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高校と地域との協働で生み出されるものを追いかけて(調査結果を公表しました)

先日のことになりますが、「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」の採択校の一つである、島根県立平田高校の生徒の校内発表会「地域協働フォーラム」に、県の教育委員会という立場で参加してきました。

文科省の高校教育改革における肝いり施策の一つとして、この事業も立ち上がって丸3年目。3年間の事業最終年度を迎えた平田高校は、今回から、地域探究のメイン学年である高校2年生の発表に加え、高校1年生の代表発表も行われました。

これは探究を深めていくにあたって、1年間の実践では到底足りず、高校1年生の頃から、そして、高校3年生へのブリッジングも含めて、3年間の一気通貫したカリキュラム開発を推し進めてきた一つの成果だと思っています。

その他、発表会の後に行った運営指導委員会の議論の中では、

・教員の探究伴走力を高めていくため、校内の学びの体制をつくること
・関係機関等との協働体制を再構築し(コンソーシアムの再構築)、より互いの意思疎通がし易い体制をつくること

などなど、生徒の学びを支える更なる校内環境づくりの構想が語られました。

既存の枠組みの中で、新たな学びの形を取り入れようとすると、どうしても制度疲労を起こしてしまう。理想と現実とのGAPに苦しむのは、教員だけではなく、学校に関わる多くの心ある大人たち=ナナメの関係の応援者たちだと思っています。

そんな方々が、存分に力を発揮できるような教育環境を整えていくこと。それはこれからの学校における一つの役割であり、そうすることによって、生徒の学びが豊かになることはもちろんこと、きっと、先生たちにとっても、新しい学びや観点を得ることができる貴重な機会になるはず(と、先生たちに言ってもらえるくらい、よそ者である自分たちも、学校や生徒に対する関わりの質を、もっともっと磨いていきたい)。

と言っても、この協働は簡単ではないからこそ、最後はベタですが、互いの思いやりというか、人と人との関係性の中で紡いでいくしかないのだと思います。そんな日々の環境づくりに奔走している現場の皆さんに、心からの敬意を表します。

教育と地域社会が交わる瞬間をつくる。

そんな取り組みを、あの手この手で進めてきているわけですが、こちらも先日、弊財団と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの皆さんとで、地域社会に開かれた教育(高校魅力化)が、地域そのものや、生徒の成長にどのように繋がるのかを分析した調査結果を公表しました。

▼高校と地域の協働が生徒の資質能力の向上と人口減少の緩和に効果
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000035136.html

教育と地域社会が交わることを通じて、生徒の資質能力が高まっていくことはもちろんのこと、地域における人口減少の抑制効果があることも具体的にわかってきました。

また、その効果をより高めていくためには、学校と地域をつなぐ教員以外のスタッフ(コーディネーター等の存在)がいるかどうか、また、属人的な協働ではなく、組織的で継続的な協働になるよう、その体制が構築されているかどうかなどが大切だとも分析されました。

こういった調査をコツコツと積み重ねてきた島根のメンバーの底力を感じると共に、いま進んでいる方向感は間違っていないはず、と、勇気をもらう。だけど、中身のつくり方次第で、その効果は半減するどころか、マイナスにも働いてしまうリスクもある。この部分を忘れずに、どんなに動きが加速していったとしても、丁寧な仕事を心がけていきたい。

自分自身、まだまだ力不足甚だしいですが、現場づくりに奔走する方々と力を合わせ、価値ある実践を積み重ね、世の中に「教育魅力化」の価値を発信し続けていければと思っています。

■余談的な
だいぶマニアックな話になりますが、このプレスリリースの一番下に記載されている「高校魅力化ルーブリック(プロトタイプ版)」。これも同時につくったのですが、生徒向けルーブリックと同じように、評価のツールではなく、対話のツールとして活用できるのではないかと思っています。高校という組織を俯瞰的に語り合う、そんな機会が生まれることをイメージしながら、このルーブリックを活用する皆さんとも一緒に、中身を磨き込んでいけたらと思っています。

作成過程で、久しぶりに7Sとか学習する組織とか、経営戦略、組織開発の話を持ち出しながら議論したのが、懐かしくて楽しかった。笑。セルム時代に得た企業経営論の視点を、公教育に繋げて考えてみる。まだまだ応用できる観点がありそうです。

文中の申し込みフォームを記入していただくと、プロトタイプ版をダウンロードできるようになっています。ぜひ、各現場で活用してみてください。そして、また感想、フィードバックももらえたら嬉しいです。

▼高校魅力化ルーブリック(プロトタイプ版)
https://cn-miryokuka.jp/387/

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