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子どもに伝えたい「お金の教育」:『夢と金/西野亮廣』

欠けていた「お金の教育」

日本で生まれ育ったことは、とても恵まれていたし、それ自体が幸運なことだったと、個人的には思っている。
ただ、1つだけ残念だったと考えていることがある。
それは「お金の教育」に関してだ。

子どもが影響を受ける相手(大人)は、家族や学校の先生がほとんど全てだろう。
両親や祖父母世代は、「預金に置いておけば年利で7〜8%も付く時代」を過ごしてきたので貯金信仰が根強いし、学校の先生は、そもそも実体経済からは遠い世界にいる存在だ。
(もちろん、それが良い悪いの話ではない)

この環境で多感な10数年を過ごすことで、構造的に、マネーリテラシーの低い人間が生まれやすくなってしまうのではないか。
少なくとも自分はそうなってしまった、と感じている。

本書で個人的に最も印象深かったのは、2022年4月に発生した、知床観光船の事故に対する次の一節だ。

「彼ら(知床の観光船業者)に足りなかったのは"クラウドファンディングの知識"」だ。

「事業者としてのモラル」や、「法令・安全の遵守」ではない。
「クラウドファンディングの知識」だという。
こんな視点があったとは。個人的には目から鱗だった。
しかし、読み進めていくと、それが非常に説得力を持つ話だということがわかる。
「知識不足が、人命に関わることもある」のだ。

自分を含め多くの日本人が、「お金の教育」に関して不遇な時代を過ごしたことは残念ながら事実のようだが、それでもまだ希望はある。
今からでも、いくらでも学ぶことができるからだ。
自分が好きな言葉だが、「今日が人生で一番若い日」なのだ。

欲を言えば、この本にはもっと早く出会いたかったのが本音だが、自分の子どもにもいつか贈りたいと思っている。

抜き書きメモ

(※個人的なメモのため、一字一句が本文と同一ではありません)

世の中にヒューマンエラーはない。あるのはシステムエラーだけだ。「人に失敗をさせるシステム」にこそ問題がある。

メディアは、「整備不良」や「無理な運行」を、事故の「原因」としたが、見誤るな。それらは「過程」だ。「原因」とは、「なぜ、整備不良のまま海に出たのか?」「なぜ、無理な運行を続けたのか?」といった質問の解だ。

彼ら(知床の観光船業者)に足りなかったのは「クラウドファンディングの知識」だ。

知らないものを否定するな。中身を確認せず批判を繰り返せば、必ずシッペ返しがくる。それが人の命に関わっている場合もある。

僕らが飛行機のエコノミークラスに座る時は、「約5万円」をVIP席のお客さんが負担してくれていた、というわけだ。

この計算式は覚えておいた方がいい。
[夢]=[認知度]−[普及度]
「皆が知っているけど、誰も持っていない」というものが「夢」だ。
ラグジュアリーが提供しているものの正体はコレ。

ラグジュアリーを作るには、「認知度」−「普及度」の値を大きくする必要がある。

「普及度」が上がれば上がるほど、ラグジュアリーからは遠ざかる。ラグジュアリーを作りたいのであれば、上げなきゃいけないのは「認知度」だ。「たくさんの人が知っているのに、商品は5個しかない」に向かった方がいい。言い方を変えると、商品を5個しか用意していないのに、たくさんの人に宣伝した方がいい。

ラグジュアリーブランドは、「買えない人」を増やすために広告費を払っている。

「機能」ではなく「意味」を売れ。

まず、「人間の労働力に頼ると、生み出せるお金に限界がある」という基本は頭に叩き込んでおいた方がいい。

キミが今の収入に満足していないのならば、その原因は二つ。「キミの提供している商品・サービスの価値が低い」か「キミの身体しか働かせていない」のいずれかだ。

家を建てる時に、「どうすれば家が稼いでくれるかなぁ?」と考える人はほとんどいない。「お金を稼ぐのは人間」という固定観念にとらわれて、「床や壁を働かせるにはどうすれば?」と議論を始める人はほとんどいない。

この家(川西市)を建てる時に最初に決めたのは、「建築費を家に稼がせる」だった。そこで、仕事柄、家を空けることが多いので、空いている日を「レンタルスペース」として貸し出すことにしてみた。 

たくさん売ることができない現代を生きる僕らの一つの生存戦略として、「自分以外の何かに働かせる」「たくさん売らなくてもいいビジネスモデルを構築する」といった「脱・労働集約型」「脱・完売思考」は頭に入れておいた方がいい。

大切なのは「自分の資源(お金と時間)をどのように分配するか?」だ。キミの人生は、この「資源の分配」に尽きる。「資源の分配」を制した者が勝ち、「資源の分配」を考えなかった者が負ける。

キミが売らなきゃいけないのは「機能」じゃない。「意味」だ。

「人検索」は相場に抗うことができる数少ない打ち手の一つだ。これをモノにしない限り、キミは薄利多売合戦から抜け出せない。

顧客は「機能」を買い、ファンは「意味」を買う。

今、キミに求められているのは「顧客のファン化」。

「応援シロ」を作らなければファンは生まれない。

応援シロ=目的地−現在地

キミがやらなきゃいけないことは、キミの「目的地」と「現在地」を晒し続けることだ。キミは「自分がどこに向かっていて、今、どれぐらい足りていないのか?」を周囲に共有し続けなきゃいけない。

人類誕生から今に至るまで、不便のないところに、コミュニケーションは生まれていない。そして、機能で差別化を図れなくなった現代においては、その「コミュニケーション」こそが最大の付加価値になっている。

いたずらに「不便」を取り除くな。「機能」しか売れなくなる。キミの商品の中に「不便」を戦略的にデザインするんだ。

AI(MidJourney)がわずか数秒で描き上げる「コンセプトアート」のクオリティーは、人間の技を遥かに凌駕し、コンセプトアートを描く絵師の多くは仕事を失った。

後から取り返せると思うな。1日でも早く学べ。人生の努力量を「100」とするなら、その「100」は均等に振り分けるのではなく、人生の前半戦に努力を集中投下し、初戦をとれ。近くに子どもがいるなら、このことを教えてあげて欲しい。

「お金」が尽きると「夢」は尽きる。これが真実だ。

編集後記

今日でGWも最終日。
初めて秋田に行ったり(一人旅)、実家に帰省したりと、充実した時間を過ごすことができた。
最終日の本日はあいにくの天気予報となっているが、読書や家の片付けをして、ゆっくり過ごそうと考えている。


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