今話題の論文を読んでみました。
今話題となっている論文について河森さんが、「論文を引用して意見を発信している文章を読んだ時には、その論文(=一次情報)を自ら読んで、その意見が本当に論文によって支持されているのかを自ら確認しましょう」とおっしゃっていたので、論文を読んでみました!
論文が引用してあると、「この発信は信頼できる!」と、無条件で信じてしまうのが人間の弱いところ(権威バイアス)です。
論文の内容を自分なりにまとめましたが、このまとめも論文の情報を大幅にカットしてあり、間違った情報が書いてあるかもしれないのでご注意ください笑
最後に論文の概要と本文のリンクを載せてありますので気になる方はぜひチェックしてみてください。
研究の目的
・筋肥大するには70%1RMを繰り返し挙上する必要があると言われていた。
・しかし、30%1RMでも疲労困憊まで行えば筋肥大する可能性がある。
・それを確かめたい。
・重量(強度)以外の条件を揃えれば同様の筋の増加が観察されるだろうと仮定した。
つまり、この研究の目的自体が高重量が良いのか、低重量が良いのかを筋肉別に調べた物ではないということです。
研究の内容
対象
9名のトレーニング未経験者の男性
平均年齢:25歳(研究開始時)
平均身長:173cm
平均体重:68.9㎏(研究開始時)
進め方
2~3回のセッションで正しいベンチプレスの技術を習得し、1RMを測定
高負荷(75%1RM)のトレーニングを6週間行い、前後の筋断面積を測定
6週間のトレーニングを終えて12か月のインターバルをとる
低負荷(30%1RM)のトレーニングを6週間行い、前後の筋断面積を測定
この研究では高負荷と低負荷は同じ対象者で、1年間のインターバルをとって行っているということがわかりました。
また、被験者はトレーニング未経験者であることも忘れてはいけないポイントだと感じました。
トレーニングの内容
フリーウエイトのベンチプレスを行う
約1秒で降ろして、約1秒で挙げる
高負荷
75%1RMで10回3セット
セット間の休憩は3分
週3回(月、水、金)
3週間で1RMを再設定した
12回以上挙がった場合、重量を5%増やした
低負荷
30%1RMで限界までを4セット
セット間の休憩は3分
週3回(月、水、金)
食事の内容
いつも通りで変えない
週に3回のベンチプレスを6週間にわたり、疲労困憊まで行うのは被験者にかなりに負担がかかることが想像されます。
研究の結果
体重
高強度 平均68.9㎏→平均69.5㎏
低強度 平均68.8㎏→平均69.4㎏
筋断面積
上腕三頭筋 高強度 平均11.9%増 低強度 平均9.8%増
大胸筋 高強度 平均17.6%増 低強度 平均21.1%増
研究の考察
・高強度も低強度も同様の骨格筋肥大をもたらした。
・十分な運動量がある限り、高負荷とは無関係に骨格筋の肥大が起こりうることを示唆している。
上腕三頭筋も、大胸筋も数字を見ると増え方に違いがありますが、この研究では「同様の肥大」としています。
コラムとの比較
実際に論文を読んでみたことで、引用されたコラムとは違った世界が見えてきました。
論文にあることと、コラムに書いてあることを比較すると「発信者の主張したいことが先にあり、それに都合の良いデータだけを使った」ようにも感じられます。
こういった引用の仕方は誠実さが無いなと個人的には感じてしまいます。
1年以上にわたって続けた研究の末に出した結論(考察)については無視をして、自分の主張とマッチするデータのみを使って「この研究は私の言っていることを支持しています。」とされたら、研究者の方も救われませんよね。
論文を引用した発信には、その発信だけではなく、その発信をした人の権威性や価値を高めるような強い効果があるように思います。
それだけ強力なものだけに、時としてそれを悪用しようとする人が現れてもおかしくありません。
河森さんをはじめ、多くの有識者の方々は「論文を読むクセをつけろ」とおっしゃっています。
生きているだけで様々な情報にさらされる時代です。
質の悪い情報に毒され、私自身の仕事や発信の質が下がらないようこれからも「研究」や「論文」というワードに注意しながら勉強を続けたいと思います。
しかし、慣れないと論文を読むのに時間が掛かりますね…(´;ω;`)ウッ…
概要
https://www.scirp.org/journal/paperinformation.aspx?paperid=28182
本文
https://www.scirp.org/html/28182.html
コラム
https://www.dnszone.jp/magazine/2018/16441
恵比寿でパーソナルトレーナーをしています。 ダイエットやボディメイクに興味のある方はお声かけ下さい。