Yuki.K

とある大学院で理系チックに「人 / 人間」を研究中.科学がすくい取れないものを,言葉で…

Yuki.K

とある大学院で理系チックに「人 / 人間」を研究中.科学がすくい取れないものを,言葉ですくい取れないかと,気ままに随筆を. https://twitter.com/aza_yuuki1021 / https://yuuki-philosophia.hatenablog.com/

マガジン

  • Yukiの随筆集

最近の記事

随筆:「三人称」 〜彼・彼女への配慮〜

対話における三人称の存在今週はちょっと変わったタイトルで記事を書き始める.一人称ならばVRだとか当事者性みたいな話を書くだろうし,二人称ならば僕自身がここ数年考えてきた対話デザインについて書くだろう. しかし,今回は「三人称」である.三人称とは,英語ならばhe/she/it,日本語ならば彼・彼女・それなど,話している当事者以外のすべてに用いられる人称である. 私自身,今まで対話とは,二者の考え・意見のぶつかり合いとして捉えていた.つまり「私ーあなた」の二者間で成立するものだ

    • 随筆:「アート」 〜多様な芸術表現の魅力〜

      東京藝大の卒展にて先日,駆け込みで東京藝術大学の卒業・終了作品展(卒展)[https://diploma-works.geidai.ac.jp/]に足を運んだ.卒展とは,学部や修士の学生が作った作品が多数展示される催し物である.中々予定の合間を見つけきれずに駆け込みで土曜日の午後に訪れたが,休日というのもあってかなりの人で賑わっていた. 一般的な学科だと自身の努力の成果は卒業論文や修士論文という形になり,それを提出する.そして教授・准教授が並ぶ閉鎖的な空間の中で発表をし,審

      • 随筆:「漫才」 笑いのメカニズムの分析

        M-1グランプリ2019今年の漫才頂上決戦,M-1グランプリは一段と盛り上がった.初出場が7組で「本当に面白いのか」「今年はハズレだ,諦めよう」と言われる中,ほとんどのコンビが高レベルな漫才技術・ネタを投入し,例年になく豊作だったように感じる.M-1グランプリの元々のモチベーションが,若手漫才師を発掘するための場所として位置付けられていたのを考えると,ミルクボーイ,ぺこぱ,オズワルド,すゑひろがりずなど,独特な漫才師たちの存在を(私を含め)世に知らしめるきっかけになった.

        • 随筆:「声」 〜映画『コールヒストリー』〜

          佐々木友輔『コールヒストリー』との出会い渋谷は宮益坂.イメージフォーラム(http://www.imageforum.co.jp/theatre/)は,ひっそりと路地裏に佇んでいる.この建物にはいくつかの小さなシアターが備え付けられ,普通の映画館で公開される規模ほどの集客は期待できないが,ニッチな層に届きそうな前衛映画や試作映画などが公開されているという. 今回,たまたま仕事中に知り合った藝大OGの方からお誘いを受け,高松出張から帰京した翌日というハード日程ではあったが,3

        随筆:「三人称」 〜彼・彼女への配慮〜

        マガジン

        • Yukiの随筆集
          6本

        記事

          随筆:「水」 〜豊島美術館鑑賞記〜

          豊島への旅,そして豊島美術館との出会い先週は学会に参加するため,高松に出張していた.出張先で新しいものや人,そして非日常の空気感に出会うのが何より好きなので,毎回合間を縫って少し観光をするわけだが,今回は高松から離島の方へと船出してみた. 豊島(てしま),高松から高速船で40分程度揺られた先にある,島の周囲を自転車などで回れる小さな島である.高松からの直通便が1日3便.朝一の便とお昼時の便と夕方の便がある.夕方の最終便が17:20発なので,これを逃すと,岡山側から迂回して帰

          随筆:「水」 〜豊島美術館鑑賞記〜

          随筆:「あそび」 〜遊びという言葉の遊び〜

          あそびひらがなで書いてみると,柔らかい言葉になる.そして,忙しい日々を送る私たちの中にすっと溶け込み,憧れを抱かせる響きを持つ.同時に,何か後ろめたさを覚えるような言葉である. 「こんな面倒な仕事から解放されて,早くどこか遊びに行きたい」とは,現代人の大半が日がな考えることだから,そういう憧れや後ろめたさと結びつくのも不思議ではない. さて「あそび(遊び)」という単語を,例のごとく辞書で引いてみよう[1]. ①あそぶこと。なぐさみ。遊戯。源氏物語桐壺「御心につくべき御―を

          随筆:「あそび」 〜遊びという言葉の遊び〜

          随筆:「エッセイ」

          noteというツールを使って随筆を定期的に書こうと思ったのだが,1回目のテーマを何にするか,悩んだ.「エッセイ(随筆)」それ自体を1回目のテーマにしてしまえば,最初のテーマ設定的には悪くない.初回はエッセイのエッセイということで,「エッセイ(随筆)」について書きとめておく. 鷲田清一『想像のレッスン』,ロラン・バルト『表徴の帝国』,赤瀬川原平ほか『路上観察学入門』.いずれも私が好きなエッセイである.エッセイとは日本語では随筆ともいう.Wikipediaの「エッセイ」の項によ

          随筆:「エッセイ」