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柔道と柔術の根本的な違いを考察しました

柔術をはじめて少し経ち、「柔道と似てるけど違う」のは当たり前なのですが、『立ち技と寝技の違い』みたいな視点とは別の『違い』が見えたので言語化します。

柔道は四段、柔術は昨年から始めて今年は青帯で試合にも出ました

柔術の指導は具体的で、柔道の指導は抽象的であるというのが結論です。

まず、柔術は「今日はこの技」「今日はこの展開」と決まった道筋を辿っていくことが指導の中心にあります。
将棋の定跡を覚えていくように、「この場面ではこれ」、「この場面ではこう」、「相手がこう来たらこうする」を覚えていくことが上達の基本形。

柔術の競技特性として、”知らない技は簡単にかかる”という物があると思うので、相手が知らない技を学び、相手が使う技を知っていることが重要なものになるということでしょう。

これが、”指導が具体的”であるという意味です。
柔術の指導者になるなら、具体的な積み上げが必須であると思いますし、やはり指導をされている方はみなさんこの積み上げを持っていると感じます。

一方で柔道の指導は「得意技を作れ」「足を使え」「組み手にこだわれ」「前に出ろ」といった抽象的な話の比重が多いように感じます。

当然具体的な技術の指導もあるのですが、柔術ほど緻密に体系化され網羅されている印象はなく、それができる指導者はとても貴重な存在だと思います。

柔道は戦術の自由度が大きいことから、感性の比重が高く、個別具体的な局面を学ぶよりも、より抽象的な原理原則や概念を身体や頭に落とし込んでいくことの優先度が比較して高いのではないかと思います。

柔術は柔道ほど展開が速くなく、局面もある程度限定されるから、具体的な定跡を学ぶメリットが大きい。

こうした場面から次の一瞬で勝負が決まる手筋はほぼなく、手順を踏んで王手をかけていく必要がある

柔道は柔術よりも展開が速く、どの場面でも一瞬で勝負が決まる可能性があるし、同じような局面になることが少ない。

なのでその場その場の感性、インスピレーションを活かして臨機応変に対応していく必要があり、その為の原理原則や概念を学ぶメリットが大きい。

このようにまとめることができそうです。

ただし、だからこそ柔術を概念(原理原則、パターン)で語れる人は強いし、柔道の細かい技術を語れる人もまた強いのだと思います。

そして、こんな話を柔道も柔術もやっていない方に話をしたら、「それ当たり前じゃない?」

「だって、柔『』と、柔『』じゃん」

と言われてしまいました。

身近すぎて名称に思考が向きませんでしたが、確かに柔術は術(スキル)を学ぶものであり、柔道は道(概念)を学ぶ物だったのです。

柔術の上達は具体的な技術を着実に積み上げる。その一方でなぜその技術が必要なのか、全体の流れで柔術というゲームの原理原則を学んでいく。

柔道の上達は抽象的な勝負の原理原則を実践の中で学ぶ。その上でそれを実現するための具体的な技術も積み上げていく。

これがそれぞれの競技で力を伸ばすために必要なことではないかと考えました。

※これはあくまで相対的な話であり、柔道も格闘術なので技術体系はあるし、技を学ぶことは重要視されます。
あくまで柔術と比較して、より概念的な話が多いという内容です。

私自身は物事を学ぶ、考える時はまず抽象的な捉え方をする傾向があるのですが、これは柔道を長く続けてきた影響もあるのかもしれないと感じています。

柔術を学んでいく中で、具体的な積み上げという思考方法も使えるようになったら面白いなと期待しているのですがどうなるでしょうか。




恵比寿でパーソナルトレーナーをしています。 ダイエットやボディメイクに興味のある方はお声かけ下さい。