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僕の想い出銭湯3選♨

今回は、都内の緊急事態宣言明けの機会に、僕の想い出銭湯3選を紹介します。想い出というのは、3軒とも既に閉店しており、再訪が叶わない、想い出の中にしか存在しない銭湯だからです。

2019/5/30入湯 浅草「蛇骨湯」

閉店:2020/5/31

蛇骨湯

私が銭湯お遍路を始めて間もない頃、浅草の名銭湯「蛇骨湯」閉店のニュースがSNSで駆け巡りました。蛇骨湯は、都内でも数少ない江戸時代から続く歴史ある銭湯で、大変人気もありましたので、閉店の知らせはショッキングな物として銭湯ファンの間に衝撃を齎しました。
私もニュースを知り、閉店2日前に滑り込みでお邪魔する事が出来ました。
今となっては貴重な蛇骨湯の写真と共に蛇骨湯が愛され、惜しまれたポイントを振り返ってみたいと思います。

①江戸時代から令和に続く歴史浪漫

写真は大正期に現在の地へ移転してきた際の蛇骨湯の写真です。ロビーに飾ってあったものですが、大正から昭和初期に掛けての貴重な洋風建築の面影を見る事が出来ます。

大正期の蛇骨湯

②源泉「蛇骨湯」

源泉名がその名も「蛇骨湯」。
単純泉(メタけい酸(H2SiO3)及び重炭酸ソーダを含む冷鉱泉)とあり、漆黒の黒湯冷鉱泉でした。カランまで全て黒湯で、温泉ファンからも銭湯ファンからも愛されていました。閉店の理由が再開発で、再開の見込みが無い(現在既に取り壊し)為、蛇骨湯の歴史と共に、この名源泉「蛇骨湯」も廃止となってしまうのが、非常に残念です。

蛇骨湯温泉分析書

③富士山のタイル絵

この微妙な色使いの富士山のタイル絵は、銭湯芸術の中でも唯一無二の物でした。また見たい、もう見れない在りし日の富士山の姿です。

蛇骨湯富士山

④サウナ

折しもサウナブームの折。蛇骨湯のサウナは、電気ヒーター式で室温は95℃前後に保たれ、湿度も適度にあり、壁の木や石の輻射熱も素晴らしく、何年も営業される中で燻された香ばしさもあり、銭湯サウナとしては既に完成された域にあり、サウナファンからも大変残念がられました。

蛇骨湯サウナ

⑤黒湯水風呂

源泉「蛇骨湯」は黒湯冷鉱泉でしたから、実はこの水風呂がほぼ源泉のありのままの姿なのです。熱い湯やサウナ後に冷鉱泉の黒湯水風呂でのクールダウン、今想像しただけでもととのっちゃう気がします。

蛇骨湯黒湯水風呂


2020/2/25入湯 大阪中崎町「常盤湯」

閉店:2020/3/31

常盤湯

常盤湯へは、大阪出張の折、近くの中崎町に2軒の銭湯を見つけ巡った際に、たまたま訪問したものです。私の初大阪銭湯で、想像を超える素晴らしさに感激したところ、訪問後まもなくSNSにて常盤湯閉店の悲報を知る事となり、ある意味一番衝撃を受けた閉店ニュースでした。

①レトロでおしゃれなロビー

外観からは想像もつかないレトロなおしゃれ空間が広がっているのが常盤湯の一番の魅力です。番台の若女将も優しいお人柄で癒されました。

常盤湯ロビーステンドグラス

脱衣場入口の雰囲気も一転和風の佇まいで悪くないです。

常盤湯脱衣場入口

②魅惑的な浴室レイアウト

常盤湯の浴室は1Fと2Fの2階層です。適当な写真が見当たりませんでしたので、私の拙いレイアウト図で恐縮ですが、こんな感じ。

常盤湯レイアウト

1Fの浴室には西日本特有のセンター配置のメインバス中心に座風呂、電気風呂、水風呂に関東では珍しい塩湯。これが大阪銭湯です。

常盤湯1F

③2つのサウナ

常盤湯2Fには2つのサウナがあります。
スチームサウナとドライサウナ。2つに挟まれて2Fにも水風呂。
ドライサウナ内では、何故だかディスコティックミュージックが流れ、どこから見ても激渋下町サウナなのに目を瞑ると頭の中だけはアバンギャルドな世界に誘われますw
そして、サウナ⇒水風呂後の休憩中に目にする光景が2Fテラスからのこの光景。浴槽湯口の水音や、ケロリン桶のカコーンと響く音に癒される至福の瞬間。他にはない常盤湯サウナ特有の味わいがここにあります。
ありました。。。

常盤湯2F


2020/2/29入湯 稲城長沼「稲城浴場」

閉店:2020/3/31

稲城浴場

稲城浴場の閉店は、銭湯ファンの中では今年の大きなトピックスだったと思います。スーパー銭湯級の広いロビーに多彩な浴槽。外観もまだ新しく、まさかの閉店!というのが多数の銭湯ファンの想いだったのではないかと思います。ご主人にお話を伺ったところ、実は陰では漏水等があり、これからその修繕費用負担はなかなか難しいとのお話でした。銭湯の閉店には、経営者の高齢化、跡継ぎ問題、地域の再開発、温浴設備の故障等、個々に様々な理由がありますが、最近よく耳にするのが建物の老朽化です。耐震や埋設配管の老朽化等、こうなると中普請では済まず、大規模修繕か場合によっては建て替えが必要となり、なかなかその費用負担は難しいようです。

①映画ポスターが飾られた脱衣所

稲城浴場では、映画ポスターコレクションギャラリーとタイアップし、脱衣所に映画のポスターを掲示されていました。これも今となっては貴重な銭湯風景です。

稲城湯_映画ポスター

②スーパー銭湯並みの多彩な浴槽

一目瞭然。露天風呂も含め、銭湯としてはかなりの大型な部類です。

稲城湯浴槽①

稲城湯浴槽②

稲城湯浴槽③

③充実したサウナ環境

稲城浴場のサウナはコンフォートサウナ。湿度もしっかり感じられ、丸窓から浴室を眺めながらのサウナ浴は最高の気分でした。

稲城湯コンフォートサウナ

また、露天エリアに冷水プールがあり、クールダウン後そのまま休憩椅子で外気浴が出来た為、サウナ導線としてはこれまた最高でした!

稲城湯プール

他にサウナ利用者専用水風呂もありました。

稲城湯専用水風呂

サウナ利用者限定休憩室も用意されており、サウナーに取っても稲城浴場閉店は、少なからず衝撃をもって受け止められたのではないかと思います。

稲城湯サウナ専用休憩室


銭湯が斜陽産業と呼ばれて久しく、元々は各家庭に家風呂がついて銭湯への足が遠のいたのが大きな原因でしたが、ここに来て次のフェーズに移ったような気がします。個人商店の強みが活かせるところと、そうでない所で差が広がり、また今回のようなコロナのような外的要因も大きな課題です。

一銭湯ファンとしては、日本特有の外湯の文化が公衆衛生と健康、地域コミュニティを支えて来た側面もあり、閉店銭湯でもこれだけ魅惑的な施設があるのを少しでも多くの方に知って頂き、少しでも魅力が伝わる事で、自粛明けに多くの人が近くの銭湯へ足を運ぶきっかけに繋がればと考えます。

※浴室内や脱衣場の写真は、記録と記憶に残す為、各HPやGoogleインドアビューから拝借したものです。

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