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CAって何?今日のCAは…

雛菜です。こんにちは!
今日は私のゼミで行っている通称CA(クリティカル・アナリクス)の議論に関して投稿したいと思います。

 そもそもろんCAって何?って話になると思うので、CAの内容について大まかにお話ししたいと思います。
CAとは、「1人対全員」という独特の形式で行うディベート・トレーニング法です。これを行うことで、「批判的分析力を磨く場」を自ら創るというものです。
 
 このトレーニング法では、まず1人が「立論者」となります。立論者は、事前に社会問題の1つを取り上げて、それに対する自らの主張をA4・1枚程度の文章にまとめ、他のメンバーに提示します。その他の「討論者」は、立論者と反対の立場で、自らの意見をまとめてトレーニングに臨みます。
 立論者は、できるならば自らの本来の主張と逆の立場で議論を組み立てることが望まれます。これは、議論において感情や主観、参加者が本来持つ思想信条の志向を排除し、論理のみを競うことを徹底するためです。
1.CAの方法
 トレーニングでは、約20〜30分間、立論者と討論者が議論をします。ルールは1つ。「立論者と討論者は絶対に同意してはいけない」ことです。立論者と討論者は、お互いに反対の意見を、論理的にエビデンスを用いながら言い続けます。議論の勝敗をつけることはありませんが、相手を打ち負かすために、ありとあらゆる角度から相手の主張を批判し続けます。
2.CAで身に着くもの
 このトレーニングを継続的に行うことで、様々な「競争力」が身に着きます。なによりもまず、ありとあらゆる批判に耐えて、それを打ち返す議論ができる「圧倒的な知的体力」。日本社会で育った人は、内輪では強いが、敵地(アウェー)では弱い、いわゆる「内弁慶」が多いとされています。「1人対全員」という「窮地」に敢えて身を置いてタフな議論を行うことで、ビジネスや政治、学問の国際的な舞台で堂々と戦える「敵地戦闘力」が着いていきます。
詳しい内容は以下のノートに書かれています!

 このCAに関して今回のテーマは「日本で少年事件における実名報道を禁止するべきか否か。」でした。立論者は、「実名報道するべき(匿名報道を禁止するべきでない)」という反対の立場から立論しており、他の人は、「匿名報道すべき(実名報道を禁止するべき)」という賛成の立場からの反論を行いました。

まず初めに、新聞記事などから課題をとってくるのですが、今回とってきた記事としては、
【記事】
 『事件を起こした18・19歳を「特定少年」と位置づけて厳罰化する改正少年法が2022年4月1日より施行される。少年事件を扱う家裁が原則として検察官送致(逆送)とする対象事件を拡大し、起訴後は実名報道が解禁される。同時施行の改正民法では18・19歳が新たに成人となる。一方で改正少年法は、特定少年は立ち直る可能性がある存在だとして、18歳未満とも20歳以上とも別の扱いとした。
 具体的には、家裁が全少年事件の送致を受け、少年の成育歴や家庭環境を詳細に調査している今の仕組みを維持しつつ、特定少年について刑事処分が相当として原則逆送とする対象事件を拡大。現行の「殺人など故意に人を死亡させた事件」に、強盗や放火、強制性交等などの事件を加えた。少年事件は、刑期中の更生状況に応じて刑期が選択される不定期刑が適用されてきたが、特定少年には成人事件と同様に定期刑が適用される。
 さらに、事件を起こした少年の氏名や住所が推定されるような報道(推知報道)を禁じてきたルールを改め、特定少年が起訴された場合はこの禁止ルールを適用しないことにした。
 ただし、検察が起訴した18・19歳の全事件で実名が明らかにされるわけではない。法改正に至る国会審議では、実名報道に反対する意見が相次ぎ、衆参両院の法務委員会は「インターネットでの掲載により情報が半永久的に閲覧可能となることも踏まえ、特定少年の健全育成や更生の妨げとならないよう十分配慮されなければならない」などとする付帯決議をした。
 最高検は2月、起訴された特定少年の実名報道解禁を踏まえ、全国の高検、地検に通知を出し「犯罪が重大で地域社会に与える影響も深刻な事件については実名公表を検討すべきだ」とする考え方を示した。この中で、典型例として裁判員裁判対象事件を挙げ、それ以外でも社会の要請が高いなどの場合は公表の検討対象になり得るとしており、検察当局も報道対応の運用を変更する方針だ。』というものでした。
これに関して、立論者の意見としては、以下の3つが用意されていました。そしてそれに対する意見は以下のようなものでした。
1.犯罪報道の質が低下する
 改正少年法施行以前から、匿名報道の対象となっている少年事件の中でも、社会的に報道する意義が大きいと考えられる事件では実名報道が必要だという主張が認められている。この社会的意義を果たす上においても、匿名報道では大衆の報道内容の正誤確認が困難となるため、報道内容がずさんになる可能性や、誤った報道が見過ごされる可能性が高くなる。
2.「知る権利」や「報道の自由」の侵害とも考えられる
 日本国憲法において、主権者である国民には国の在り方を考えるために必要な情報を「知る権利」が保障されており、これを守るためにメディアには「報道の自由」があると理解されている。たとえ少年犯罪であったとしても、犯罪は犯罪であり、「知る権利」や「報道の自由」を損なわない実名報道が適当である。
Q:名前を報じることが痛みを分かち合うことになるのではないか?私刑の限界(福沢諭吉)司法が守る必要性があるのではないか。
A:SNS上の集団的なリンチ(報道の)を防ぐことは別の意見になるのではないかと思う。

3.公権力のチェック機能が低下する
 報道が担う重要な役割の一つとして、検察や警察といった国家機関の不正をチェックすることがある。実名報道が禁止されることにより、警察の捜査や検察の裁判における不正・不備を報道によって告発することが困難となり、権力への監視が十分に達成されない可能性が高まる。
Q:優先される事項が他にも多いのではないか?
A:2つの年齢に限定されているけれども、成人年齢が変更されたことによって、特例として変えるのではなく、成人として扱う必要性があるのではないか。
Q:引き下げるからこっちも引き下げようというのは立法的な事実がない。一律の引き下げはよくない。18・19歳は未熟である。少年法がきっちりと確立されているので、問題がないのでは?
A:18/19歳は成人と同じように同一に裁く必要性があるのではなるのでは?

これらの意見に対して、立論者は、反論者の反論を予測してそれに対して、再反論を準備しておくのですが、それに関しては以下の通りになっています。またそれに対する意見も載せています。

1.犯罪加害者の社会復帰が比較的容易になる
 現状として、逮捕・起訴された時点で加害者の実名が報道されると、科された刑罰を終えた後であったとしても、再就職などの社会復帰が困難である。再就職ができず安定した生活が送れないことは、本人にとっても悪影響である上、再犯罪にもつながりかねない。加害者の特定につながる情報が報道されないことにより、加害者が罪を償った後に社会復帰できる可能性を向上させることができる。
→ 改正少年法においても、軽犯罪者は匿名報道となる一方、刑期が長期化する傾向にある重犯罪者が出所後に就職することは、社会適合の観点から困難である。さらに、日本における再犯率が約5割(元受刑者の2人に1人が再犯者になる)であることを踏まえれば、実名報道か匿名報道かを問わず、犯罪者の社会復帰は困難であると言える。

2.冤罪であった場合に、加害者の社会的名誉が守られる
 本来、裁判で有罪が確定するまでは容疑者は無罪であるとする「推定無罪の原則」が存在するものの、犯罪報道では容疑者の段階から加害者の実名報道が行われる傾向にある。つまり、本来無実であった人が裁判前からあたかも犯罪者であるかのように報道されることにより、社会的名誉が損なわれるということが往々にして発生する。無実であった人までも特定されてしまう個人情報を、未来ある少年に限定してでも一律に報道を禁止することにより、報道者側からの「推定無罪の原則」が遵守されるようになると期待できる。
→ 次項の再反論に預ける。
Q:冤罪の時の影響を考えた方がいいと思う。
A:犯罪を犯したことが認められたら報道される。冤罪の例は極めて少ない。少年犯罪の人へはメディアもセンシティブになってると思う。
Q:メディアの裁量が多くなっていることについて、日本の特徴として横並び報道、実名報道に関しどれだけメディアに信頼できるか。報道被害のケースは多い。人々のマスメディアへの嫌悪感がある。商業のために報道する根底がある中で、更生の可能性がある人に対して実名報道をする必要性はないと思う。
A:横並び報道は民法各社だったり、一定のスポンサーがいるところ。民法4社はスポンサーが同じで、スポンサーの意向で変わっていく。NHKは厳密に匿名と実名を極めてから報道している。これらを踏まえると、メディア内で合意を取ることで、18/19歳だけではなく、成人の人に対しても実名かどうかを考えるきっかけになる。
Q:考えるきっかけであれば、性善説を推しすぎなのではないか?
A:チェック機能が働けば、公権力に関しても、きちんと機能していることを確認するためにも実名報道するべきではないと思う。

3.犯罪被害者/加害者双方のプライバシーを守ることができる
 現状、報道機関では自主規制を行っているものの、特に世間の注目を浴びる事件では実名報道が行われ、あるいは匿名報道であったとしても「推知報道」によって個人が特定されるような情報が拡散され、プライバシーや心情を傷つけるような報道がされている。被害者の場合も、加熱した報道によって犯罪の被害のみならず、心や名誉を傷つけられることにもなりかねない。実名報道の禁止を制度化することにより、プライバシーや名誉を明確に守ることが可能になる。
→ 「プライバシー権」も尊重されるべきではあるものの、「知る権利」や「報道の自由」を損なわない程度にしか尊重せざるを得ず、結果的にインターネット上での個人特定ひいては私刑行為への加速につながっている現状は否めない。たとえインターネット上での個人特定行為を違法行為として責任を追及できたとしても、一度インターネット上に掲載された情報を完全に削除することは不可能である。これを抑止するためにも、報道機関としてチェック機能を発揮し、報道する情報を統制する方が、被害者・加害者を問わずプライバシー権を効果的に保障することが可能である。
※今回は、第三者による個人の特定行為に関する議論は取り上げないものとする。
Q:被害者加害者以上に家族とかも匿名することによって守られるのでは?関係ない人も被害を被るのではないか?
A:周囲にも悪影響が及ぶのは、担保される情報と担保されていない情報があるとしたらあえて開示することによって影響を限定することができるのではないか。
Q:少年が犯罪を犯す段階において理由を重視するべきなのではないか?社会の同情を得られていたものが罪が重くなってしまうのでは?
A:少年が犯罪の背景に関して酌量の余地があるのは裁判や実名報道の有無とは別の話になってしまうのでは?

参考文献
※URLの記載があるものは、すべて2023年6月25日が最終閲覧日である。

先生からのご意見

 実名報道について、特定無罪が確立していない。検挙したら有罪率が99%。冤罪が多すぎる捜査方法の問題が一つ。
実名報道に関係なく、成人に関して選挙だけではなく、全部18歳以上にしたらいいと思う。実名にしたらオープンになる部分もあるんだけど、オープンであることが大切である。隠すことが、おかしくなる原因である。

今回の議論は私の大学院に進学されている先輩が立論をしてくださったこともあり、後輩がとてもしっかりと準備して反論もできていて、すごく面白い議論だったな〜と感じながら見てました。
私自身ももっとCAを頑張らないと💦とちょっと焦る一コマでした。

とあるゼミの授業の一コマの内容でした…








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