絵画に埋め尽くされた@ギュスターブ・モロー美術館

モローの青年時代からの自宅兼アトリエだった邸宅が、死後にコレクションと共に国に寄贈され美術館となった。

モローの油絵・水彩画に加えデッサンも鑑賞でき、総作品数は14000点を超える。

この美術館の大好きなところは、至る所が絵画で埋め尽くされているところ。

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どの部屋もどの壁も、至るところに絵画が並んでいる。ぜひ一回この空間に足を踏み入れて欲しいなーと思う。

また上階にある螺旋階段も素敵。螺旋階段はフランス語でEscalier en colimaçon。colimaçonはカタツムリという意味。

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ちょうど私が訪れた時、この螺旋階段の近くでおばあちゃん達のための絵画教室が開かれていた。

もともと寝室だった部屋で、偶然日本(か中国)の物を発見。

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美術館の中をウロウロしているだけで、結構楽しい。

この美術館で鑑賞できる、ちょっと有名な作品にも触れておく。

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『ユピテルとセメレ Jupiter et sémélé』(1895)
ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau(1826–1898)

テーバイの王カドモスの娘のセメレは、ゼウスの子ディオニューソスを身籠もる。それ聞きつけたヘーラーは、老婆に化けセメレーに近づいて、あなたの交際相手は、本当は恐ろしい化け物かもしれないから、本当の身分を明かすよう頼みなさいという。セメレーはゼウスに真の姿を見せるよう迫ったが、雷火をまとった神の本性を現したことで、セメレーはまばゆい灼熱の閃光に焼かれて絶命した。

高さが2m以上あるこの絵は美術館で見たらとっても迫力ある。

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『人類の生活 La Vie de l'Humanité』(1886)
ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau(1826–1898)

9枚の小さな絵画で構成されるこの作品は、人間の生活が朝(左)・昼(中央)・夜(右)という時間ごとに描かれている。さらに上段は黄金時代(人々が大地を耕すことなく、木の実などを食べ満足する時代)、中段が銀時代(四季ができ、畑を耕すようになる時代)、鉄の時代(鉄や金が掘り出され、戦争がおきる時代)という構成になっているらしい。

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『刺青のサロメ Salomé tatouée』(1874)
ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau(1826–1898)

サロメは、義理の父で古代パレスチナの領主であるヘロデ・アンティパスに、祝宴での舞踏の褒美として「好きなものを求めよ」と言われる。母のヘロディアの命によりイエスに洗礼を受けたヨハネの首を求めた。

このシーンはよく絵画の題材になっている。

個人的にこの未完成の作品が好き。絵画がどのような過程で描かれるのかを理解することができる。

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『アルゴナウタイの帰還 Retour des argonautes』
ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau(1826–1898)

ギリシャ神話で、コルキスの金羊毛を求めてアルゴー船で航海をした英雄たち(アルゴナウタイ)の帰還が描かれている。

パリの小さな美術館の中では一番おすすめ。

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