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大学時代に不登校になったこと

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自身の大学時代に不登校になった経験とそのような境遇にいる方、周りにいる方へのコメントです
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大学時代に不登校になったこと①~導入編~

1.はじめに大学院のころ、私は精神的なバランスに異常をきたし、大学院にほとんど行くことがなかった。心療内科を受診したが、はっきりとした病名を言い渡された訳ではないため、うつ病だとか、適応障害だとかの精神疾患が発現する手前で踏みとどまったのだろう。 しかし修士の2年間のうち1年以上で大学に登校することができず、向精神薬と睡眠導入剤を服用しながら、ちょっとだけ登校し、「留年しても改善の見込みがないから」という理由で修士課程を修了した。 結局、社会人となり環境が変わると嘘のよう

大学時代に不登校になったこと②~要因編~

4.なぜ不登校になったか私の不登校の原因ははっきりしている。成績・性格・生活リズムの3つである。私は不登校の3Sと呼んでいる。 1) 成績が悪かった 最も大きな要因だ。私は物性化学とか量子化学とかそういう分野の研究室にいたが、自分の研究室が何をやっているかさっぱりわからなかった。もっと言うと量子化学の研究室に在籍していたにもかかわらず、量子力学、量子化学の基礎が全く受け入れられなかった。 化学とは電子の動きを理解することに尽きる。そして電子は量子力学に支配されていて、よ

大学時代に不登校になったこと③~不登校編~

5.不登校への突入不登校というのは1年間と期間を決めて休みを満喫しているわけではない。嘘だと思うだろうが、引きこもり当時は毎日大学に行こうと思っていた。 夜寝るときは「朝起きたら大学に行こう」と、朝起きたら「ご飯を食べたら行こう」と、ご飯を食べたら「お昼になったら行こう」と、お昼になったら「2時になったら」、2時になったら「4時までには」、4時になったら「明日こそは行こう」。毎日こう思っていた。 だから結果として1年程度の不登校期間があったのだが、1年間の自由な時間があっ

大学時代に不登校になったこと④~回復期~

6.回復期さらには精神的な不調が身体への不調にまで及んできた。 あまりにずっと家で座椅子に座っていたため腰を痛めてしまっていた。 久しぶりに家から電車に乗ろうとして、駅まで走って電車に乗ったところ、電車の中で気持ちが悪くなり、次の駅で倒れて救急車で運ばれてしまった。 どちらも運動不足だと医師から指摘された。 自分がかなりまずい状況になってしまっているとはひしひしと感じていた。認めるのに時間がかかったが、明らかに自分は今、精神的におかしな状況にある。大学の保健センターに相

大学時代に不登校になったこと⑤~再発~

7.再発と卒業これで、一件落着…となるはずだったのだが、秋ごろ、また突然研究室に足を運べなくなってしまった。心療内科への通院も行けなくなってしまった。 ここまで何とか回復して、乗り越えられそうだったと思いきやのタイミングでまた研究室に行けなくなったことは、一回目以上につらかった。 状況的にも非常に良くなかった。このタイミングで再発したということは、留年がほぼ確定だ。就職先も決まっていたが、もし留年となれば就職がどうなるかは怪しい。 私はもう大学院を辞めることを考えていた

大学時代に不登校になったこと⑥~就職と反省~

8.就職後就職後は引きこもりになることもなく、今までのところ通常の生活を送ることができている。卒業直前に大学卒業時に保健センターで多めに向精神薬と睡眠導入剤を処方してもらったが、就職後にこれらを使うことはなかった。 全く危なげなく過ごせていたわけではない。就職後も半年のタイミングで少し危ないことがあった。しかし、この時は早い段階で周囲に相談することができたので、原因を対処することでほとんど影響なく仕事を進めることができた。 お守りとして持っていた薬を捨てたのは、就職して2

大学時代に不登校になったこと⑦ ~周りに不登校がいる人へ~

ここからは私の体験をもとに今、同じ状況にある人や周囲に同じ状況になっている人がいる人へのアドバイスである。 11.周囲はどうするべきか研究室の先生や指導的な先輩にあたる人の場合と、友人や同級生の場合とでできることは変わってくる。 〇あなたが指導的な立場である場合 もっとも好ましいことは、不登校の手前で本人の不調を察知して、悩んでいる本人をサポートして不登校を未然に防ぐことだ。これがかかるコストも、不登校による機会損失も最小にできる。 これは全くの個人的な考えだが、不登校

大学時代に不登校になったこと⑧~今、大学へ行けない人へ~

12.自分がそうなっている人はどうするべきかもしかしたら、今この記事を読んでいるあなた自身が不登校になっているかもしれない。もしそうであったとき、あなたは自分一人の力で現状を何とか解決しようとしていないだろうか? 残念ながらそれはとても難しいことだ。 なぜなら、あなたは今、精神的に不調に陥っている可能性が高い。そして、精神的に不調に陥っているとき、人は正常な判断を下すことができていないからだ。それをまず認識しなければならない。 あなたはきっと毎日、布団の中で「どうして大

大学時代に不登校になったこと⑨~さいごに~

最後に私が「過去の精神的な不調」に対する向き合い方と「大学生の不登校」に関する私見を示して終わりとする。 13.研究室と心の問題少し物事を俯瞰して、大学の研究室(ゼミ)という制度と心の問題について私見を述べる。 大学の保健センターの心療内科を受診して気づいたのは、自分と同じように研究室に行けなくなってしまった境遇の人が想像以上に多いということだ。保健センターに相談したくても心療内科の先生はいつも予約でいっぱいだった。あくまで体感だが、どの研究室にも1名くらいは不登校がいた