ギリシャ神話の神々②

フランスに来て、美術館巡りをしだしたら気になったギリシャ神話の神様たち。有名な絵画(というか私が好きな絵画)を神さま(たまに人)ごとに紹介。正確なことはよくわからないので、そういう説もある、くらいの軽い感じで受け取ってもらえれば…

ちなみに神様達、兄妹なのに結婚したり、体の一部から子供生まれたり、割とツッコミどころ満載。かなり紛らわしいので全知全能の神ゼウスを中心に書きます。

神様の名前は言語によって違ったりするので、ギリシャ語🇬🇷ラテン語🇻🇦英語🇬🇧で表記してますが、ラテン語は訳というよりは、ローマ神話だとこの神にあたるみたいな感じだったりもする。

前回はゼウスにたどり着かなかったので、今回はゼウスから。

ゼウスZeus🇬🇷 ユピテルJupiter🇻🇦 ジュピターJupiter🇬🇧

「全知全能の最高神・雷神・絶倫万能の神」

オリンポスの神々および人類の守護神・支配神であり、神々と人間たちの父と考えられている。

女神や人間の女性の愛人がたくさんいる。正妻は姉でもあるヘラ。

ヘラHera🇬🇷 ユノJuno🇻🇦 ジュノーJuno🇬🇧

「婚姻と母性、貞節の女神」 ゼウスの姉・妻

6月や、小惑星ジュノーはヘラの名前に由来し、6月の花嫁(June Bride)はヘラが婚姻の女神であることからきている。

ヘラクレスはゼウスがアルクメネとの間に作った子であり、嫉妬深いヘラは乳を与えなかった。最終的にヘラの乳を飲んだヘラクレスは不死身となり、こぼれ落ちたヘラの乳が天の川になった。そのため英語では天の川をMilky Wayというらしい。

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ユノと孔雀 Le Paon se plaignant à Junon(1811)
ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau(1826–1898)
ギュスターヴ・モロー美術館(パリ)Paris,Musée national Gustave-Moreau

日本語の題名はユノと孔雀だけど、フランス語ではユノに不平を言っている孔雀。どうして孔雀なのか調べたら…ゼウスの浮気を見張るのを頼んでいたヘラの家来100つ目がある怪人アルゴスが、ゼウスに頼まれたヘルメスに殺されたことを悲しみアルゴスの100の目を孔雀の模様としたそう。その後孔雀はヘラのアトリビュートになる。

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ユノ Juno(1736)
カルル・ヴァン・ロー Carle van Loo (1705-1765)
プーシキン美術館(モスクワ)Moscow,Pushkin Museum

パリスの審判という、女王ヘーラー・知恵の女神アテーナー・愛と美の女神アプロディーテのうちで誰が最も美しいかを決める審判の前に、孔雀(ヘラ)がキューピー(アプロディーテ)を手なずけてるところらしい。そんなんわからんわ、って感じ。個人的にロココ様式好きなので、この絵は素敵だなって思った。結局勝ったのはアプロディーテらしい。

この後は浮気ぐせのあるゼウスの恋人たちについて紹介。まずは人間編。

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ユピテルとテティス Jupiter et Thétis(1811)
ドミニク・アングル Jean-Auguste-Dominique Ingres (1780-1867)
グラネ美術館(エクス=アン=プロヴァンス)Aix-en-Provence,Musée Granet 

この絵は女神テティスがゼウスに懇願する場面。これは浮気の場面ではないみたいだけど、左中央にはヘラの姿が。こんな感じで、嫉妬深いヘラがいつもどこかで見張っている。この後は、そんな女好きゼウスと復讐に燃えるヘラによって、迷惑を受けた人間の女の人がたくさん登場。ちなみにテティスはアキレス腱の由来になった英雄アキレウスのお母さん。

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ユピテルとセメレ Jupiter et sémélé(1895)
ギュスターヴ・モロー Gustave Moreau (1826–1898)
ギュスターヴ・モロー美術館(パリ)Paris,Musée national Gustave-Moreau

テーバイの王カドモスの娘のセメレは、ゼウスの子ディオニューソスを身籠もる。それ聞きつけたヘーラーは、老婆に化けセメレーに近づいて、あなたの交際相手は、本当は恐ろしい化け物かもしれないから、本当の身分を明かすよう頼みなさいという。セメレーはゼウスに真の姿を見せるよう迫ったが、雷火をまとった神の本性を現したことで、セメレーはまばゆい灼熱の閃光に焼かれて絶命した。縦幅が2m以上あるこの絵は美術館で見たらとっても迫力ある。

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レダと白鳥 Leda and the Swan 
ミケランジェロ Michelangelo (1475-1564)
不明

スパルタ王の妻レダに恋をしたゼウスは白鳥に化けて誘惑する。このテンペラ画は不道徳ということで破棄されたらしく、現在は模写が残っている。レダはゼウスの子ヘレネーとポリュデウケースを産み。夫テュンダレオースの子カストールとクリュタイムネーストラーを産む。ポリュデウケースとカストールはふたご座となる。

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ユピテルとイオ Jupiter and Io (1531–1532)
アントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジョ Antonio Allegri da Correggio(1489–1534)
美術史美術館(ウィーン) Wien, Kunsthistorisches Museum

イオはヘラに仕えていたが、川辺で水浴びをしていた時、黒い煙に変身したゼウスに捕まって犯されてしまう。ヘラに発見されたゼウスは、イーオーを白い牝牛の姿に変え、交わっていないと誓う。

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ヘラ,ゼウスとイオ Juno, Jupiter and Io (1672)
ヘルブラント・ファン・デン・エークハウト Gerbrand van den Eeckhout (1621-1674)

それを見破ったヘラは、ゼウスから牝牛をもらい、全身に目があるアルゴスに見張らせた。ゼウスはヘルメスに牝牛を盗むように命じ、イオは解放されたが、ギリシャからエジプトまでさまよった。

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エウロペの略奪 Le Viol d'Europe (1732-1735)
フランソワ・ブーシェ François Boucher (1703-1770)
ウォレス・コレクション(ロンドン) London,The Wallace Collection

フェニキア王の娘エウロペに一目惚れしたゼウスは、花を摘むエウロペの前に牡牛の美しい姿で現れる。エウロペが背中に登った途端牡牛は走り出し、海を越えてクレタ島へとエウロペを連れ去った。ここから、牡牛が走った土地をエウロペにちなみヨーロッパと呼ぶようになる。

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ダナエ Danaë (1636)
レンブラント・ファン・レイン Rembrandt van Rijn (1606-1669)
エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク) Hermitage Museum

アルゴス王は孫に殺されるという予言を信じ、娘ダナエを城に監禁していた。ゼウスは黄金の雨になって彼女に降り注いだ。レンブラントの最高傑作の一つと見なされる約2m×2mのかなり大きな絵画。本物見てみたい。

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ダナエ Danaë (1907)
グスタフ・クリムト Gustav Klimt (1862-1918)
ヴュルトレ画廊(ウィーン) Wien, Galerie Würthle

一番好きな神話にまつわる絵画。

次はゼウスの愛人、神様編かな笑


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