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教育ゲームを作るのに参考になりそうなゲーム その2「Legal Dungeon」


はじめに

今回は教育ゲーム制作に参考になる市販ゲーム紹介の第二段として「Legal Dungeon」を取り上げたいと思います。前回紹介した「ヘッドライナー」についてはこちらをご覧ください。

なおこのゲームは2024年4月時点では、switchとsteamにて配信されています。

「Legal Dungeon」の概要

「Legal Dungeon」は、韓国のゲーム開発者Somi氏による一風変わった推理アドベンチャーゲームです。一般的な推理アドベンチャーゲームは、事件現場を捜査して手がかりを集めたり(弁護士なのになぜか証拠を現場から勝手に持ち帰ったり)、容疑者・関係者に尋問をしたりして事件を解決するのが目的です。このゲームでは上記のような要素は一切無く、プレイヤーは警察が捜査を行った結果である捜査書類(供述書・捜査報告など)と法律や判例と向き合って、検察が起訴・不起訴かを決定するための資料である「捜査意見書」を作成します。

つまり、下の画像の右側にある意見書を作成するために、捜査書類・供述書などからキーワードを抜き出して埋めていく…という形式のゲームです。
ただ、キーワードを埋める際に「どの法令を適用するか」、「どの判例を参照するか」などの選択肢があり、その結果として被疑者を「有罪」とするか「無罪」とするか、重さが異なるどの刑罰の対象とするかなどを決めていきます。(最終的には章ごとに脳内で論理バトル?をするのですが、今回はその説明は割愛しておきます。)

電撃オンラインより https://dengekionline.com/articles/1072/

このゲームのジレンマポイントは、ゲームシステム(警察のシステム)として「有罪として意見書を出し、より重い罪になった方がポイントが大きい」というところです。もちろん、無罪の人を有罪として意見書を出す(またはその逆をする)とするとペナルティがありますが、被疑者の情状を酌量して無罪を出し続けたり、軽い罪に問い続けたりすると最悪ゲームオーバー(クビ)になりますし、そうでなくても出世の道を絶たれたり賞与が少なくなった同僚に恨まれたりします。

学びのポイント/参考になりそうなポイント

  • 法律リテラシーの向上: プレイヤーは、警察の捜査書類に基づいた意見書の作成を通じて、法律文書の読解能力や法律用語の理解を深めることができます。また、様々な法的状況を分析し、適切な法条を適用する過程で、法律に関する理解を養うことが可能になります。

  • 法律の恣意性についての理解: ゲーム内での意見書作成などを通じて、法律の適用がどのように恣意的になり得るかを体験できます。

  • 倫理的ジレンマとの向き合い方: ゲーム内では様々な倫理的ジレンマに直面し、それらをどのように処理するかを考えさせられます。

まとめ

「Legal Dungeon」は、教育・学習用のゲームではありませんが、法律のリテラシーを向上させ、法律の恣意性や倫理的ジレンマについて考えさせることが可能なアドベンチャーゲームです。ゲーム性は単純ながらも、プレイヤーに深いメッセージを投げかける構造になっています。教育ゲームを開発者する上で、「Legal Dungeon」のゲーム構造は、大いに参考になると思います。

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