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文学

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#現代短歌

【短歌連作】現在にまつわる数々の噂

あいまいみーまいん、ゆーゆあゆーゆあーず…… かつて駄菓子屋と川があった 弾丸も当たらないほどなめらかな鳥がふたりで懐かしむ川 「3年前の川の模様を覚えてる」きみが言うなら、まちがいないね 昔の話。川の近くを通るたび死にたくなって死にたくなくって 不自然な動きをしているらしい 川の凹凸のようになれと? 足元に(わたしの気持ちを大雨の川に喩えてみたけど)花が 鳥たちが伝えたいのはいつかその川の断面 きみといるとき 川岸に片足で立つ生活の灯がぜんぶ沈んだら戻ろうか

短歌連作「オルタナティヴ」

廻避する手がないことを知ったのはお遊戯が始まってからだった 3人の桃太郎がおじぎをする 1人は衣裳のみの出演 どこからか撥条があらわれ きえて べつに探してないけどそこに 思春期の間歇泉を避けるためやわらかいほうのソファに飛びこんだ 「テンプレとか劃一的とかはいいからさ、もっと君も訊いてよ。来てよ」 あいつらが(気持ちよさげに!)飛ぶせいで僕らの大地が小さく翳る 1組と2組と2組 8八の限界聚落解体決定 何者かに侵蝕されてるぞ 僕ら 古文を逐語訳するみたいに

短歌連作__is not empty

初めて連作というものをやってみた。 テーマに沿って絞り込んだり並べ替えたりする作業が非常に楽しい。 今回は連作ということで、かなり気合が入っている。 縦書きにしたかったから、画像という形態を採った。スマホの方は横画面にしたりして読んでいただきたい。 (画像の画質が悪そうなので一応PDFを置いておきます)

かなり生き急いでいる短歌_24首

図書委員の当番中に読んでいた。 しおりがなかったからセブンイレブンのお手拭きを挟んだ。 薄氷の上の生活と、Twitterでの不安定な繋がり。歌に危うさが漂っている感じがする。 以前から「了解」という言葉は電子メールによってその重さを奪われているんじゃないかと思ってたけど、本書のタイトルはまさにそういう意味を含んでいそうだ。 『京大短歌 29号』と青松輝『4』を買った。 京大短歌会は学生短歌界でもかなりの重鎮だと聞いて気になったのだが、偶然にも29号には青松さんが寄稿して

対港区女子短歌_1首

港区女子が寿司屋に殴られたとか殴られてないとか、背景が歪んでるとか歪んでないとか、そういう事件が話題だ。 今回は、そんな世相をみじん切りにする短歌を作ってみた。 置く場所をまちがえた呼び込み君に逆位相の波をぶつける

教室のすみっこで作った短歌_18首

うれぴ〜〜〜!!! 今回は、教室のすみっこで生まれた短歌を大紹介。 僕の席は窓から外が見えるので、考え事をするのに向いている。とてもいい席だ。 近くで工事をやってるらしく、その音も聞こえる。 レゾナンス つり革を持つおじさんのおしりのリズムとガタンゴトンが 駅前のエホバを無視する学ランは部活ででかい声を出してる 雪だって!! 手の体温を抵当に入れて楽しくスマホを凝視 けだるげに通学路を歩いていたら雪が降って2分でやんだ 石を切る音と世界の泣き声を重ねた音は同じら