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『ゼロ秒思考(赤羽雄二/ダイヤモンド社)』を読めば、「頭が良い」「仕事がデキる」の本質がわかる。

「そもそも、大半の人は、どうすれば”深く考える”ことができるのかがよく分かっていない」

ドキリとした。この本の冒頭にある一節だ。

まさに自分のことだ、と感じたからだ。

子どもの頃から、「一生懸命考えているようで、実は何も前に進んでおらず、時間ばかりが過ぎていく」、という経験をよくしていた。

それを打破するための方法を、ずっと模索していた。

その答えが本書にあった。

冒頭部分で、次の一文のように端的に表現されている。

「考えを深め、心を整理する効果的な方法。年齢も性別も学歴も国籍も関係ない。誰にでも驚くほどの効果がある。それは、頭に浮かぶことを次々とメモに書くだけだ」

そう。「メモを書くだけ」。本当にそれだけだ。

もちろん、詳細な方法も本書では紹介されている。

私も実際に試してみたが、シンプルで、手間も費用もほぼかからず、それでいて効果をすぐに実感した。

なんというか、頭が高速で回転している感覚があるのだ。

著者の赤羽雄二氏は、東京大学卒業後、コマツに入社。

途中、スタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士を修了。

その後マッキンゼーにて、14年間の在籍中にマッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げる、といった経歴の持ち主。

そのキャリアの中で開発された「メモ書き」の概念を、本書では余すことなく紹介されている。

読書メモ抜粋

・一生懸命考えているつもりで、実際は立ち止まっている、という人が意外に多い。前に進まない。あるいは空回りする。気になることがあると、頭がうまく働かず、考えがなかなか深くならない。考えようとしても、目の前の別の課題が目に浮かぶ。集中して考えることができない。行ったり来たりで結論を出せず、時間をかけても深堀りできず、堂々巡りすることになる。

・深く考えるという以前に、少しでも前向きに考えられればまだマシだ。迷う時は、ああでもない、こうでもないと課題の入口で思い悩み、深く考えるどころか一歩も前に進まない。ずいぶん考えた、疲れ果てたと思っても、少しも前進できていない。

・そもそも、大半の人は、どうすれば「深く考える」ことができるのかがよく分かっていない。

・驚くほど多くの人が自分に自信を持てず、せっかくの能力が宝の持ち腐れとなっている。これはあまりにももったいない。心の整理をし、考えをまとめ、深める方法があったら、誰でも別人のように成長できる。仕事ができるようになる。コミュニケーションの悩みも減り、不必要な悩みから少なからず解放されて生きていくことができる。

・考えを深め、心を整理する効果的な方法。年齢も性別も学歴も国籍も関係ない。誰にでも驚くほどの効果がある。それは、頭に浮かぶことを次々とメモに書くだけだ。

・ノートやPC上ではなく、A4の紙に1件1ページで書く。ゆっくり時間をかけるのではなく、1ページを1分以内にさっと書く。毎日10ページ書き、フォルダに投げ込んで瞬時に整理する。

・それだけで、マッキンゼーのプログラムでも十分に教えていない、最も基本的な「考える力」を鍛えられる。深く考えることができるだけでなく、「ゼロ秒思考」と言える究極のレベルに近づける。心のコントロールの達人にもなり、ストレスや不安、恐怖が軽減される。前向きに明るく生きることができるようになる。しかも、お金はほとんどかからず、わずか3週間ほどでかなりの効果を体感できるはずだ。

・まず、思考と言葉の関係について、強く意識してもらいたい。「思考は言葉によってなされる」ということ、そして「感情も言葉にできる」ということだ。

・綺麗に書こうとするから書けないだけで、順番も表現も気にしなければいくらでも書ける。人目を気にしなければ何でも書ける。

・誰でも、起きている間、いつでも何かを感じている。何かを考え、何らかのイメージが浮かんでいる。ただ、それがすぐ消えてしまう。言葉を認識する以前に、もやっとした感情のまま、それが何かを特定しないまま消えてしまう。いったん忘れるが、もやもやの原因が解決するわけではない。もやもやが自然に消えるわけではない。なので、気分はどんどん滅入ってくる。

・私のお勧めは、それを言葉にし、遠慮なく書いてみることだ。もやもやを外に出してしまうことだ。

・イメージや感覚を言葉にすることに慣れてくると、だんだん自分の気持ちや思っていることをあまり苦労せずに表現できるようになる。言いたいことがすぐ出てくるので、ストレスがない。

・頭を使わない状況で成長することはない。考えて物事を整理し、問題点を解決していかなければ、気持ちも晴れることがない。やる気もだんだん低下し、仕事も面白くなくなり、結果も出にくくなっていく。

・言葉への鋭い感覚を持ち、その場に合った的確な言葉使いをする人の話は非常に分かりやすい。

・そういう人は、言葉使いだけでなく視点、ポイントが明確なので、仕事もできることが多い。自分自身が混乱することがなく、一緒に仕事をする人にも混乱を起こすことなく、全てが整然と進むからだ。

・言葉に曖昧さがなく、かつ率直なので、好感も持たれやすい。不適切な言い方をすることもなく、言い過ぎることもないので、人のやる気を不要に削ぐことがない。当然、人望があり、優れたリーダーになる。

・いつも概念がシャープで、しかも苦労せずに言いたいことが言えるため、ストレスもあまりない。自分の意思を伝えたり感情を伝えることが容易にできる。ストレスがないと自然体でコミュニケーションでき、そうなると聞く側もリラックスできるので、頭に入りやすい。それがリーダーシップの源泉になる。

・頭がいい、仕事ができるという時、実は言葉への感覚が鋭く、そのためにコミュニケーション能力の高さが光って見えることが多いのだ。

・マッキンゼーでも、課題整理、分析、戦略立案については徹底的に叩き込まれたものの、「素早く深く考える方法論」「心を穏やかに保ち、気持ちを整理しつつ、頭を最高速で回転させる方法論」はほとんど教えられなかったし、それができている人は決して多くなかった。

・考えをどんどん深めていくこと、選択肢をあげ尽くし、それを評価して優先順位を付けることなどは、実はウエイトトレーニングと同じで、鍛えれば鍛えるほど力が付く。本書を読み終え、1日10ページのメモ書きを始められた人には、ウエイトトレーニング的な効果を数週間で実感してもらえる。

・このトレーニングの結果、飛躍的に頭が整理され、的確な言葉使いができるようになる。トレーニング次第で誰でもだ。学歴、職歴、経験、立場などには全く関係しない。もちろん性別や国籍、年齢にも関係ない。そうやって強化できることであるのに、知らずに空回りの思考をしている人がほとんどだ。

・「沈思黙考」という言葉があるが、ひたすら考えを巡らせ、ああでもないこうでもないと考えるだけで思考が進むことはあまりない。

・黙考して考えがどんどん深まればいいが、ほとんどの人にとってはちょっとしたアイデアや不安が浮かんでは消え、浮かんでは消えで、ほとんど形になっていかない。書き留めないので蓄積されないし、アイデアも深まらない。

・お勧めなのは考えをすべて書き留めることだ。考えのステップ、頭に浮かんだことを書き留めると、堂々巡りがほぼなくなる。単純に感情をぶつけるようなことがなくなる。書き留めたものが目の前にあると、自然にもう一歩前に進む。苦労せずに考えが進んでいく。誰でもだ。

・書き留める際に言葉を選ぼうとしすぎると、思考が止まってしまう。それよりは、浮かんだ言葉をあまり深く考えず、次々に書き留めていく方がずっといい。

・ある程度悩みを吐き出した後は、気持ちが軽くなって、意外なほどアイデアが出て、考えが深まるようになる。それまで見えなかった全体像がどんどん間近に見えてくる。

・時間をかければ考えが深まるとは限らない。

・特にデスクワークの大半は悩んだり、堂々巡りしたりで時間を浪費する。

・成長しなければ、人生は本当の意味で決して楽しくない。それだけならまだしも、のんびりやっているうちに職を失うリスクが最近は非常に高まっている。大企業ですら、終身雇用はほとんどない。今回リストラの対象にはならなかったと喜んでいても、次回かもしれないし、会社そのものがつぶれてしまうことも起り得る。その時、安逸な仕事の仕方をしていると、再就職のチャンスも非常に小さくなる。

・ごく一部の優れた人は、高速で動き大きな成果を出す。時間を1分も無駄にしない。素晴らしいスピードで情報収集し、意思決定をし、電光石火でアクションに移している。かなりのボリュームの企画書を驚くほどのスピードで仕上げることもできる。

・時間を2倍かけると2倍良い内容を考え出せるかというと、まずそんなことはない。

・製造原価は1円あるいはそれ以下の単位で管理するのに、どれだけ速く考えているか、どれだけ早く決断しているか、どれほどすさまじく頭が回転しているかどうかについてはそれほど問われない。

・もやもやとした気持ちをその場で言葉にし、考えを深められるようになると、考えが進むだけではなく、どんどんスピードアップしていく。3~4日かかって考えていたことが数時間でできるようになる。1か月かかっていたプロジェクトを1週間で終わらせることもできるようになる。生産性は数倍~数十倍上がる。

・課題が整理され、問題点の本質が見え、本質的な解決策とそのオプションが浮かび、オプションのメリット、デメリットがすぐわかるようになる。問題の本質と全体像を抑えた確実な対策が打てるようになる。

・そうした思考の「質」と「スピード」、双方の到達点が「ゼロ秒思考」だ。ゼロ秒とは、すなわち、瞬時に現状を認識し、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることだ。迷っている時間はゼロ、思い悩んでいる時間はゼロとなる。

・人間にはもともと素晴らしい判断力、思考力とそれに基づく行動力があるが、のんびりしていてもなんとかなるという甘やかされた環境、出る杭は打たれがちなムラ社会、周囲との摩擦を起こさない行動様式、慎重に考えるよう釘を刺してきた先輩たち、詰め込み式の学校教育、あるいは行儀良さを追求した保守的な親の躾、等々の複合的な影響でせっかくの能力に蓋をし、退化させている。

・日本の学校教育の中で培われた、自分はできる/できない、優秀だ/優秀でない、頭がいい/悪い、褒められた/褒められなかった、といった過度の自意識により、本来持って生まれた能力を活かせず、がんじがらめになっている人がほとんど。

・先延ばしにしようとする気持ちは誰にでもあり誘惑も多いが、間違いなく前倒しの方がずっとよい。早く対処できれば手遅れになる前に対処できる。早めに着手すれば改善もしやすい。情報収集を重視して結果として手遅れになるよりはよほどよい、という気持ちが鍵だ。

・メモを書くと自意識を取り払い、素直にものを考えられるようになることに気づいた。

・「メモ書き」は、こわばった頭をほぐす格好の柔軟体操であり、頭を鍛える手軽な練習方法だ。頭に浮かぶ疑問、アイデアを即座に書き留めることで、頭がどんどん動くようになり、気持ちも整理されるようになる。自意識にとらわれ悩むことが無くなっていく。「メモ書き」により、誰でも、この境地にかなり早く到達できる。自分でも驚くほど頭の回転が速くなる。

・具体的には、A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4~6行、各行20~30字、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。したがって、毎日10分だけメモを書く。

・これらのメモを書き始めて10分程度で、彼は長年悩んでいた自分自身のコントロールしがたい癖について深い理解を得ることができ、改善の大きな一歩になったという。

・「メモ書き」は、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。時間はわずか10分だ。費用はかからず、頭や感情の整理に即効性がある。行動上の課題を解決し、スタイルまで変更することができる。

・メモ書きを3週間から1か月続けると、頭にどんどん言葉が浮かぶようになる。メモに書くよりも早く、言葉が湧いてくる。1か月前にはもやもやとしていたものが、言葉が明確に浮かび、アイデアが次々と出てくるようになる。頭の速さに手の動きがついていけず、もどかしく思いながらアウトプットし続けることになる。

・さらに数か月続けると、瞬間的に全体像が見えるようになり、「ゼロ秒思考」に近づいていく。ものによっては、瞬間的に問題点が見え、課題が整理でき、答えが見えてくる。この変化には、性別、年齢、経験を問わない。

・メモに書くことで、もやもやした思い、懸案事項、考えも整理される。頭がすっきりする。もやっとした思いを言葉に直し、手書きし、目で確認することで、メモが外部メモリになる。そうすると、驚くほど頭の働きが良くなる。人間の頭はそれほどキャパがある訳ではないので、何かに気を取られるとうまく動かないのだ。

・頭がうまく動くようになるだけではなく、なんとなく考えていたこと、なんとなくできていたこと、すなわち「暗黙知」がはっきりと形になる。つまり「形式知」化する。そうか、こうやって自分はやっていたのか、ということを初めて認識する。

・人間の頭は心と切り離せないため、心が乱れると頭がうまく動かないのだ。堂々巡りをしたり、あと一歩の所で戻ったり、決めかねたりする。それがストレスでさらに頭が働かなくなっていく。

・色々回り道したが、結局、頭の整理には「A4用紙へのメモ書き」が一番効果的であることが分かった。多くの問題が、「A4用紙へのメモ書き」によってかなり簡単に解決されていくことに気付いた。メモに書くと、それだけ悩みが減っていく。霧が晴れて前が見えやすくなる。1件1ページでどんどん吐き出していくと、みるみるうちにもやもやが無くなり、頭がすっきりと整理され回転が良くなっていくことが誰でも実感できる。

・メモを書くと、何よりも頭がすっきりする。頭に浮かぶこと、揺らいでいることを言葉にしていくので、もやもやがほとんどなくなる。そうすると、今心配しても仕方がない心配事、なんとなく気になっている懸案事項などが整理され、本当に大事なことだけが見えてくる。

・1ページで済まなければ似たようなタイトルで何ページか書くと、もやもやが吐き出されてくる。その間、ほんの数分だ。

・書かないと気付かない気付きがいくつもある。発見がある。

・こういったメモを普段から多数書いていると、意外に大事なことが見えてくる。本当に大切なことが何か、何が気になっていたのか、気にしないようにしていたことが何なのか、そういうことが、ついうっかり、気づいてみたら書き出されてくる。「つい、うっかり、気づいてみたら」が重要なポイントだ。目をつぶろうとしてきたこと、考えないようにしてきたこと、でも実際は非常に気になっていたことがはっきり見えてくる。

・また、大事なことが見えてくると、大事でないこととの区別がつきやすくなり、自然に大事なこと以外、あまり気にならなくなる。消えてなくなるわけではないが、それほど問題ではないのではと感じ始め、少なくとも今気にする必要がない、気にしても仕方がない、という気になり、だんだん気が散らなくなる。

・そういう状態になれば、常に大事な課題に集中しやすくなるので、課題の解決が進みやすい。先送りすることも減るので、悪化する前にアクションを取れ、早めに解決できる。悪循環に陥りにくくなる。結果として成果が出るようになり、自信が湧いてくる。何より、気が散らない状況は、ストレスも少なく、気分も爽快だ。

・メモ書きによって、自分の置かれた状況、目の前の課題が素早く可視化され、優先順位も自ずと明確になり、課題が速やかに解決され、好循環が始まり、人間が生来持つ自信とポジティブさが自然に出てくるのだ。

・メモを書くと、腹が立たなくなる。

・腹が立った時や気分が悪い時は、それを全部メモに書き出すとすごく楽になる。相手の名前はストレートに書く。仮に山下さんだとすると、名前をぼかさず「山下さんはどうしていつも私を罵倒するのか」といったメモを書く。

・メモを書くと腹が立たなくなるのは、人目を気にせず遠慮なく吐き出せ、吐き出したものをしっかりと見ることができるからだと考えている。その結果、自分の状況を客観視できるようになり、今起きたことが本当はどういう原因で起きたのか見えるようになり、それに対して何をすべきなのか、何をすべきではないのかが把握できるようになるからだ。

・そうなると、むやみに腹を立てることが減り、気分を害されることがなくなっていく。かなり大変な状況、無茶苦茶な状況でも、感情的にならず冷静に対処できるようになる。

・メモ書きをすると、それまで持っていた引け目、劣等感などが確実に減っていくので、腹が立つ状況そのものが急速に無くなっていく。腹が立つのは、多くの場合相手が何か悪いこと、こちらにとって嫌なことをするからではあるが、こちらがそれを受け流せない状況でもあるからなのだ。メモ書きはそれを大幅に改善する。

・メモを書くと、急成長できる。

・メモを書くと、頭の整理ができるようになる。頭の整理ができるというのは、今何が大切か、大切でないか、今何をすべきか、しなくても良いのか、常に明確にわかっているということだ。色々な問題が同時に起きても、慌てず騒がず、必要な情報を収集し、重要・深刻なものから順次解決していくことができる。

・そうすれば、どんどん成果が出る。やればやるだけ前に進む。結果として自信がつき、ポジティブになり、何かあっても容易に感情を乱されない。以前であれば腹が立つような状況でも、相手の言動の背景がわかるようになるので、我慢するのではなく、自然体でいられるようになる。

・自然体というのは、自分に自信を持ち、かつ謙虚な状況のことだ。肩肘を張らない。人を見下したりしない。相手の立場が上だからといって過度に緊張したり萎縮したりもしない。

・直情的にカッとすることも無闇に感情的になることもなく、常に平常心でいられる。といって、熱い思いがないわけでは決してない。むしろ、目的意識が強く、目指すところも高いので、熱意がみなぎった状態でもある。

・メモ書きにより自然体を維持しつつ、最善手を打っていると、そうでない人たちとはっきり差がついてくる。

・メモを書くと、自分でも驚くほど一層の成長を遂げる。頭が常に整理されているので、感情に流されることが減る。全体像が見えるので、今何をやるべきか、次は何に対して準備しておくべきかがはっきりと見え、仕事のスケールが大きくなっていく。

<タイトルの例>
どうすれば仕事のスピードを上げられるか?
来週の会議に向けた準備。
自分の強みは何か?どうやって強化するか?
自分は本当は何がしたいのか?
自分が本当に得意なことは何か?
本を読んだ後、どうやって役立たせるか?
朝1時間早起きをするには?
風邪をひかないようにするには?
どうやって妻とのコミュニケーションをスムーズにするか?

・頭に浮かぶ言葉そのものをタイトルにする。難しく考えてはいけない。人に見せるものでもないので、頭に浮かんだフレーズをそのままA4用紙の左上にさっと書いてしまう。

・タイトルは、疑問形の方が書きやすい。

・似たようなタイトルでも、何度でも書く。

・どうせ1分で書き終えることなので、前に書いたものを見ずに、空で新たに書き下ろす方がよほど効率的。

・頭に浮かんだことを言語化し、手で文字を書き、目で確認し、書きながら推敲する、という毎回のプロセスが非常によい整理になっていた。

・メモのタイトルを貯めておく。

・メモは、タイトル、4〜6行の本文(各行20〜30字)、日付の全てを1分以内に書く。頭に浮かぶまま、余計なことを考えずに書く。感じたまま書く。難しいことは何も考えない。構成も考えない。言葉も選ばず、ふと浮かんだままだ。

・各行は、短すぎると具体性が不足し、頭の中のもやもやを言語化する練習にならないので、20字〜30字で書くことをお勧めしている。

・6行までという理由は、頭の中を常に整理しておくため。ダラダラと書き続けると、レベルの違うこともどんどん書いていってしまう。それ以上書きたい時は、きっとどのポイントかのサブポイントのはず。

・構造的に整理して考えることが苦手というのは、何が重要で何が重要でないか普段からあまり考えていない、優先順位をあまり考えていない、ということになる。

・書いた4~6行の構造・順番は全く気にしない。起承転結とか、帰納法、演繹法とか考えると頭の回転が急に遅くなってしまう。

・人間の能力は、本来相当なものだ。「何かしないといけない、何かのルールに従わないといけない、格好つけないといけない」と思うと、途端に働かなくなってしまう。賢く振る舞おうとするからブレーキがかかる。

・私がお勧めするメモ書きは、「格好つけなくていいんだよ、頭に浮かんだまま吐き出せばいいんだよ」というメッセージを毎日10回以上自分に言い聞かせ続ける効果があるのかもしれない。

・メモのフォーマットは必ず守る。この「メモ書き」は、私自身が他のやり方を多数試し、今のやり方に落ち着いてから何万ページ以上も書き、工夫してかなり完成度の高い書き方になっている。

・人に見せるものではないので、タイトルでも本文でも、嫌いな人の名前もぼかさずそのまま書く。全て具体的に書けば書くほど、焦点がぶれずに書ける。遠慮は禁物だ。ストレートに書くことで、ゴミを部屋の外に掃き出すようにスッキリする。心の中を整理整頓し、自分が何を悩んでいるのかはっきり見すえることで、悩みも大幅に減る。

・A4用紙に1件1ページで、しかも1分でその嫌なことを書き出していくと、そのたびに消しゴムで本当に消していくように、心の傷が少しずつ改善していく。心の悩み・痛みが減っていく。心の中の汚泥が外に出ていく感じだ。

・考えてはいけないと思いつつどうしても考えてしまうことに対し、逆にはっきりと嫌な相手の名前も含めて目の前の紙に書きつけることで、不思議なほど自分の気持ちがおさまっていく。友達に3時間愚痴を言うよりも、この1分の方が効果がある。

・書かなければ10回でも繰り返していた相手の嫌な点、絶対許せない点を紙の上で確定させ、前に進むことができる。

・メモを書く際は、A4用紙の裏紙がベストだ。

・どうしても適切な裏紙がなければ、オフィス用品の通販等で売っている、500枚で300〜400円ほどのコピー用紙を使えば、1ページ1円未満、1日10円未満で済む。

・成長意欲のある方には、毎日30分程度、ネットでの情報収集に時間をかけることをお勧めしている。具体的には、毎日、Twitter、Facebookのタイムラインやメールマガジン、Gunosyやcrowsnestなどのキュレーションツールから流れる記事をざっと読むと良い。

・私の場合、良い記事に出会うとそれを書いたブロガー・記者の記事には全部目を通す。

・思いついたその瞬間に書き留めることで頭の働きを良くし、発想をさらに刺激する。

・実際書き続けられる人は残念ながら少数だ。

・毎日10ページ、10分間だけメモを書くだけで、誰でも3週間もしないうちにかなりの手応えと自身の成長を感じられる。ミーティングで皆が話している内容が以前よりずっと理解しやすくなったとか、自分の発言をちゃんと聞いてもらえるようになったとか、焦らず人の話を最後まで聞くことができるようになったとか、なぜか前より自信が出てきた、などだ。

・普段色々なことを考えているとはいえ、堂々巡りや繰り返し、逡巡が大半なのだ。それを1件1ページで書き出していくと、その件については一応けりがつくので、悩むべき、考えるべき課題が急激に減っていくのだろう。頭の中に残しているので、毎日多くのことを考えている、思いついていると思ってしまうが、多分、実際は違う。毎日毎日、新規で10の悩みや課題を思いつくのはただ事ではないのだ。

・逆に言えば、メモに書かないと、同じことばかりをああでもない、こうでもないと考え続けるので、悩みが減らないし、頭を無駄に使っている、時間を大変に浪費しているという証明でもある。

・初めての時でも、数ページ書いてもらうと、驚くほどスピードアップしてくる。どんどん頭が回り出すのだ。5ページ、7ページと書くうちに、頭の中身をそれほど苦労せずに書き出せるようになる。

・最初のうちは、ぜひ時計の秒針を見ながら、1分で必ず書き終えてもらいたい。

・1ページ1分で書くことができるようになった後も、「あ、もう少し書き足したいな」ということが時折ある。その場合は、スピード感は維持したまま、15秒程度延長して書き足したいことを追加するのがよい。素早く書くことに慣れていくと、この延長は非常に貴重な15秒となる。超高速で頭が動いている15秒だ。

・メモは、書いた直後に2〜3秒推敲する。書き終えた瞬間に前の行を見る程度でもよい。追加したい言葉があれば、躊躇せず吹き出しで入れる。

・大事なのは、メモは思いついたその場ですぐに書くことだ。夜寝る前にまとめて10ページではなく、原則、思いついたその瞬間だ。何かが気になったその時、忘れる前に書き留める。このやり方が一番新鮮な気持ちで書くことができる。

・アイデアとは一期一会だ。頭の中に浮かぶアイデア、懸念との出会いは二度とないかもしれないので、その場ですぐ書き留めるということだ。書き留めるともう消えていかない。定着し、自分のものになる。自分が書いたものながら、後で振り返ると良いことを書いたなと感心することがきっと何度も出てくるだろう。

・私の場合、飛行機や新幹線の中など、他にすることがあまりない状況で思いつくことも多い。古来、三うえ(馬上、枕上、厠上)は文章を書く時、アイデアを練る時として良いと言われているが、まさにその通りなのだ。

・メモを書き続けると、驚くほど頭がすっきりする。ストレスがなくなっていく。

・企画書を書くのに結構な時間とエネルギーを取られるのは、整理して書かないといけないと思い、体系化しようとし、それらがストレスとなって頭の働きが鈍るからだ。普通の人は膨大な時間を無駄にする。それがA4用紙へのメモ書きであれば、何も考えず、何も悩まず、ただ吐き出していくだけだ。

・ノートはあまりお勧めしていない。思いついたこと、気になることを書き続けると、すぐ1冊が終わってしまう。何より問題は、思いついたことを書くのはいいが、整理が全くできないことだ。時系列に書きためていくだけなので、似たようなことを数日か数週間おいて書いた場合、整理のしようがない。

・頭の中の発想の広がりやもやもや感は、つらつらと日記に書くよりも、1件1ページでA4用紙に書き出していく方が整理しやすい。記録というよりは、ダイナミックに頭の外に吐き出していく感じ、書き出していく感じだ。

・各ページをきれいに切り離すことのできるカットオフノートも、あまりお勧めしていない。切り離すのも結構時間がかかる。その時間があったらさらに数ページメモを書く方がよほど良い。それに毎日大量に書くと、あっという間に何冊も必要になり、かなり高額になる。

・思いついた時に素早くメモを書く、さっと図を描く、並べて整理する、フォルダに分けて他のA4の資料などと整理するといったことを実現するには、パソコンでは難しい。そもそも、パソコンをまず立ち上げないと書くことができない。その間に頭に浮かんだ内容が飛んでしまう。

パ・ソコンの場合は文字で書けることしか考えなくなる点も問題だ。図を描く方がはるかに手っ取り早いことも、全て文字表現だけで済まそうとすることになる。文字で表現しづらいことは自然に端折ってしまう。

・どんどん紙に書きなぐることで生まれる爽快感、書いた紙を並べることでの新しい発見、書いたメモを7~10のフォルダに投げ込むことでの素早い整理と安心感、などが紙のメリットであり、今のところ他の方法では代えがたい。

・メモ書きに最適なペンは、パイロットの直液式水性ボールペン「Vコーン」。筆圧ゼロで滑るように書ける。

・毎日10ページ以上のメモを疲れずに書き続けるためには、筆記具の選択も重要だと考えている。

・私はオフィスと自宅のデスクには、A4用紙の裏紙を100枚ほど常に用意している。どこでも思いついた時に瞬時に書けることが大切だ。アタッシュケースの中にも20枚ほど入れている。海外出張の時は60〜70枚は念のために持っていく。

・海外出張では刺激が非常に多いので、メモもたくさん書きたくなる。せっかくの気づきを一つ残らず書き留めるようにしている。

・メモ専用のクリップボードも便利。

・電車の中など、A4用紙を広げられないところでもどうしても書きたくなることがある。そのためにはA4用紙を三つ折りにして、一番上にくる部分に普通にメモを書く。

・こうまでして書く理由は、思いついたその瞬間に書き留めないと消えてしまうから。

・ミーティングでうまく発言するには?(タイトルの例)

・何か頭に浮かんだら、すぐメモを書くと良い。頭がもやもやしている時もうまく書こうとせず、ただ吐き出してほしい。どうしても浮かばない時は、右記(下画像)の400タイトルでメモを書くと良い。これを経れば、間違いなく頭の中が整理され、心もあまり乱れない人になれる。

・メモによっては、1ページに書いた4〜6行それぞれをタイトルとして、さらに4〜6ページのメモを書くと考えが非常に深まり、整理される。内容が一段も二段も濃くなって、いっそうすっきりする。

・紙はたくさん使うが、書くたびに頭が整理されていくのでお勧めだ。驚くほど頭が速く回転し出すことに気づかれるだろう。深掘りしている間に新しいことを次々に思いついていく。こうなると、紙を無駄にしている気持ちはどこかに飛んでいく。色々なことが見え、新たな発見が相次ぎ、何もかも楽しくなっていく。

・一つのタイトル(=テーマ)を深掘りすると、あっという間に難しい問題が小分けにされ、分解して整理でき、同時に全体像が頭に入るという大きなメリットが期待できる。

・深堀りに加え、1つの重要テーマに対しては、1ページだけではなく色々な角度から多くのページを書くと、視野が大きく広がるのでお勧めしている。頭がよりよく整理され、感情的な内容もかなり冷静になって判断できるようになる。

・人はみな自分の観点で善悪、好き嫌いを判断している。それが偏っているかどうかは、当然ながら本人にはあまりわからない。その結果、人とぶつかったり、他人の行動が理解できなかったりして、大きなストレスの原因になる。

・多面的にメモを書くと、相手の立場で物を考えることができるので、相手のことが理解できるようになる。すると当然、腹が立たなくなる。

・頭の中がもやもやして、うまく言えないがために気分が悪い時も、そのもやもやを全部吐き出し、正体が見えると、気分がずいぶん変わってくる。正体がわからないと、悪い方へ悪い方へ考えがちだ。ところが正体がわかることで、前向きに考えることができるようになる。1ページ1分で書けるようになっていると、ここまでせいぜい15〜20分しかかからない。

・「ロジックツリー」と「深堀りをしたメモ」は実は同じものだ。メモであれば、1ページ1分でただ書いていれば自然に構造が見えてくる。

・メモ書きに慣れてくると、企画書の骨子が30分程でできる。さらさらっと書けて、ストレスもなく企画書のイメージができあがってしまう。いったん企画書の骨子、イメージができると、肉付けは比較的容易だ。難物だった企画書、プラン作りが従来に比べてはるかに容易にできる。

・まずは、こんなアイデアはどうか、あんなアイデアはどうかと頭に浮かぶアイデアを1件1ページで片っ端から書いていく。タイトルを書き、考えが閃いたら4〜6行書いても良いし、タイトルだけを書いておいても良い。

・内容は思いつくままで良い。こうやって書き出していくと、アイデアは自然にいくらでも生まれてくるようになる。

・ポイントは「考えずに」書くことだ。感じるまま、頭に浮かぶまま、瞬時に書き留めていく。構造や分かりやすさ、起承転結など一切気にする必要がない。そういった制約がないと、誰でも発想が何倍も豊かになる。人間が本来持つ想像力、発想力、創造力が活かされる。

・「考えずに」というのは、難しく考えず、頭に浮かぶことをそのまますぐ書き留める、ということだ。人は考えよう、考えようとするあまりに、素早く、深く考えることができにくくなっている。かっこいいことを言おうとして、実際は固まってしまう。それを徹底的に取り除く。浮かんだことを次から次に、メモに吐き出していく。

・意識してやっていると、ある種のトランス状態というか、必ず次々にアイデアが湧く状況になる。

・脈絡とか、ストーリーとか、論理的とか一切気にしない。気にしなくても、後からいくらでもついてくる。それが最大のポイントだ。構成を考えたり、構造化しようとする努力で頭を鈍らせることを全力で避けるのだ。

・企画書の骨子(メモ書き)ができて初めて、パワーポイント(もしくはキーノート)の出番だ。

・企画書をいったん仕上げたら、少なくとも1日はそのまま放置する。できれば数日あるとなおよい。その間、企画書は一応仕上がっているので、いったん別のことをする。そうすると、プレッシャーを感じず、ある程度の客観視ができるようになる。その時に「ここはちょっと分かりづらいかな?」「あ、こうすればもっとよくなる」という気付きがいくつも生まれる。それをちょこちょこと修正する。そしてまた放置する。この熟成期間を置くことで、企画書の質が驚くほどレベルアップする。

・マッキンゼーでのやり方はもっとアグレッシブで、クライアントへのプレゼンの1週間くらい前までに徹底的に考え抜き、プロジェクト報告書・提案書を完成させる。そこで一度壊して再構成する、というようなこともやっている。

・メモ書きを1か月、300ページ続けると、ほとんど別人といっていいほど課題整理のスキルが上がる。相手の話もよく聞けるようになる。聞いた話をうまく整理してあげることができるようになる。

・頭のもやもやをメモに書き出すだけでも十分効果は大きいが、うまくカテゴリーを分けて整理すると、さらに頭の整理が進む。一番効果的なのは、クリアフォルダを使う方法だ。具体的には、5〜10個程度のカテゴリーに分け、A4のクリアフォルダを用意し、ラベルを貼って整理する。

・毎日わずかの時間でどうやって効果的に情報収集をし、日々知見を増やし、それを使っていくかが、数ヶ月単位で見た時の成長に大きく影響する。

・何かを分類する時、「その他」を作っておくとあまり迷わずにすむ。

・クリアフォルダのラベルには、3Mのカバーアップテープ(貼ってはがせる修正テープ・カッターつき)がお勧め。

・クリアフォルダは、机の左端に積んでいる。毎晩、寝る前にその日書いた10ページのメモをどれかのフォルダに投げ込むだけで、一瞬のうちに整理できる。

・フォルダが厚くなったら、通し番号をつけ、古いフォルダは別に保存する。机の左端に積むものは、せいぜい5〜7センチ程度。一部のフォルダを持ち歩く場合もあるが、大半は机の上に置きっ放しとなる。

・気をつけるべきは、他人に見られないようにすること。メモには不満も問題意識も全て吐き出している。人の名前も入っている。

・メモは決して捨てず、取っておく方がよい。自分の成長の証となる。メモの存在そのものが思考の積み重ねの証であり、自信の源になる。私はダンボールに入れて、過去のメモをすべて保存している。

・似たようなタイトルを思いついたら、その時また書く。躊躇なくまた書く。わずか1分だし頭の中身を吐き出す方が良い。

・以前どういうことを書いたか見直すのではなく、新たに書き直す方が良い。タイトルや本文が若干異なるが、全く構わない。そもそも比較するわけではないので、少しくらい違っていても全然問題ない。気になるテーマ、タイトルに関し、何度も繰り返して書く、ということが実は何より重要な練習になる。そのたびに、もやもやが言語化され、表現され、目で確認することでさらに言語化が深められる。

・気になっているテーマ、トピックだと、数週間~数か月にわたって5〜10回以上書くこともあるが、そのくらい書くと内容を完全に把握し、非常にすっきりとした状況になる。頭の中が完全に整理された形だ。

・いちいち見直さなくても空で書き続けることで、頭は急激に良くなっていく。回転するようになる。

・ただし、自分の成長過程を確認するためにも、3か月に一度さっと見ると良い。新しいメモがフォルダの上になっているので、フォルダごとに逆順に揃え、一番古いものを上にして、日付順に並べ替える。数分でできる。その上で数分で流し読みするだけ、それで十分だ。

・毎日10ページ、3ヶ月書くと、900ページ、それを一覧するとものすごい達成感がある。「え?あの頃こんなこと考えてた。こんなことで悩んでたんだ」という発見も多数あるはずだ。

・3か月後、6か月後にこうやって読み返すことで、何に悩んでいたのか、どうしようと決めたのか、その後どう展開していったのか全てわかる。自分の軌跡を辿ることができる。それ以降はほぼ不要だ。

・大多数の人は、まとめようとすると頭が働かなくなる。まとめようとせず、考えようともせず、感じたままをメモに吐き出すことで、いくらでも思考が進む。

・その究極が「ゼロ秒思考」だ。考えるということに対して、苦手意識がなくなり、現状把握も課題整理も実際の行動に関しても、スッと浮かぶようになる。毎日10ページのメモ書きを数か月続けていくと、この「ゼロ秒思考」の感覚がだんだんと分かってもらえるようになると思う。

本書の内容を実践してみたら

例えば今までは、

「書き言葉の場合は、比較的スラスラと、かつロジカルにコミュニケーションを取ることができるが、口頭でのコミュニケーションではそれが弱い」

ということを感じていた。

それが、本書の「メモ書き」を実行することによって、口頭でのコミュニケーションでも、伝えたいことを齟齬なく、過不足なく、スムーズにやり取りできるようになった感覚がある。

当然、それに付随するように(もしくはその結果として)、考えも深まり、整理されていった。

また、企画書や書類の作成も、以前よりも大幅に短時間で、かつ高クオリティのものが簡単にできるようになった。

ほぼゼロコストで、この境地に達することができるのだ。

これはやらない手はない。

書籍代などは一瞬で回収できるコストパフォーマンス。

良い本に巡り会えました。


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