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文芸選評「茸」 猿丸先生の俳句鑑賞①

11/5の文芸選評は猿丸先生が選者でした。
自由に詠むの先生の言葉を念頭に兼題「茸」と向き合いました。
ラジオの中で最近の先生の俳句が紹介されていました。

墓洗へば雨降らすとは君らしき
榮猿丸

季語は「墓洗ふ」 盆の行事の一つとして秋の季語となっています。
お墓参りはしんみりしていまい、お墓を洗う事もやはり故人を偲ぶイメージがありますので、比重は悲しさへ傾きます。
しかしこの句はそれだけでは終わらない!
そこも先生の凄いところ!リスペクト!
君らしきの君に私は父の姿が浮かびました。
面白いことが好きだった父。
ビートルズも長渕剛もギターも洋画も寄席も全て父が教えてくれた私の糧になっているもの。そんな父が天国から雨を降らす。
手伝うつもりなのかうれし涙の雨か、いやいや父はいたずらに雨を降らしているのだろう。墓を洗った後、きれいなタオルで拭けば雨が降ってきたのだから。
父の背中を流すように墓を拭く。
心が動く。雨の柔らかさや匂いがしてくる。故人を偲ぶときこんな気持ちになれる。この句の素晴らしさは私の拙い言葉ではまだ伝えきれない。ちょっと悔しい。

中七までの「墓洗へば雨降らすとは」まではセリフ調で現代っぽく。下五「君らしき」が素敵です。「らしい」ではなく「らしき」の響きがとても好きです。
古語の美しさで今を詠む。
私の仲間、風の2019年組の句友らみんなで
「いいよね~」と吐息混じりのハートな溜息をついてしまったのはいうまでもありません。
先生のしびれる俳句に少しでも近づけるよう日々学びたい。 
文芸選評「茸」は公正に選を頂くことができました。他の方の先生の選評も大変勉強になり、私、家事をしながらほぼエンドレスで聴いています(笑)
先生の良きところを全部盗むつもりで先生について行きたい。

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