ステロイドユーザーに市民権を与えてはいけない

ドーピングについて自分の気持ちを言語化できそうなので残しておきます。

この問題は、その人がおかれている立場によって考えが変わるし全員が納得する答えは無いと思います。

私はアンチドーピングを強く訴える人が身近にいて、その影響を受けていることは間違いありません。
身近にステロイドユーザーがいて、その人と仲が良かったら擁護する立場になっていたかもしれません。

ただ、今回まとめる内容は競技に関わる選手やファンとしての目線ではなく、フィットネスに関わるトレーナーとしての目線となっています。

結論

結論からお伝えすると私の考えは「ドーピングする行為やステロイドユーザーが筋トレ業界の中で市民権を得ようとしないで欲しい」というものです。

ステロイドが市民権を得ている状態は、健康のために筋トレを始めようとする多くの人にとっての参入障壁となりかねないからです。

ステロイドユーザーが筋トレ業界の中で市民権を得ようとする活動

現時点で私の体感としては、日本の筋トレ業界の中ではステロイドを忌避する傾向はかなり強いと思います。少なくとも、ドーピングを使用する、許容する人よりも絶対数は多いです。

また、世の中全体でいえばステロイド忌避の傾向はさらに強く、世の中全体の傾向は今後も変わることは無さそうです。

しかし、筋トレ業界の中での影響力や発信力で考えると残念ながらその割合は逆転してしまうと感じています。
これはステロイドの容認や使用を公言している人だけではなく、黙って、もしくは公然の秘密として使用している人も含みます。
※正しくはテストしないと使用しているかはジャッジできませんが、状況証拠を積み上げてクロと考えられる人も計算に入れています

こうした流れが加速し、いつしか筋トレ業界の中でステロイドが当たり前、ステロイドに対して抵抗がない状況が来ることを危惧しています。

想像しにくいかもしれませんが、冒頭お伝えしたようにこの問題は環境によって考え方が変わってくるものです。

尊敬している大好きなユーチューバーがステロイドユーザーであることをある日知ってしまったら、それまでのリスペクトを無視してその人のドーピング行為を否定できる人は少ないと思います。

筋トレを教えてくれる、親切で優しく尊敬している人にステロイドの使用を勧められたとき、断れない人もいるでしょう。

ステロイドユーザーの気持ちを擁護する意見に何度も触れていたら、そういう考えもあるなと気持ちが傾いてくるものだと思います。

オセロのように、クロに囲まれたシロがひっくり返っていくような現象が絶対に起きないとは言い切れません。

筋トレを始める参入障壁

運動習慣を身につけることは、生活習慣病のリスクを減らし、ロコモ、フレイルといった健康寿命の減少に対抗する手段として非常に有効です。
その中でも、手軽に始められるようになってきた筋トレは、多くの人の健康に貢献できる存在であると感じています。

しかし、もし筋トレとステロイド使用が結びつき、世の中で「筋トレしている人はステロイドを使うのは当たり前」という認識になってしまったらそれが筋トレを始める参入障壁になりかねません。

筋肉を増やすために、医療でもないのに自分の身体に注射を打つって冷静に考えると異常極まりない行為です。
違法薬物を使用するのと変わらないほど、反社会的な行為として捉える人も多くいると思います。

「筋トレしている人＝異常者」のような目で見られてしまうような世界が訪れるかもしれないのです。

そんな異常者が当たり前のようにいるジムやフィットネスクラブに通いたいとは思いませんよね。
身近な人が筋トレ始めたいと言ったとき「やめときなさい」と止めたくなるような世界になってほしくありません。

というか、20年くらい前ってそんな雰囲気じゃ無かったですか？
ライザップや筋トレをするアスリートのおかげもあって筋トレが世の中で市民権を得ましたが、筋トレのジムってちょっと異常な人は通っている変な場所という認識だった気がします。

未来の筋トレ業界に向けてできること

「ドーピングする行為やステロイドユーザーが筋トレ業界の中で市民権を得ようとしないで欲しい」と言ったところで、実際にユーザーや、ユーザーを擁護する人の行動が変わるとは思えません。

立場が人が作るので、このような考えを押し付けてくる存在が悪のように感じるのではないでしょうか。

私も個人的の自由は尊重されるべきで、規制や圧力は最小限であることが望ましいと考えています。
局地的な話になれば、ステロイドユーザーやそれを擁護する人の気持ちも分からなくもない時があります。

だからといってそれを野放しにしてしまえば、多くの人の健康を手にする機会を奪ってしまうことに繋がりかねません。

なので、筋トレ業界としてステロイドの使用に対して常に厳しい姿勢でいなければいけないと考えています。

ステロイドユーザーは世の中のために、日の当たらない場所でひっそりと過ごして欲しいと願っています。