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制作日記-現代版、無意識の領域

今日のシンクロ:「身体から切り離して考えること」

アートと無意識の関連は、とても深く、哲学や心理学や、最近では量子物理学などとも関係してくるテーマです。無意識とは、意識に届かない心の深層部分のことを指し、人間の行動や思考に影響を与えるとされていて、アートにおける考察も必要になってきます。


アートにおける無意識とは

まず、アーティストは、創作活動において無意識からのインスピレーションを得ることがあります。例えば、夢の摩訶不思議な世界観であったり、瞑想などでえられるビジョンなど、自分の想像を超えた世界観をベースに表現されてゆくものがあります。それは、日常とはかけ離れてはいるものの、どこかリアリティーがあるものとして受け止められ、感性を揺り動かされることがあります。

また、表現手段として無意識を制作プロセスに取り入れることもあります、例えば、キャンバスに絵の具を垂らした痕跡から、偶然性を誘発させ構成をしてゆくような表現では、後で、何を表していたという意味を探しだし、このような場合、アーティストは自分自身が無意識に描いたものを表現していることになります。(今、毎日やっていることですね、、、)その際には、自分の身体性(手癖)みたいなものも、できるだけ切り離してゆけると、より効果がでてきます。そして、そのプロセスの中から問いかけてくる部分を切り取ってゆくことで、興味深い作品が生まれることがあります。

無意識から人類意識へ

そして、そのような表現から無意識への扉を開くことがあると考えられます。 観客が作品を見た際、その作品が引き出す感情や思考は、意識的な制御を超えたものであり、無意識に作用すると考えらます。それは、かつてのシュルレアリストたちを夢中にさせた、ユングの「集合的無意識」の考え方やアブラハム・マズローの人間の欲求のさらに上位にある「自己超越の欲求」、そして、現代では、ケン・ウィルバー 「インテグラル思想」などに引き継がれて、より、無意識から我々個人や社会にもたらされる影響に対して、より具体性をもって進化してきているように感じます。

最近、読んだ、田坂 広志さんの著書の中で、「人類意識」と呼ぶべきものへと拡大していくことは、極めて自然なことであろう。というふうに書かれていました。アーティストの表現の方向性のなかでも、「人類意識」やがては「宇宙意識」などへと拡張された中から、響きあうものを探索してゆくようなものが、今後もさらに広がってゆくように感じます。

近年、注目を集め、理論的にも発展してきた「トランスパーソナル心理学」も、「トランスパーソナル」、すなわち「個を超えた無意識の世界」が存在していることを述べている。

すなわち、このユング心理学とトランスパーソナル心理学は、いずれも、本書で述べる「超自我意識」の世界を論じており、我々は、この「現実世界」に生きている間にも、すでに、「人類意識」と呼ぶべき世界に繋がっていることを述べているのである。

そして、もし、そうであるならば、死後、我々の意識が、多くの人々の意識と繋がりながら、その領域を広げ、いずれ「人類意識」と呼ぶべきものへと拡大していくことは、極めて自然なことであろう。

田坂 広志. 死は存在しない~最先端量子科学が示す新たな仮説~


ここまで、アートと無意識の深い関係をみてきました。アートは、無意識を意識的に表現する手段のひとつです。次に、その手段が社会的にどのような価値をもたらす可能性があるのかについてまとめてゆきます。

アートが無意識を変容・拡張を促す可能性

作品は、観客に新しい感覚や思考を感性を通じて与えることができ、観客の意識を変容・拡張することがあります。常識や既成概念にとらわれず、自由な発想や表現を可能にするため、意識の自由の無限性を促すことができます。また、内面の無意識層から深い感情や思考を引き出すことで自己認識や社会認識が変化することで、社会的な問題や矛盾を発見することによって、社会の意識をも更新してゆける可能性を秘めています。

アートが無意識を共有を可能にする可能性

作品は、観客とアーティストの間で無意識の共感を生み出すことができます。無意識の共有を促すためには、アーティストと観客が共通の文化的背景を持つ必要があるケースがでてくるかもしれませんが、違うマイノリティーの文化圏においても、人類意識からの投げかけによって、同時多発的に生み出される作品における価値に注目が集まってくることが予想されます。

以上のように、「人類意識からの投げかけによる制作を目指す」変容・拡張を促す」「共有を可能にする」の軸がアートの役割として重要なのではないかと考えられます。そのためにも、作品を制作し、発表をしてゆく中で人類意識につながる経路をいかに創造してゆくかも試行錯誤してゆかなければいけない時代に突入しております!
社会においても、アートにおいても、大きなテーマですね。


今日は、アートの背景にある「無意識」を起点にいろいろとみてきました。時代とともに、集合的無意識の存在への気づきの時代から、そこから、より私たちの本質的価値への到達に向けて、様々な試行錯誤がおこなわれている時代へと変貌してきています。日々の生き方においても実践レベルで様々な取り組みもあり、アートとの関わり方も、もっと変わってゆく時代かもしれませんね。

今日も、読んでいただきありがとうございました。
新たな、意識に出会えることを夢みて、

では、


© 2023 Yuki KATANO

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