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動物性食品が唯一の摂取源?ビタミンB12のウソホント。【まるわかり編】

皆さんはビタミンB12という栄養素はご存知ですか?私は5年ほど前にベジタリアンのお友達と話していて初めてこの栄養素の存在を知りました。

菜食をすると、タンパク質やカルシウム、鉄分、DHA(オメガ3)、ビタミンDが足りなくなるとよく言われますが、この栄養素たちは菜食でもちゃんと摂れます。(栄養素によっては体内で作れます。)

でも、精製や加工のされていない食材が中心の菜食では十分に摂れない上に、体内でも作れない唯一の栄養素があります。そう、ビタミンB12です。

ビタミンB12不足の状態が続くと貧血になったり、神経が傷ついてしまったり、消化器官に不調が起きたり、絶対に避けたい症状のオンパレードになってしまいます。

ビタミンB12を含む食品として味噌などの大豆発酵食品、海苔、スピルリナ、クロレラ、きのこなどがよく挙げられますが、かなりの量を食べないと必要量を摂取できなかったり、体内でちゃんと利用されるタイプのビタミンB12なのかがはっきりしていない食品もあり、あまりおすすめはできません。

ビタミンB12は「体に貯蓄があって、菜食になっても初めの2-3年は気にしなくても大丈夫」ということをよく耳にしますが、人によって貯蓄が少ないこともあり、数カ月で貯蓄の底をつくこともあるので、菜食を始めたらすぐに意識したい栄養素の一つです。

今回のnoteでは、ビタミンB12は実際には何から摂ればいいのか、どれくらいとればいいのか、そしてサプリの選び方や、お子様にお勧めのビタミンB12摂取法なども盛り込みつつ、ビタミンB12について知っておきたいことすべてをお書きして参ります。

今回もしっかりと学んで、みなさんの健康的な体づくりに生かして行っていただければと思います。では、早速いきましょう。

今回の目次はこちら。


ビタミンB12とは

ビタミンB12はビタミンB群に含まれるビタミンの一つで、水に溶ける性質を持つ水溶性ビタミンに分類されます。

体内での主な役割は、

エネルギー代謝経路であるクエン酸回路でエネルギー生成のお手伝いをすること。

(エナジードリンクにビタミンB12が大量に入っているのはこれが理由です。)

他にも
・DNAと赤血球を作る
・神経繊維を守る髄鞘の維持のサポート
・ホモシステイン(血管内膜を傷つける物質)をメチオニンに戻すサポート

などの働きがあります。

ちょっとした用語解説
ビタミンB群:8つのビタミンBの総称。B1(チアミン)、 B2(リボフラビン )、 B3(ナイアシン)、パントテン酸、B6、ビオチン、B9(葉酸)、 B12がある。
水溶性ビタミン:水に溶けやすいビタミンのことで、ビタミンCとビタミンB群がこれに分類される。体に貯蓄されにくく、常に食事から摂らないと欠乏症になりやすい栄養素。過剰に摂取しても尿中に排出され、体への害が少ない。

ビタミンB12が不足するとどうなる?

ビタミンB12が不足した状況が続くと、ビタミンB12欠乏症になり、

・消化器官の不調(吐き気や嘔吐、下痢など)
・神経損傷
・軽度の認知症
・巨赤芽球性貧血

などを引き起こす可能性があります。菜食をしている人は、ビタミンB12を豊富に含む食材やサプリを通してこの栄養素の摂取をしっかりしていないといずれ欠乏症になってしまうので気をつける必要があります。

ビタミンB12は他の水溶性ビタミンとは違って、体にいくらか貯蓄があることが多いので、欠乏症がすぐには起きないことがありますが、人によっては数年後に起きることもあれば、数ヶ月で欠乏症になってしまうこともあります。

欠乏症になって神経損傷が起こると取り返しのつかないことになりかねないので、菜食を始めたらできるだけすぐにビタミンB12摂取源やサプリを取り入れるようにしましょう。

もし倦怠感や虚弱、気分の変動、息切れ、動悸、また他のビタミンB12欠乏症と関連した症状が出た場合は医師に相談し検査を受けましょう。重度の欠乏症でなければサプリメントですぐに改善できます。

ここでちょっとしたYukaの独り言
大学の教授の弟さんがヴィーガンで、サプリを全く取らずに生活していたら、知らないうちにビタミンB12欠乏症になっていたそう。なんだか体の疲れが抜けないし、最近物事を忘れやすいなと思っていたら、ビタミンB12欠乏症だったんだとか(軽度の認知症になりかけていたらしい、、、)。無事ビタミンB12サプリを取るようになって回復したそうです。この話を聞いた当時の私はヴィーガンではなかったのですが、ヴィーガンになったら絶対にビタミンB12は忘れずにサプリで取ろうと思った瞬間でした。


ビタミンB12の摂取基準

大人の推奨量は男女共に1日2.4μg

こちらの表に厚生労働大臣が定めた「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書をもとに、年齢、性別、ライフステージ別の摂取基準をまとめましたので、載せておきます。(黄色く塗りつぶされている数値が摂取目安です。)

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ビタミンB12が特に必要な人たち

どの栄養素も年齢、性別、ライフステージ、ライフスタイルに関係なく、ちゃんと必要な分だけ摂取するべきなのですが、摂取が足りないことでより体に悪影響が出やすい人たちはいます。

ビタミンB12の場合はこちらの方たちです↓
・妊婦
・授乳婦
・幼児(赤ちゃん)
・50歳以上の方

妊婦・授乳婦

妊娠期・授乳期の女性は、お腹の赤ちゃんや赤ちゃんにあげる母乳を作るための栄養分を自分1人の食事でしっかりと養わないといけません。栄養素によって妊娠中・授乳中に通常よりも多く摂らないといけないものと、そうでないものがありますが、ビタミンB12は通常よりも少し多く摂らないといけない栄養素です。
妊娠中の女性は2.6mcg、授乳中の女性は2.8mcg摂ることを勧められています。

幼児(赤ちゃん)

上ですでに触れましたが、ビタミンB12は神経繊維を守る髄鞘の維持のサポートをしたり、DNAと赤血球を作る際に必要な栄養素です。赤ちゃんの体は休むまもなくすごいスピードで成長し続けているため、ビタミンB12を十分に摂取するのはとても大切で、足りていないとほんの数ヶ月で修復不可能な脳損傷を負ってしまうこともあります。
母乳を飲んでいる乳幼児はお母さんが十分にビタミンB12を摂取できている場合は心配要りませんが、赤ちゃんが母乳や粉ミルクを飲まなくなってきたらビタミンB12サプリをあげてちゃんとビタミンB12を摂取できるようにしましょう。赤ちゃん向けのビタミンB12サプリは下のお勧めサプリのセクションでご紹介しています。

50歳以上の方

動物性の食品に含まれているビタミンB12はタンパク質にくっついているのですが、人間は歳を重ねるごとに胃でそのビタミンB12をタンパク質から切り離す能力が落ちてしまい、うまくビタミンB12を吸収する能力が落ちてしまいます。50歳を過ぎて、記憶力や集中力が落ちてきたなと思ったら、ビタミンB12不足によって神経が傷ついてしまったからかもしれません。
植物性の食品に添加されているものやサプリに含まれているビタミンB12はタンパク質とくっついていないので、歳をとってもちゃんと吸収できます。なので50歳以上の大人は菜食をしているいていないにかかわらずサプリやビタミンB12が添加されている食品で補うべきと言われています。
また、ご年配の中には胃の機能の低下だけではなく、ビタミンB12の吸収に必要な内因子を十分に生成できない方もいて、その場合は毎月ビタミンB12の注射を打つか、初めは2000μg、そしてその後1000μgのビタミンB12のサプリを毎日摂る必要もあります。
50歳以上の人は、念のため5年ごとにビタミンB12の体内値をチェックしてもらうと安心です。


一般的に知られているビタミンB12の摂取源

ビタミンB12は一般的に動物性の食品(特に魚や貝、お肉)に多く含まれ、植物性の食品にはほとんど含まれていないと言われている栄養素です。卵や乳製品に含まれている量はそれほど多くないため、ヴィーガンだけでなくベジタリアンの(卵や乳製品は食べる)人たちも気をつけないといけません。

植物性の食品だとあまのりの干し海苔にこれで摂取基準満たせそうだなくらいの量(海苔100gあたりに77.6μg;食品成分データベース参照)のビタミンB12が含まれているのですが、海苔に含まれるビタミンB12は私たちの体のなかでちゃんと利用され、有効に働くことのできるビタミンB12なのかはまだ解明途中です。

海苔にはちゃんと体内で利用されることのできるビタミンB12も含まれているという主張もありますが、海苔の種類や、その海苔ごとにビタミンB12の含有量は違うことも多く、万人共通の確実な摂取源とは言えないのが現状です。

また、よく「OOにもビタミンB12が入っていると聞いたのですが」というご質問やご意見をいただくこともあるので、普段は栄養学の情報収集のためにネットを使わない私ですが、視察程度に菜食向けのビタミンB12摂取源なるものを調べてみました。

出てきた食材はこちら↓

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