雨の景色

雨を眺めたり、近くのカフェで雨音を聴きながらゆったりと読書する時間が
とても好きだ。と言いたいところだが現実は違う。
ただただ憂鬱になる。

昨日この本を読むぞと、机の上に本とノートとペンを置いた。
それらを無視するかの様に、今はゴロゴロとYouTubeやHuluを見てしまう。

このままではまずい。夜になると罪悪感が生まれてしまうことは容易に想像できる。
そういえば今週のラジオはファミレスからの放送だった。それにXで
パーソナリティーが頼んだメニュー一覧をポストしていた。同じメニューを頼むだけでテンションが上がる。
ドリンクバーやポテトを食べながら読書をする。
なんて素敵な日曜日の過ごし方だろう。本に油がつかないように、箸でポテトを食べるというのも面白いかも。

リュックに本を３，4冊入れる。いつも読めて１～２冊なのに多めに入れてしまうのが私の癖である。
準備ができた。Airpodsを装着し、昨日のラジオを再生する。
いつもは40分ぐらいのオープニングトークだが、ゲスト回ということもあり、20分ぐらいでオープニングトークを終えていた。他のゲスト回でも40分トークするのに、今回のゲストと話すのが楽しみだったのだろう。ワクワクしているパーソナリティーに私も嬉しくなった。
鍵と財布を確認し、玄関を開ける。小雨だったので傘をささなくてもいけると思っていたが、私を外出させることを拒むように雨が強くなってきた。
「これはさすがに・・・」そうつぶやき、一旦家に戻ることにした。
折り畳み傘を探すが見つからない。いつもは通勤用のリュックのサイドポケットに入れているが、洗濯中であった。
チョコをこぼした時の残りカスが残っており、中に入れていた
クリアファイルや本が茶色くなって顔を出していたのだ。
「ここにはない」それだけは言える。ざっと見るが、見当たらない。
このころには、ファミレスやラジオのウキウキはイライラに変わっていった。
今日はファミレスにいくのやめようかなと思ったが、傘がない状態で月曜日を迎えるのは不安。ファミレスにいけなくても、傘は買いたい。

数分探し、折り畳み傘を発見。イライラが収まり、ファミレスに行こうかなと玄関を開ける。

さっきよりも雨が酷くなっている。
テンションは下がったが、目的地まで行くことを決意する。
しかし、ズボンも靴下もびしょ濡れ。

この状態で楽しむことはできない。

目的地をスーパーに変更。
最近食費にお金をかけてしまうこととダイエットの意味で、あまりカロリーの高いものは買わないようにしている。
しかし今日は、台風も近いしという理由をつけてたくさんのパンとカップ麺を買った。
今日賞味期限の割引のパンが目に入る。
冷蔵庫の中身を想像し、マヨネーズとケチャップをかけて、チンして食べよう。
今日中に食べ終えるプランができた。

会計。
1000円を超えると毎回、テンションが下がる。今日も超えてしまった。
パンやカップ麺を１つでも減らせばおさまるが、セルフレジということもあり、操作が面倒くさい。
もともとスーパーに行く予定がなかったので、リュックは小さいし、本とノートが入っている。
袋はお金がかかるから使いたくない。
パンとカップ麺でリュックに収まらないが、お金がかかるよりマシである。

スーパーから出ると雨が少し弱まった。このリュックのままファミレスに入る勇気を持ち合わせていなかった。

帰宅し、着替える。
買った食パンを取り出し、冷蔵庫を開けるとマヨネーズは賞味期限切れだし、ケチャップはない。
インスタントのシチューがあったから、チンするが量が少なく、食パンが余る。
1枚半は何もつけずに食べる。

雨が好きだと言いたいが、心と体が拒否をしている。

星野源さんのエッセイ集「いのちの車窓から」に書いてあった。
「脳や心に一度こびりついた景色は、二度と変えられないのではなく、新しいものに更新できる」

これから雨の景色を更新していきたい。