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今日の絵本02:『14ひきのあさごはん』 いわむらかずお

02_14ひきのあさごはん

どんぐりパンを食べてみたい

「おとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあさん、そしてきょうだい10ぴき。」森に暮らす14ひきのねずみの家族の1日は、朝ごはんの支度から始まります。おとうさんが薪を割り、おばあさんとおかあさん、おねえさんたちはどんぐりの粉でパンを焼く。兄弟たちは野いちごつみに出かけます。滝を越え、森の虫たちにあいさつをし、たくさんの野いちごを摘んで帰るころには、「きのこもはいって、とくべつおいしいおとうさんのスープ」も出来上がり。あたたかでおいしい食卓を囲んで、今日という新しい日が、さあ始まりです。

* * *

1983年から始まったロングセラー「14ひきシリーズ」は、とても美しく緻密な絵で描かれた絵本です。細部まで丁寧に描き込まれた森の中の生き物や植物、そのなかで生き生きと動き回る14ひきの個性あふれるねずみたち。文字になっていないストーリーが画面のあちこちで繰り広げられ、開くたびに新しい発見があります。

「3歳から」とありますが、息子は2歳のときからこのシリーズが大好き。昆虫好きな彼は、画面のあちこちに描かれた虫を見つけては「これなーに?」「なにしゃべってるの?」とわたしに聞いてきました。

さらに彼は兄弟の一番末っ子「とっくん」と自分を重ねあわせているようで、「これがぼく」と言い、ページをめくるたびに「とっくん」の姿を探して、その真似をしたりもします。眠い目をこすりながら、おかあさんに着替えを手伝ってもらっている「とっくん」の様子は、なるほど確かに彼にそっくりです。

この日家族みんなが協力して作った朝ごはんのメニューは、どんぐりパンと、スープと、野いちごと、ジュースにジャム。なんておいしそうなんでしょう!

読み終えた後には希望に満ちた朝の光と家族のあたたかさ、やさしさを感じさせてくれる、とても素敵な絵本です。プレゼントにもおすすめ。第6回絵本にっぽん賞受賞作品。

オススメ度(読み聞かせ当時の感想です)
母-------> ★★★
2歳男児--> ★★★

※「今日の絵本」は、家で過ごす時間のために、ずいぶん昔に書いていた絵本ブログから、おすすめ絵本のレビューをランダムに紹介する記事です。リアルタイムに執筆した文章ではありません。ほんのちょっとでも、なにかのお役に立てれば幸いです。

『14ひきのあさごはん』
▽いわむらかずお:作/童心社 (1983/07)

https://honto.jp/netstore/pd-book_00260108.html

関連情報
▽いわむらかずお絵本の丘美術館
http://ehonnooka.com/
絵本の世界とその舞台である里の自然が同時にある場所づくりをめざして、栃木県馬頭町に1998年4月開館した美術館。那須の清流那珂川を見下ろす美しい丘の上にある。


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