヶ月任期を全うしたとしても何も変わらない。
そのためにより大きなチャンスを逃すわけにはいかない。
残った職員も頑張ってくれているので、市長がいなくなっても直ちに支障はないと考える。

・筆者所感
ここについては、前回の記事ですでに考えを述べていますので、引用します。

安芸高田を今離れる事になったとしても、将来の安芸高田を残すために東京都知事選という選択をしたのではないか、というのが筆者の推測となります。

note「石丸伸二氏の都知事選出馬記者会見(前)・要約とポイント」

Q13.国政へのステップアップ?

Q.SNSでは都知事選は国政選挙へのステップアップだと噂されているが?(共同通信)

A.ない。
気持ちは分かるが、私が国政に出て何かしたいと見えているのか?
広島1区などと言ったのは色々想像を巡らせてほしいからであって、全く考えていない。

・筆者所感
石丸氏は以前からさまざまな可能性があるとしながらも、国政にはあまり興味はないとしています。
筆者としても、どこかの政党に入る石丸氏、というのはこれまでのイメージとブレます。


Q14.支援政党の声掛けは?

Q.支援政党を望むとのことだが、既に声掛けがあったのか?

A.いくつか頂き相談はさせて頂いた。
相手方があるので、現段階では名は控える。

・筆者所感
不明なので特にありません。


Q15.多極分散の他自治体との共有

Q.多極分散の考えについて、他県知事や自治体首長と共有、賛同/批判などはあるか?(朝日新聞)

A.オフィシャルな場での議論は多くない。
個別に多少やり取りした程度だが、地方の殆どの自治体の共通認識だと思う。
個別のやり取りで支持をして下さった方もいる。

・筆者所感
大阪、名古屋、福岡などの都市圏以外は、多かれ少なかれ都市圏から人を呼び戻したいのは当然かと思います。
ただ、今回は都知事選で、相手はそう思わない都民なのがネックです。


Q16.安芸高田市長の後継候補

Q.今後の安芸高田市長選において、自身の後継候補を立てる予定はあるか?

A.ない。
ただ、真に志のある方がいれば応援したい。

・筆者所感
石丸氏が都知事選に出馬することにより安芸高田市長選も前倒しになりましたが、奇しくもその投票日はどちらも7月7日になりました。

5/29現在、市長選には2名の方が出馬表明されています。
筆者としては石丸氏が去り注目度がどうしても下がるであろう安芸高田市において、これまでの4年弱の影響がどのように作用していくのか、興味深く思います。


今回は以上となります。

次回は前・中編を書いてみて、現時点での石丸氏の記者会見の疑問点を記したいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました🙇

※追記
続きの記事を公開しました。

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