ギリシャ神話の神々③

フランスに来て、美術館巡りをしだしたら気になったギリシャ神話の神様たち。有名な絵画(というか私が好きな絵画)を神さま(たまに人)ごとに紹介。正確なことはよくわからないので、そういう説もある、くらいの軽い感じで受け取ってもらえれば…

ちなみに神様達、兄妹なのに結婚したり、体の一部から子供生まれたり、割とツッコミどころ満載。かなり紛らわしいので全知全能の神ゼウスを中心に書きます。

神様の名前は言語によって違ったりするので、ギリシャ語🇬🇷ラテン語🇻🇦英語🇬🇧で表記してますが、ラテン語は訳というよりは、ローマ神話だとこの神にあたるみたいな感じだったりもする。

前回はゼウスの愛人・人間編だったので今回は女神編。どんだけ恋多き男やねんって感じ。

メティスMetis🇬🇷

「知恵の女神」ゼウスの最初の妻

クロノス(ゼウスの父)が飲み込んだゼウスの兄妹達を吐き出させる薬はメティスが作り、ゼウスはこれをクロノスに飲ませ、兄妹を助けた。

ゼウスの最初の妻になるが、彼女が子供を身籠もると、ゼウスは次は自分が王座を奪われるのではないかと不安になり、メティスごと飲み込む。

メティスはゼウスの中で生き続け、ゼウスに知恵を与えた。

メティスの子供アテナはゼウスの頭から出てきた。

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パラス・アテナ Pallas Athene (1898)
グスタフ・クリムト Gustav Klimt (1862-1918)
ウイーン歴史博物館(ウィーン) Wien,Wien museum karlsplatz

メティスを飲み込んだ後、ちょうど赤ちゃんが生まれるくらいになると、ゼウスは激しい頭痛に悩まされた。ゼウスの頼みで、プロメテウスがゼウスの頭をかち割ると、鎧をつけたアテネが飛び出してきたらしい。こんなゴツい女神が頭にいたらそれは頭痛もすごいだろうなって思う。この話はちゃめちゃだけど好き。そしてやっぱりクリムトの絵は素敵。

テミスThemis🇬🇷 ユスティティアJustitia🇻🇦

「法と掟を司る女神」ゼウスのおばちゃん・2番目の妻

ウラノスのガイアの娘であり、正義を測る天秤と力の象徴である剣を持っている。

ローマ神話ではユスティティアJustitiaと呼ばれ、英語のJustice(正義)の語源となる。

ゼウスとテミスの子供はプロメテウス。

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正義の寓話 Allégorie de la Justice(1760)
ガエターノ・ガンドルフィ Gaetano Gandolfi (1734-1802)
ルーブル美術館(パリ) Paris,Musée du Louvre

司法・裁判の公正さを表す象徴として、剣と天秤を持つ正義の女神の姿は、裁判所や法律事務所などでよく見かける。最高裁判所にはテミス像があり、弁護士バッジにも女神の天秤が描かれている。

レトLeto🇬🇷 ラートーナLatona🇻🇦🇬🇧

ティタン神族の女神レトがゼウスの子を身ごもるとゼウスの妻ヘラは嫉妬し、一度でも太陽が当たった場所では出産できないようにした。出産場所を求めてさまよっていたレトの前に、海中に沈んでいた島が浮かんできた。

そこで太陽の神アポロンと狩猟の神アルテミスを産んだ。

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アポロンとアルテミスに殺されるニオベの子供達 Diane et Apollon perçant de leurs flèches les enfants de Niobé (1772)
ジャック=ルイ・ダヴィッド Jacques-Louis David (1748-1825)
ダラス美術館(ダラス) Dallas, Dallas Museum of Art

14人の子供をもつテーベの王妃ニオベは、2人しか子供がいないレトに、自慢した。レトは怒り、アポロンとアルテミスに彼女の子供全員を殺させた。ジャック=ルイ・ダヴィッドは『ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠』を描いた画家。

エウリュノメEurynome🇬🇷

「水の女神」

水の女神エウリュノメは海の神オケアノスの娘で、ゼウスとの間に3人の娘アグライア(輝き)、エウフロシュネ(喜び)、タレイア(花の盛り)をもうけた。

彼女達は三美神と呼ばれ、アフロディテ(ヴィーナス🇻🇦)の侍女になる。

彼女達はカリスとも呼ばれ、それがローマ神話ではグラティアとなり、そこから英語の上品、優美、寛容などを意味するグレースという名詞がうまれたらしい。

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春(プリマヴェーラ) Primavera (1477-1482)
サンドロ・ボッティチェッリ Sandro Botticelli (1455-1510)
ウフィツィ美術館(フィレンツェ) Firenze,Galleria degli Uffizi

ボッティチェッリの有名な絵画、プリマヴェーラの中央にアフロディテ、左に三美神が描かれている。ウフィツィ美術館にはボッティチェッリのヴィーナスの誕生もある。前見たときは、ギリシャ神話をあまり知らなかったから、また見に行きたい。

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パリスの審判 The Judgement of Paris (1638)
ペーテル・パウル・リュベンス Peter Paul Rubens (1577-1640)
プラド美術館(マドリード) Madrid,Museo del Prado

ちなみに三美神は別の女神達を指すこともあり、『パリスの審判』という話が有名。ルーベンスはこの題名で何枚も絵を描いている。真ん中が、アフロディテ(愛と美の女神)、左がアテナ(知恵・工芸・戦争の女神)で、右がヘラ(結婚の女神)である。座っているトロイの王子パリスのパリスが最も美しいと思った女神に、黄金の林檎を与えようとしている場面。この結果アフロディテが選ばれ、色々あって笑、パリスがスパルタの国王の妻ヘレネをトロイに連れて行ってしまったことがトロイ戦争の発端となる。

ムネモシュネMnemosyne🇬🇷

「記憶の女神」

ゼウスとの間に、9人の文芸を司るの女神ムーサ(ミューズMuse🇬🇧)を産んだ。

ムネモシュネMnemosyneはMemoryの語源になっており、ムーサの名前は、音楽(music)や博物館(museum)の語源となっている。

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ムネモシュネ Mnemosyne(1875–1881)
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ Dante Gabriel Rossetti(1828-1882)
デラウェア美術館(ウィルミントン) Wilmington,Delaware Art Museum

神秘的な絵で惹かれる。

マイアMaia🇬🇷🇻🇦

「春を司る豊穣の女神(ローマ神話)」

マイアの父アトラスは、天球を支える罰が下され身動きできなくなった。

ゼウスとマイアの間にヘルメス(嘘つきと泥棒の女神)が産まれた。

ローマ神話ではマイアは春を司る豊穣の女神で、5月(May)の起源となり、マイアの祭日(5月1日)に豊穣を祈ることからメーデー(May Day)の起源である。

デメテルDemeter🇬🇷 ケレースCeres🇻🇦

「豊穣の女神」 ゼウスのお姉ちゃん

デメテルという名前は、古典ギリシア語で「母なる大地」を意味する。

ゼウスとの間にはペルセポネという娘ができた。

デメテルはポセイドンに迫られ、牝馬の姿となったが、彼も牡馬の姿となって交わった結果、娘と名馬アレイオーンが生まれた。

彼女が愛したのはイーアシオーンだったが、ゼウスの嫉妬によって稲妻に撃たれた。

ローマ神話ではケレースとされ、穀物を意味するシリアルcerealの語源となった。また、ビールを意味するcerveza🇪🇸やcerveja🇵🇹の語源である。

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ケレース Cérès, allégorie du mois d'août(1699)
ブルローニュ・フィルス Louis de Boulogne(1654-1733)
ルーアン美術館(ルーアン) Rouen,Musée des Beaux-Arts de Rouen

この前せっかく行ったけど、多分見落とした気がする…

結果的にゼウスの愛人よりその子供たちがメインの絵がたくさん登場しちゃったので、次回はゼウスと人間の子供達を紹介しようかな。神と人間のハーフは英雄っていう扱いになるらしい。そういえば初めてギリシャ神話にふれたのはディズニー映画のヘラクレスだった気がする…


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