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【映画】「きのう何食べた?」映画としては珍しい、等身大の日常を描いた作品

ドラマの大ファンなので、劇場に観に行ってきました。感想、結論としては…「うーん、良かったけれど、ドラマ2かSPでも良かったんじゃないかな?」というところ。それこそ、お正月SPとかで観たかったかもしれない。

日常を描くのが「何食べ」の良さ、なんだけど、映画にはビッグテーマも必要?

「何食べ」のすごく好きな部分として、シロさんの生き辛さ(ゲイだとバレたくない、実生活のことをあまり人に話したくない)が、賢二とのやり取りによって少しずつ緩和されていくところ。社交的でコミュ力高い賢二が、実はすごく臆病で繊細で、シロさんからの愛に不安になるところ。たまーにシロさんの声かけで安心できるところ。それぞれが実家の問題など事情を抱えているところ。

(あ、もちろん美味しそうな料理シーンが一番好きなのは前提として)

ゲイだとか同性愛者でいうことは関係なく、普通に中年男性(女性でも)が抱える問題をリアルに描いているのが好きです。

だけど、映画化にはもっと大きなテーマが必要かもしれない、と思った(笑)日常を描いて、観客を湧かせるって実は相当難しくて、殺人事件でも起きたほうがストーリーって作りやすいんだろうなと。

パッと思い出せる、ドラマからの映画化作品って…

・踊る大捜査線(映画ならではの大事件起こる)
・HERO(同様)
・コンフィデンスマンJP(同様)
・花より男子(無人島行ったりとか規模大きい)
・おっさんずLOVE(なんか爆発したりする事件が起こる)
・あなたの番です(これからだけど、IFの別ストーリーだよね?)

上記が良作かは分からないけれど、やはり何かメインとなる事件が起こらないと起承転結を作るほうがストーリーを作りやすいのだろう。「何食べ」はあえて、ドラマの世界観同様に「日常を描くこと」に挑戦したのかなと思う。

特に心に残ったシーンなどを書いていきます。

家族の問題は「完全解決」はできない、というリアルさ

「何食べ」映画で出てきた家族問題。※抜けているものがあったらすみません!

・シロさんの実家に賢二を連れていけない問題(シロさんのお母さんがどうしても、男同士というのを受け入れられない)
・賢二の父親の死、母親の経営している美容院継ぐかどうか問題(その際に、シロさんと一生一緒に過ごせるの?という悩み)

最初の京都旅行シーンで、シロさんが「すまん、正月は実家に賢二を連れていけない!」と謝るシーンで、おお、こういう展開か…と驚いてしまった。なんで驚いたんだろう?と後で考えたのですが、映画2時間で解決できる問題ではなさそうだからだ、と気がつきました。2人とも中年男性でいい大人、親が認めてくれない交際でも結婚するわけじゃないし支障はない。ただ、少し寂しい。でも賢二だって絶対に正月にシロさんの実家に行きたいわけじゃない。シロさんのお母さんだって、賢二が嫌いなわけじゃない。ただ世代的に、きっと同性愛を受け入れられないだけ。

だから解決策がない。誰も悪くない。結果としては、シロさんは正月は実家に帰らず、賢二と過ごすことを選び、正月以外に頻繁に帰るようにするんだけど…。

ここでジルベールが、親なんてどうでも良くない?みたいなことを言うんだけど、正論だなとも思う。どうでもいいってことはないけれど、親はいつか先にいなくなる可能性が高い。自分がこれからの人生を歩んでいく相手(男でも女でも誰でもいい)を大事にしていくことが大事。

親から本当に意味で巣立つ、ということを描いているのかもしれない…

ドラマで、シロさんは10代の時から自分がゲイであることを負い目に思っていて、だからせめて親を安心させようと必死で勉強して弁護士になったんじゃないか、と父親が語るくだりが印象的でした。1人っ子でもあるし、おそらく人一倍、親のことを気にかけてきた人生だったんじゃないかと思う(だって、正月に実家に帰らないことを気にしない人も多いよね?)

子どもが生まれるのは良いことなの?と思う気持ち

ジルベールの言葉がやっぱり印象的で、田中美佐子の演じる佳代子さんに孫ができることを喜ぶ3人に対して、すっっっごくうざそうに子どもが生まれることを祝う人たちを否定してましたね(セリフは忘れてしまったのですが)

男同士の同性愛だとどうしても子どもは持てないので、そういう幸せにあふれたひとを攻撃したくなる気持ちとして描かれているんだと思う。私個人としても、常々「結婚・出産」だけが祝福されることに違和感があって、ジルベールのこのセリフは結構心に残りました。もちろん、結婚も出産も素晴らしいことだし、赤ちゃん大好きなので出産なんて本当に素晴らしいと思うのですが。じゃあ、結婚や出産を選ばなかった人生の人は、祝われることはないの?って思っちゃう。結婚や出産をしなくても、幸せな人はたくさんいるはずだ…と常々思っているので、「何食べ」のように小さな幸せを描いたドラマの人気がでるのは良いことだなと思う。

やっぱり食べ物シーンは優勝!

りんごのキャラメリゼを食パンに乗せて、ハーゲンダッツのアイスも乗せちゃうの美味しそうだった~(早速週末にやっちゃうかも)

アクアパッツァも作ったことないんだけど意外と簡単そうだったし、ブリ大根も食べたくなったなあ。

※ちなみにドラマで好きなレシピは、すっと赤色が戻るイチゴジャム、紅茶のアイス、ラザニアのシーン。

しかしながら、伏線の回収は甘かったような気も

・美容師の新人くんの彼女とのエピソード
・裁判員裁判のくだり

上の2つは必要だったのかなあ…と思ってしまった。2つ目の裁判員裁判の話は悪くはないんだけど、結局あのホームレスのおじいさんがどうなるのかを描き切れてないし、無理に入れなくても良かったのかなあと。


あれ、映画化するにはもっと大きなテーマが必要って最初に書いたけど、こんだけあれこれ考えられるのであれば良い映画だったかもしれない(笑)

※ドラマや映画の感想は、鮮度が大事!だと思っているので、文章など推敲せずどんどんアップしています。

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