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ゼロから始める伊賀の米づくり〜新米兼業農家の記録〜

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2020年1月、三重県伊賀市の父の実家の田を継ぐことになった男の米作り1年目からの記録です。京都⇄伊賀の二拠点生活を送っている筆者が、家族の思い、地域の信頼に応えるべく、自然のま…
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#農業

ゼロから始める伊賀の米づくり56:稲刈り前。田んぼに侵入する野草たちとの戦い

2020年1月に父から実家の米作りを継ぎ、5年目のお盆過ぎ。いよいよ、収穫の時期が近づいてきました。 田んぼの稲穂が黄色く染まり始めています。 関東地方に影響を及ぼした台風の影響もあってか、雲が次々と形を変えながら流れていく様子も伺えます。 稲穂の様子がどうなっているのか近くまで降りて見に行ってみると、立派な穂がついている様子も見えました。 稲刈りの予定は8月末〜9月初旬ですが、ここからもう少し葉も黄色く染まり、まさしく黄金色と言えるような色合いとなる予定です。 と

ゼロから始める伊賀の米づくり54:これまでの経験や積み重ねを活かし、5年目の田植えに臨む

2020年1月、父から実家の米作りを継いで5年目の田植えシーズンがやってきました。 家族経営の兼業米農家という形式上、口伝や暗黙知で伝えられてきた業務フローやプロセス。それらをきちんと見える化し、共有知として遺していこうと始めた記録も、今回で54回目です。 前回は、田んぼに水を引き込み、代掻き作業を行った際の気づきについてまとめました。 今回は、田植え作業の際に気づいたことについてまとめたいと思います。 昨年の教訓から今回に活かしたこと苗の植付本数の設定 田植えの際

ゼロから始める伊賀の米づくり53:地域の友人たちとの協力で進めた代掻き作業まで

2020年1月、父から実家の米作りを継いで5年目の田植えシーズンがやってきました。 家族経営の兼業米農家という形式上、口伝や暗黙知で伝えられてきた業務フローやプロセス。それらをきちんと見える化し、共有知として遺していこうと始めた記録も、今回で53回目です。 今回は、田んぼへの水取りから代掻き時の気づきについてまとめようと思います。 田んぼに水を引く、水取りまで春になると田んぼにやってくる動物たちが持ち込んだり、畦道から侵入した草花が一気に成長してくるため、それらを除くた

ゼロから始める伊賀の米づくり50:秋起こしの季節

9月上旬に稲刈りを終えた我が家の田んぼも、秋起こしの季節がやってきました。トラクターで田んぼへ入り、生長しつつある蘖(ひこばえ)を鋤き込み、地中へと還していく作業です。 稲刈りを行ったばかりの田んぼはコンバインという収穫機械を入れるため、そして稲の水分量を調節するために落水し、地面を乾燥させているためパサパサになった稲藁が散らばっているような状態です。 それが、収穫から1ヶ月も経つと再び青々としてきます。 これは、収穫時に地面に根を張っていた稲の株が再び栄養を地面から取

ゼロから始める伊賀の米づくり48:豊作の予感!?出穂を確認!

私は現在、大阪府と三重県で二拠点生活を営みつつ、実家の田んぼで米づくりをしている兼業農家として暮らしています。 3年前、父の他界をきっかけに家業として継続していた実家の米作りを継ぐこととなり、文字通りゼロから米づくりについて学び、実践することとなりました。 幼い頃から家の手伝いをしていた……ということはあったものの、なんとなく流れがわかる程度で、詳細は作業工程は把握しておらず、父が亡き後は父の友人や仕事仲間の皆さんに教えてもらう形で、さながらスパルタOJTで身につけること

ゼロから始める伊賀の米づくり46:梅雨の晴れ間の溝切りライダー

父から継いで4年目の田植えを先月、無事に終えることができました。 父が健在の頃は父中心の取り組みであった我が家の兼業米農家としての取り組みですが、私の代に代替わりして以降は、母や弟などと情報共有を行い、役割の明確化と必要な準備・アクションをそれぞれが連携し、担当しながら行えるようになってきました。 そのような形で、毎年5月連休に田植えを終えた後に行うちょっとした作業として挙がるのが『溝切り』です。 溝切りとは?溝切りは例年、田んぼの『中干し』を行う6月中旬〜後半までに行

ゼロから始める伊賀の米づくり45:父から継いで4年目の田植えを終えて

3年前、父から継いで始めた実家の米づくりもいよいよ4年目の田植えの日になりました。 先日、代掻きを行なって土と水を馴染ませ、平らにした田んぼは以下のようになっています。 天気も申し分なく、早朝から準備に取り掛かり、田植えを実施することにしました。 田植えの当日の作業まずは、JAで育ててくれている苗を取りに向かいます。 JAの育苗センターでは大きなビニールハウスで苗を育てており、これらを受け取って田植えを行います。 農家の中には自前の苗を育てて田植えを行う家もあります

ゼロから始める伊賀の米づくり44:代掻きを行うトラクターの運転席から観えるもの

いよいよ田植えシーズンが始まり、前回は田んぼに水を引き始めるところまでのプロセスを追いました。 今回は、田んぼに水が入った後、水と土を耕しながら馴染ませる代掻きについてのまとめです。 水の入った田んぼにトラクターで入り、代掻きを行うことで凹凸の目立つ土は水平に均され、後の田植えを行いやすくなります。 また、土と水が耕され、砕かれて馴染むことにより田植えをした苗の根つきもよくする効果があります。 気持ちの良い天気に恵まれ、早速トラクターで田んぼへと乗り出したいと思います

ゼロから始める伊賀の米づくり43:田植え直前!田んぼに水を引くまでのプロセス

父の跡を継いで4年目の春。 前回は、春の田起こしを行って土を徐々に柔らかくしてきていましたが、今回はいよいよ田植え直前ということで、田んぼに水を引くまでのプロセスをまとめていきたいと思います。 まず、この地域では田んぼに水を引くまでに草刈りを行なっています。 春になり、気温が上がってくると雑草も繁り始め、田んぼの中も以下のように緑っぽくなってきます。 手入れの行き届いていない田んぼは不精の証…… おおよそそのような反応が地域の人々から返ってくるため、まずは畦道に繁茂し

ゼロから始める伊賀の米づくり42:春の田起こしと、土・自然・機械とのコミュニケーション

冬の農閑期の間に圃場の石拾いをしてから約2ヶ月。 3月に入り、いよいよ5月連休の田植えを見据えての田起こしの季節がやってきました。 稲の苗の根付きを良くするため、また、春になって繁茂してくる雑草を鋤き込んでいくため、トラクターで田んぼを耕す作業です。 今回は、トラクターの操作上で注意すべき点がいくつかあったため、それごとにまとめてみたいと思います。 泥の中をトラクターで走る際の注意点まずは、水路の水漏れが起こってしまっているこちらの田んぼです。 雲ひとつない快晴の天

4ヶ月の途中成果:「新しい百姓のあり方の実践を、この農閑期から始めます」宣言からの進展

🌳六反百姓・大森、農閑期に『令和の結(ゆい)』を始めます🌳と題した農閑期の暮らしと仕事づくりの実験を宣言して、4ヶ月が経ちました。 おかげさまで各方面からの反響や進展がありましたので、その経過報告と続報をお伝えできればと思います。(まとまらないなりに、ひとまず区切りとして出してみます) 『令和の結(ゆい)』を通して進展したことまず、私にとって季節の移り変わりと暮らし、仕事は文字通り一体化しているという前提がありました。実家の稲刈りが終われば農閑期に入ります。 寒さの厳し

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ゼロから始める伊賀の米づくり38:湿地化しつつある田んぼを秋起こし

9月初旬に収穫と出荷準備を終え、晩秋。 田んぼをトラクターで鋤き込む「秋起こし」を行うことにしました。 我が家の田んぼの一つは、U字溝および畦の劣化によって水が染み出してしまい、半ば湿地のようになっています。 早く塞いでカラッと土を乾燥させたいと思いながら、対策の時間を取れずに今日に至ってしまっています。 とはいえ、稲刈り後に再び再生しつつある蘖(ひこばえ)や稲藁をトラクターで鋤き込んでしまうことで、土に還さなければ蘖は地中の栄養を吸い出してしまいます。 トラクター

六反百姓、農閑期に『令和の結(ゆい)』を始めます🌾

おかげさまで、今年の稲刈りも無事に終えることができました。ここから来シーズンの春先にかけては農閑期となります。 そこでこの度、私・大森は2022年の農閑期より『令和の結(ゆい)』を始めることにしました! 『令和の結(ゆい)』とは何か?

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ゼロから始める伊賀の米づくり35:台風が迫る中、3年目の収穫🌾

2022年9月。今年の稲刈りは、家族3人で取り組むこととなりました。 父から継いだ田んぼでの稲刈りも、これで3回目。 少しは慣れてきたような気がしますが、毎年新たな課題やチャレンジに取り組むことになり、結果として毎年新人のような気持ちで臨んでいます。 今年の稲刈りの、当初の懸念点今年の収穫は、一筋縄ではいかない難しい条件がいくつも重なりました。 まずは、お隣の田んぼから(おそらく)除草剤が飛んできて、我が家の田んぼの一角を枯らしてしまったこと。(詳細と経緯は以下に) こ